“安定してきた”だけでは足りない。先輩の教えを心に刻み、スクラムで勝てるチームへ
「やること自体は大きくは変わらないですけど、プレーをやり切る精度や、試合にもっていくまでのメンタルや試合の入り方、そういう一つひとつまで気を配らなければいけない」
フロントローの一角を務める菊田圭佑は、九州KV戦のポイントをそのように挙げた。ボリス・スタンコビッチ コーチから試合ごとにフィードバックをもらい、常にアップデートを続けているスクラムには、菊田自身も「安定してきた」と確かな手ごたえをつかんでいる。しかしそれだけでは飽き足らない。菊田は続ける。
「『安定してきた』ではなくて、スクラムで勝てるチームにもっていける選手になっていきたいです」
プロップとしてフロントローを担うからこその言葉かもしれないが、菊田にはスクラムにこだわりをもつ大きな理由がある。それが、昨季限りで現役を退いた土井貴弘の存在だ。
「スクラムは、土井さんという偉大な先輩から教わったことが形になっているのが大きいです。自分から『どうですか?』と聞きにいけば、土井さんはいつも的確なアドバイスをくれました。そのアドバイスが自分の中に刻まれています」
この言葉を聞いて思い出されたのが、2022-23シーズンのD1第4節、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)との試合前、土井がトップリーグとリーグワンの通算で100キャップを目前に控えたときに彼が口にした、自分自身が課すチームへのタスクについてだった。
「開幕の花園近鉄ライナーズ戦では菊田が先発しましたし、チームには若い選手が多いので、スクラムのところではもっと若い選手にアドバイスをしていかなければいけない」
現役当時の土井から名前を挙げられた菊田は、いまでは土井と同じ3番のポジションを務め、2022-23シーズンのディビジョン1第15節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦から現在まで、入替戦や順位決定戦を含めて公式戦25試合連続出場する主力の一人に成長した。
GR東葛のレジェンドの思いは、脈々と後輩へ受け継がれている。菊田は偉大な先輩の教えを受けて磨き上げた「スクラムで勝てるチーム」の姿を、今節の九州KV戦で表現する。
(鈴木潤)
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