好ゲーム必至のライバル対決はまたも劇的決着。地元愛で帰ってきた男が執念の決勝トライ
地元を代表して戦う誇りを強く持つ両チームは、過去2シーズンでも接戦を繰り広げてきた。切磋琢磨してきた「ライバル」(九州KV・今村友基ヘッドコーチ)でもあり、「ともにD3から這い上がってきた仲間」(RH大阪・松川功ヘッドコーチ)でもある。過去2年の6試合ではRH大阪が5勝しているが、そのうち3試合は九州KVがリードするゲームをRH大阪が終盤に逆転。80分を過ぎてからの逆転も2試合あった。このカードは、いつも試合終了のホイッスルが鳴るまで見る者を惹き付ける。
蓋を開ければ、やはり今回もクロスゲーム。前半を17対17で折り返し、後半に入っても互いに大きくスコアを動かすことがかなわず、両者は20対20で80分のホーンを聞く。最後のプレーで結果が変わることは、過去の経験からも明白だ。今回スタジアムにホーンが響いたとき、ボールを保持していたのは九州KVだった。
「勝てるのは自分たちしかいない」
九州KVは試合前にそう奮い立ち、連勝中のRH大阪との試合に臨んでいた。RH大阪は開幕から4連勝していたが、昨季の順位決定戦も含めれば6連勝中。その連勝を重ねる前に黒星を付けさせたのは、ほかならぬ九州KVだ。
フェーズを重ね、コルビー・ファインガアがラインブレイク。外側から駆けてきた村川浩喜がパスをもらうと相手のタックルを受け、転がりながらも執念のトライ。さらに荻原蓮がコンバージョンゴールを成功させ、九州KVが27対20で勝利した。
豊田自動織機シャトルズ愛知から今季加入した福岡県出身の村川は、この日が開幕前に負ったけがからの復帰戦かつ九州KVでの初出場だった。「メンバーに選んでもらって幸せ」だと感じる一方で、「地元に貢献したい」という思いで加入したため「自分が仕事を果たせなければ、加入した意味がない」とも考えていたという。加入前から両チームの対戦は見ていた。九州KVが涙した過去2シーズンからの成長に大きく貢献。喜びをもたらした。プレーヤー・オブ・ザ・マッチも獲得し、チームメートからもたくさんの祝福を受けた。加入した意味を見出すには、十分だっただろう。
この試合で勝ち点4を得た九州KVは3位に浮上、勝ち点1を得たRH大阪は首位をキープした。成長を競い合う両チームが目指す場所は、D2のトップ2だ。そこに向かうため、この日も双方は修正したい課題を得た。次に相見えるまでに、どれほど成長できるだろうか。3月23日に熊本で行われる第9節では、さらにレベルアップした姿でぶつかり合いたい。
(前田カオリ)
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