“ルースレス“な戦いぶりとチームの絆。鬼となったS東京ベイは昨季の悪夢を振り払った

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 梁本旺義選手 【🄫ジャパンラグビー リーグワン】

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)が鬼になった日──。

とどめを刺すかのごとくラストのワンプレーでダメ押しのトライを決めたショーン・スティーブンソンは、この一戦に向けてチームは「ruthless(ルースレス)」をテーマに取り組んできたと語った。それは「情け容赦ない」といった意味を持つ形容詞で、スポーツの文脈では相手に対して一切妥協せず、勝利のために徹底的に戦う姿勢を表す際に用いられる。
昨季、S東京ベイは静岡ブルーレヴズに苦杯を喫した。第3節、後半43分にトライを許して痛恨の逆転負け。さらに第13節では24点リードしながらも逃げ切ることができずにまさかのドロー。これが決定打となり、プレーオフトーナメント進出の道が閉ざされた。
ホストスタジアム『えどりく』(スピアーズえどりくフィールド[江戸川区陸上競技場])で迎えた難敵との対戦。昨季の悪夢を払拭するかのごとく、S東京ベイは強烈なスクラムを武器とする静岡BRに序盤から牙をむいた。ここ数戦は大量リードを許すなど課題となっていた前半戦からフルアクセルの猛攻を見せ、さらに後半に入るとトライを量産。“ルースレスな攻撃”を最後まで貫き、今季最多の62得点で圧倒的な勝利を飾った。

前日にバーナード・フォーリーが体調不良となり、急きょ10番を背負って出場した押川敦治が、試合を振り返る。
「仲間がペナルティを取ってくれたり、スクラムで頑張ってくれたり、いろいろな要素がある中で(今季)最多得点を挙げられたのは、チームにとってすごくプラスになる。得点力という部分で言うと、これからもっと厳しい戦いが続いていくので、すごくポジティブなことだなと思います」

そんな無慈悲な戦いの中で見られた、ハートウォーミングなシーン。
後半30分、この日が初キャップとなった梁本旺義がピッチに入ると、スタンド席のノンメンバーたちから「オウギ! オウギ!」の歓声が。そのわずか2分後、モールがトライゾーンに押し込まれ梁本がボールをグラウンディングすると、再び大きな「オウギ」コールが発生。試合中にもかかわらず、梁本は思わず込み上げる涙をこらえたという。
ファンを惹き付けるチームの魅力がここにある。情け容赦ないルースレスな戦いと、揺るぎないチームの絆。他者を思いやる優しさがあるからこそ、人は時に鬼になれる。

これでえどりく21連勝。ランキングは第9節を終えた時点で3位。次節、2位の東芝ブレイブルーパス東京が待つ鹿児島に乗り込む。
(藤本かずまさ)
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