新しいヒロイン2025《97期生・西澤 歩未》

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西澤 歩未 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。

にしざわ・あゆみ=2003年2月15日、神奈川県川崎市出身

 昨年のプロテスト第1日、8オーバーの80を叩き、94位と出遅れた。「前日から第1日は120パーセントでやろうと気合を入れていたんです。でも、完全に空回りしてしまいました」。プロテストを受験したのは5度目、最終プロテストに進んだのは3度目だった。当然、第1日のスコアがどれだけ大切なのかは身に染みている。くじけそうになっても不思議ではないが、西澤はあきらめなかった。

 「やってしまったことは仕方がない。悪いものは全部出たし、もうこれ以上悪くなることはないだろう。とりあえず、残り3日間は毎日2つずつ伸ばそう」。この時点で首位とは10打差、カットラインにも8打足りなかったが、第2日から気合を入れ直すと、70→68→68と目論見以上にスコアを伸ばす。結局、通算2アンダーの7位で念願の合格を手にする。「テストを終えた時点では実感が湧きませんでした」といいながらも、逆境を跳ね返すメンタルの強さを見せつけるには十分な内容だった。

 ただ、元々プラス思考だったわけではない。22年のプロテストでは第2次予選を通過できず、ショックで2、3カ月ほどクラブを握ることができなかった。当時は高校を卒業して2年、同学年どころか1学年下もどんどん合格し、ツアーで活躍している。焦りも生まれ、「もう自分は合格できないのでは」というマイナスな考えに頭が支配された。将来について何度も自問自答を繰り返した結果、やはり自分にはゴルフしかないと思い、再びプロを目指す。

西澤 歩未 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 以来、ゴルフのことしか考えず、毎日練習に励みながら迎えた23年の最終プロテスト。それでも合格ラインに4打届かなかった。「一体何が足りないんだろうか…」。もう一度自分を見直し、技術面だけでなく、体力面、精神面のさらなる強化に励んだ。特に精神面では、悪かったことを引きずるタイプなだけに対策を練った。その一つが“いいとこノート”の作成だ。

 「どんなにスコアが悪かったときでも、どこかいいところを探してノートに書くようにしたんです」。ラウンドや練習での反省もこまめに記してはいたが、自分のいいところを探すことによって、徐々にプラス思考になっていった。昨年の最終プロテストで94位から巻き返せたのも、地道な努力が実ったからではないだろうか。

西澤 歩未 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 ツアープロとしてのスタートラインに立ったが、忘れられない思い出がある。19年、高校2年生で出場した日本女子オープンだ。なんと練習日に青木瀬令奈、成田美寿々、渋野日向子と同組でラウンドを回ったのだ。渋野が同年の全英女子オープンを制したことで、練習日にもかかわらず、大ギャラリーの中でプレーすることに。「もう緊張で、ついていくのに必死でしたが、皆さんの高い技術はもちろん、グリーン周りからの練習方法など参考になることばかりでした」。9ホールのラウンドだったが、西澤にとっては貴重な経験となったことは確かだ。

 歩未という名前には、未来に向かって一歩ずつ歩いていくようにという両親の願いが込められている。「これまでもコツコツとやってきたので、プロになっても階段を1段ずつ上っていきたいですね」。今季はステップ・アップ・ツアーを主戦場とするが、将来的にはJLPGAツアーでシーズン複数回優勝できるような選手になりたいという。さらには、海外メジャーに挑戦し、活躍したいという夢もある。“千里の道も一歩から”というが、西澤は今年、まさにツアープロとしての最初の一歩を踏み出していく。(山西 英希)
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