感動と歓喜に包まれた復興祈念試合。苦難を乗り越えた先に待っていた光
“もっている男”がこのビッグゲームでも強い輝きを放った。
「岩手のみなさんのパワーをもらってトライすることができました。たくさんの(ファンが集まる)中で(勝利)できて幸せです」
岩手県出身の阿部竜二は特別な思いで試合に臨んだ。第3節の清水建設江東ブルーシャークス戦で右足首をねん挫し、4試合ぶりの出場となった阿部は「試合勘の部分で苦戦した」ものの、「この試合には絶対に出たかったし、絶対に勝ちたいという思いが自分自身を後押しした」と、自らを奮い立たせた。チームとして連敗が続く中、前半戦最後の試合で首位を走ってきたチームと戦う大一番は釜石、東北に復興の活力と感謝を示す試合でもある。その舞台で自身リーグワン初のハットトリックを記録し、勝利に大きく貢献。出色のパフォーマンスを見せた昨季のD2/D3入替戦第1節以来となる二度目のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。
アタック同様、収穫となったのは我慢強いディフェンスだ。
「ディフェンスで我慢できたことがトライにもつながりました。自分たちの目指すディフェンスができて、そこから流れをつかめた、いい試合だったと思います」と胸を張る。
チームは前半、2枚のイエローカードで二人が一時退場。13人で戦う時間帯もあったが、我慢を重ね、失点を1トライのみに抑えたことがリードのままハーフタイムを迎えることにつながった。また、阿部自身も後半9分、スタンドがどよめく豪快なタックルで相手を倒し、ターンオーバー。そこからラインアウトを獲得し、後半11分のチーム5トライ目につなげた。
人生もラグビーも我慢の時間は存在する。しかし、苦境を確かな意志と姿勢で乗り越えた先には、きっと“いいこと”が待っている。
釜石SWがそんなメッセージを投げ掛けるようにして終えた復興祈念試合。試合後のスタジアムは、祈りを捧げる人たちの歓喜と感動で包まれていた。
(髙橋拓磨)
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