感動と歓喜に包まれた復興祈念試合。苦難を乗り越えた先に待っていた光

日本製鉄釜石シーウェイブス 阿部竜二選手 【🄫ジャパンラグビー リーグワン】

リーグワンのホストゲームにおけるクラブ史上最多観客数を更新する4,426人が釜石鵜住居復興スタジアムに駆け付けた東日本大震災復興祈念試合。日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)はこの大きな意味をもつ試合で立ち上がる姿、そして本来の力を示し、会心の今季2勝目を手にした。

“もっている男”がこのビッグゲームでも強い輝きを放った。
「岩手のみなさんのパワーをもらってトライすることができました。たくさんの(ファンが集まる)中で(勝利)できて幸せです」
岩手県出身の阿部竜二は特別な思いで試合に臨んだ。第3節の清水建設江東ブルーシャークス戦で右足首をねん挫し、4試合ぶりの出場となった阿部は「試合勘の部分で苦戦した」ものの、「この試合には絶対に出たかったし、絶対に勝ちたいという思いが自分自身を後押しした」と、自らを奮い立たせた。チームとして連敗が続く中、前半戦最後の試合で首位を走ってきたチームと戦う大一番は釜石、東北に復興の活力と感謝を示す試合でもある。その舞台で自身リーグワン初のハットトリックを記録し、勝利に大きく貢献。出色のパフォーマンスを見せた昨季のD2/D3入替戦第1節以来となる二度目のプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された。
アタック同様、収穫となったのは我慢強いディフェンスだ。
「ディフェンスで我慢できたことがトライにもつながりました。自分たちの目指すディフェンスができて、そこから流れをつかめた、いい試合だったと思います」と胸を張る。
チームは前半、2枚のイエローカードで二人が一時退場。13人で戦う時間帯もあったが、我慢を重ね、失点を1トライのみに抑えたことがリードのままハーフタイムを迎えることにつながった。また、阿部自身も後半9分、スタンドがどよめく豪快なタックルで相手を倒し、ターンオーバー。そこからラインアウトを獲得し、後半11分のチーム5トライ目につなげた。

人生もラグビーも我慢の時間は存在する。しかし、苦境を確かな意志と姿勢で乗り越えた先には、きっと“いいこと”が待っている。
釜石SWがそんなメッセージを投げ掛けるようにして終えた復興祈念試合。試合後のスタジアムは、祈りを捧げる人たちの歓喜と感動で包まれていた。
(髙橋拓磨)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、ラグビー日本最高峰リーグです。 日本代表選手や海外のスター選手が数多く在籍し、世界トップレベルのラグビーをご覧いただけます。 ラグビーファンの方も、ラグビーの試合をまだ観たことのない方も、ラグビー観戦は決して難しいものではありません! 2024-25シーズンのスローガンは「Welcome to Rugby 世界最高峰の熱狂を一緒に楽しもう」。 お一人さまでも、ご家族・友人と一緒でも、それぞれの「リーグワン」をお楽しみください。スタジアムでお待ちしています!

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント