復帰を果たしたファンタジスタはチームの力を信じて大一番

東芝ブレイブルーパス東京 小川選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

鹿児島の地で、リーグワン屈指のド迫力の肉弾戦が繰り広げられる。東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は3月1日、白波スタジアムでクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)と対戦する。

昨季の王者・BL東京と、一昨季の王者・S東京ベイの一戦は、ディビジョン1で2位(BL東京)と3位(S東京ベイ)の戦いでもあり、両チームにとって今後を占う重要な試合となる。

そんなBL東京に頼もしい男が帰ってきた。小川高廣は前節のリコーブラックラムズ東京戦で後半12分から途中出場。前十字靭帯断裂という大きなけがからの約1年ぶりの復活に、ファンからの「おかえり!」という声が響いた。

「自分がけがをして、それから優勝をしたので、『存在を忘れられているのかな』という感覚もあったのですが(笑)、みんなに『おかえり』と言ってもらえて、うれしかったです」

33歳のベテランは照れくさそうに笑う。センスとランニングスキルで相手ディフェンスを攻略した若手時代、クラブとして厳しい時期を共同キャプテンとしてまとめた中堅時代を経て、小川はBL東京に欠かせぬ存在となった。

強力フォワードを擁するS東京ベイ戦に向けては、「相手の大きな選手がラック周りにもプレッシャーを掛けてくるので、そのプレッシャーをかわして良いボールをバックスラインに渡せばチャンスを作れると思います」と、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)における判断と球さばきをポイントに挙げる。

BL東京にとって今季唯一の敗戦は第5節の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦だったが、S東京ベイは前節で静岡BRを62対14と圧倒した。調子を上げているS東京ベイとの対決は厳しいものとなる可能性があるが、小川は笑顔で言い切った。

「逆にそういうチームとの試合のほうが、チャンスがあるのかなって思います。ウチは接戦を乗り切って『自分たちはもっとやれる!』という思いが出てきているので」

クラブとしても、個人としても苦しい時期を越えてきた。経験を積んだファンタジスタは、BL東京の力を信じて大一番に臨む。

(安実剛士)

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