執念で獲得した勝ち点1。その立役者は二人のフッカー
一時は18点差がついたものの、4連続トライで一気に逆転。その後、逆転を許したが、最後まで食らい付き、44対45で勝ち点1をつかみ取った。
カギを握ったのは、セットピースの安定だった。今季初となる、ラインアウト成功率、そしてスクラム成功率の“ダブル100%” 。相手のラインアウトにもプレッシャーを掛け、奪い取れば、スクラムでは何度も押し込みペナルティを誘った。
その立役者は、二人のフッカーだ。先発を務めたのは大内真。BL東京から加入2年目にして初の2戦連続スターターを任された。後半4分、相手ボールスクラムでアーリーエンゲージを取られた次のスクラムでのこと。大内は誰よりも先にポジションに着けば、レフリーと言葉を交わした。
「ギャップを取った上でセットして、『その場所から僕たちは動きませんよ』ということをしっかりアピールしたかったんです」そのスクラムを押し込む。アドバンテージを獲得するビッグスクラムに会場は沸いた。「うまくヒットできて、押せると確信したときには押そうという準備をしてきました。試合中のコミュニケーション、バランスがうまくいった」と破顔する。
「僕は毎回、崖っぷち。120%に近づけるプレーをしないと、いつ外されてもおかしくない立場」と控えめの自己評価ながらも、交替時には古巣の同期・佐々木剛に笑顔で出迎えられ「うれしかった」と笑みをのぞかせた。
「12月は鬼門」と語るのには理由がある。さかのぼること約1年前の2023年12月。1カ月で10kgもの体重が落ちた。病院で検査を受け、下された診断名は1型糖尿病。1週間の入院ののち、24時間血糖値を測定しながら自動でインスリンを注入するインスリンポンプ療法を試合中も受けながら、ラグビーを続けている。
「病気を理由にラグビーを辞めたくなかったし、同じ境遇の人に勇気を与えたかった。何よりもそれでは自分も不完全燃焼。
チームでも初めてのケースですが、試行錯誤しながらラグビーをしています」2人のフッカーが見せたスクラムでの一押しとラインアウトでの正確なスロー。
2つの成功率100%がチームに勇気をもたらした。
(原田友莉子)
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