【第6節レビュー】公式戦復帰のUTBメイン平のトライで先制も、ミスとペナルティで流れを変えられず

リコーブラックラムズ東京
チーム・協会

2週間のインターバルを空け、第6節はカンファレンスをまたいだ交流戦へ。今季最多の失点での悔しい敗戦。

リコーブラックラムズ東京(BR東京)は、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場でコベルコ神戸スティーラーズに挑んだが、繰り返し許したターンオーバーからのアタックに苦しみ、15-44(前半8-21)で敗れた。

WTBメイン平やPR笹川大五といったケガとの戦いで長く公式戦から遠ざかっていた選手や、2022年の入団から3シーズン目にして初出場の機会を得たCTBラズロー・ソードなどが名を連ねる、変化を感じさせるラインナップで臨んだ一戦。前半3分にそのCTBラズロー・ソードのブレイクを起点に攻め込み、ゴール前でのリスタートから、WTBメイン平が右隅に先制トライ。12分にもよく攻めて得たPGで3点を追加し8-0とした。しかし、BR東京がその後迎えた3度の決定機でスコアを逃す一方、神戸Sは17分、29分、38分と連続でトライを決め、8-21とされて試合を折り返す。

前半の終了間際に神戸Sにイエローカードが出て、数で優位を得て迎えた後半だったが、規律が乱れPGでの失点が重なる。修正を果たせぬまま時間が過ぎ、後半20分、27分に連続トライを許し8-39と大きく引き離された。35分にゴール前ラインアウトからモールを押し、LOハリソン・フォックスの低い姿勢のキャリーでトライラインに迫ると、ピックゴーでねじ込んだFL松橋周平がトライ。しかし40分にもトライを許し、今季最多の失点での悔しい敗戦となった。

リーグワン2024-25 第6節 BR東京 15 - 44 神戸S 【リコーブラックラムズ東京】

試合経過

前半2分[BR東京]
自陣深くのディフェンスで、ラックからこぼれたボールをFL松橋が確保。即座に展開しCTBラズロー・ソードがギャップを抜けゲイン。SH TJペレナラ、SO中楠一期と繋いで敵陣ゴール前まで運ぶ。

前半3分[BR東京]
SO中楠一期が孤立しボールを奪われるが、ゴール前からの脱出を狙い展開したボールに反応。ディフェンスが相手13番に詰め、LOハリソン・フォックスが中央付近でスティール。ノットリリースザボールを誘うと、SH TJペレナラがリスタート。展開しWTBメイン平が右隅にトライ。CVは不成功も5-0とする。

前半9分[BR東京]
神戸Sの反則が続きゴール前でFKを得ると、SH TJペレナラがタップスタート。激しいフィジカルバトルを経てNO8リアム・ギルがトライエリアに持ち込むが、映像確認を経てノートライの判定。

前半12分[BR東京]

トライラインドロップアウトからNO8リアム・ギルがキャリー。神戸Sにノットロールアウェイ。ほぼ中央、40m弱のPGをSO中楠一期が決めて8-0。

前半17分[神戸S]
BR東京が自陣浅めの位置からディフェンスラインの裏に小さく浮かせたキック。再獲得を狙ったが、神戸Sが確保して即座に攻めて抜け出す。14番が右隅にトライ。CVも成功させて8-7。

前半27分[BR東京]

敵陣ラインアウトから展開し中央をWTBロトアヘアアマナキ大洋が抜け、トライラインに迫る。左に展開し、アマナキ大洋が内に返したボールをFLマイケル・ストーバーグが接地。しかし、映像確認が入り突破に際しオブストラクションがあったとしてトライキャンセル。

前半29分[神戸S]
BR東京陣内22mラインの内側のラインアウトでボールを奪ってアタック。中央を激しく攻めてディフェンスを集めると右サイドのスペースに13番がトライ。CV成功、8-14。

前半38分[神戸S]
BR東京陣内浅めのスクラムから攻め、9番が右サイドのエッジのスペースを狙ってパス。14番が抜けて右中間にトライ。CV成功、8-21。

前半41分[神戸S]
ラインアウトにおける故意のノックオンで5番にイエローカード。

前半42分[BR東京]
左中間、約25mの位置からPGを狙うが不成功。8-21でハーフタイムへ。

後半0分[BR東京]
WTBメイン平をセミシ・トゥポウに、HO佐藤康を大内真に入替。

後半4分[神戸S]
BR東京が自陣22m付近で反則。PG成功で8-24。

後半7分[BR東京]
NO8リアム・ギルをサミュエラ・ワカヴァカに入替。

後半9分[神戸S]
BR東京が自陣10m付近でスクラムコラプシング。PG成功で8-27。

後半9分[BR東京]
LOロトアヘアポヒヴァ大和をジョシュ・グッドヒューに入替。

後半15分[BR東京]
PR津村大志を西和磨に入替。

後半20分[神戸S]
BR東京が自陣でスクラムペナルティ。ゴール前ラインアウトから左サイドにボールを運び、11番が左隅にトライ。CV不成功で8-34。

後半24分[BR東京]
HO大内真に故意のノットロールアウェイの反則でイエローカード。10分間の退出となるが、セットプレー対応のためにHO佐藤康が戻り、FB伊藤耕太郎が外れる(〜35分)

後半27分[神戸S]
BR東京陣内中盤でのラインアウトから攻め、左中間を5番が突破。そのまま走りきりトライ。CV不成功で8-39。

後半28分[BR東京]
PR大山祥平を笹川大五に入替。

後半34分[BR東京]
CTBラズロー・ソードを山村知也に入替。WTBのロトアヘアアマナキ大洋がCTBへ、山村がWTBに入る。

後半35分[BR東京]
ゴール前ラインアウトからモールを押し前進。LOハリソン・フォックスの低い姿勢のキャリーでトライラインに迫るとピックゴーを繰り返し、FL松橋周平がポストの左にトライ。CV成功で15-39。

後半40分[神戸S]
自陣脱出を図るBR東京のランナーを捕まえ、右中間でノットリリースザボールを奪うとリスタート。右側の狭いエッジを破って右隅にトライ。ホーン後のCVは不成功。15-44でノーサイド。

試合後インタビュー

タンバイ・マットソンヘッドコーチ
謙虚にならざるを得ない、トラウマティックな日でした。ホームから離れるといいプレーをするのは難しくなるものですが、自分たちのゲームをしっかりできず、こういうふうに罰を与えられるかたちになってしまった。序盤のチャンスを生かしきれず、試合を通じて27回にわたりターンオーバーされた。そうなるとゲームをうまく進めるのは難しくなるのかなと思います。自分たちとしては、もう一度スタートに戻り東京へ戻って最初からリビルドしていかねばならないと思っています。

— バイウィークを挟んだ2週間に取り組んだことは

ひとつはみんなをリチャージさせること。(第4節の)クボタ(S東京ベイ)戦に向けては9人のメンバー変更がありました。ケガをしている選手もいたので。ゲームに関しては、Aゾーンでの実行力の部分。そこに関しては前進できておらず、すごく残念です。あとはセットピースも。ですがラインアウトのところは、次節に向けてしっかりやっていかないといけない部分だと思います。

— 今日のパフォーマンスについて。驚きに近いものか、今まで感じていた何かしらの課題が繋がった結果か。印象を

これだけひどいスコアになったときは、自分たちがよくなかったというのが現実だと思います。許したターンオーバーも多く、許した際には必ずといっていいほど罰を与えられて、逆にチャンスが来たときにはそれを生かしきれなかった。(そうして生まれた)スコア自体は、ビッグサプライズです。
ハーフタイムの時点で8-21。ラインアウトやボールコントロールの問題を修正し、ペナルティカウントを低く維持することができれば、まだいけると思っていました。実際には後半はペナルティカウントも上がってしまい、ラインアウトも失敗し続け、そこで神戸さん(神戸S)に罰を与えられたのかなと。

FL 松橋周平ゲームキャプテン
今日はありがとうございました。自分たちが誇りに思えるような試合ができなかったことが非常に残念です、会場に足を運んでくれた皆さん、ブラックラムズのファンの皆さん、東京で僕らを待っているノンメンバーの選手たちに対し申し訳ない気持ちです。
一週間を通し、神戸Sのラグビーへの対策、このラウンド5までの反省を生かした試合をしようという点ではすごくいい準備ができました。それでいい試合への入りはできたんですけど、ボールをロストするシーンが増え、さらに相手に簡単にトライを獲られてしまっていくうちに、どんどん自信を失っていったという印象です。
でも、そういうことも起こるのがラグビーなので、どう切り替えて試合中に自分たちのかたちに戻れるかが本当の真価というか強さだと思っています。まだまだ僕たちは、その部分が弱いかなと感じますし、僕自身もこの試合のゲームキャプテンとして、選手として、どう改善できるかを考えて、東京に戻りしっかり一からやり直したいと思います。

— 前半のチャンスで獲りきれなかった理由について。神戸Sのディフェンスがよかったのか。自分たちに問題があったのか

神戸Sのいいディフェンスもあったのかもしれないですが、結局は自分たちが仕留めるか仕留めないか。本当にそこでスコアするかしないかはすごく大きな差になってくるので。

— ディフェンスのコネクトが切れてしまう場面もあったように映った。理由に思いあたるものは

自分たちが乗れないとき、ミスが続いたりして自信を失っているときは、ディフェンスに立ち返ったりしないといけないんですけど、それ(ミス)を引きずってコネクトが切れたり、ターンオーバーされて相手の勢いのまま持ってかれたりということがあったと思います。

(マットソンHCが補足)一番ディフェンスがしづらいのはターンオーバーボール。相手にアンストラクチャーな状況でアタックするチャンスを与えてしまったことが、ディフェンスを難しいものにしていたと思います。

PR 津村大志
本当にこの結果は残念です。今日は自分たちのペナルティの積み重ねでこういう結果になってしまった。負けを反省してなんとか次につなげていかなければなりませんが、今日の試合はほんまにペナルティという目に見える部分。特に後半ですね。僕らは後半の失速が課題でしたが、そこでペナルティも重ねたら絶対しんどいんで。

— スクラムはペナルティは出てしまったが、しっかり組めたときには押せていたようにも

はい。前半は特に、感覚的にいいかなと思っていました。

— アタックでは自ら抜けるシーンも。ただそういうプレーが出た時間帯を過ぎると、うまくモメンタムが生み出せなくなった。

しんどい時間帯で我慢しきれず、取り急いでしまっていた。細かいディテールの部分がよくなかったかなという風には思います。あとはミス。自分たちでしんどい方向に向かっていってしまった。

— 試合が終わって、チームの雰囲気は

こういう試合になったので正直、よくはなかったのですが、でもここでうじうじしていても意味はないんで。改善して次に繋げるというよりは、次の試合に向けてもう1回、ゼロから準備し始めるくらいの切り替えが大事なのかなとも思います。

— PRとしての競争も勝ち抜いてきている。武器は

自分の一番の強みはメンタルだと思っています。試合に出られない時期、しんどい時期もあったんですけどずっと準備はしていて、(出場機会が巡ってきたS東京ベイは)やっと来たかっていうぐらい強気な気持ちで臨めたので。

— スクラムのコーチングも少し変わった

自分のスクラムの引き出しに新しいものが増えたという感じです。もともと持っていた知識も使いながら試行錯誤をしています。一気に全部変えるとしんどいんで、いいところといいところをミックスするというか。それで、今はいい状態に持っていけてると思っています。

— 次節に向けて

引き続き、しんどい時間帯にどれだけ我慢できるかというのはありますが、フォーカスを自分たちに向けて、「自分たちが何をするのか」というのが一番の肝になるかと思う。「相手がどうしてくるか」じゃなくて「自分たちはこういうプレーをする。これに強みを置く」というところにフォーカスしないといけない。相手に何かをされてからアクションするのではなく、相手が何かする前に自分たちが先手を打つ。相手を見て、後手に回るんじゃなくて、自分たちからアクションする。それしかないと思う。

LO ハリソン・フォックス
— 3試合続けて先発。長い時間プレーをして掴んだものもあるのでは

いい感じです。ゲームフィットネスが戻り、ラグビーに対する自信が戻ってきている感じがします。「一貫性」がもたらすものが僕を助けてくれていると思っています。試合では、そういうプレーの一貫性の部分と、セットピースであったりタックルやキャリーのようなコリジョン(衝突)など、僕がチームに貢献できる部分にもフォーカスしています。

— 今日の試合の率直な感想を

がっかりしています。なかなか乗れなかった感じがしました。僕たちが調子づくようなプレーを絶対にさせなかった相手がうまかったのかなと思います。勢いに乗せないように、うまくやられた感じがします。

— 最後に奪ったトライの前には、低い姿勢のキャリーでゲインした

あれは僕の好きなプレー。ああいうかたちだとレッグドライブが可能になるので。あの場面は苦しい試合の中でのポジティブな部分。

— ラインアウトは修正ポイントになる

でも自信を失ってはいけない。(目指してやってきているのは)いいラインアウトだと思っているので、実行するのみだと思ってます。

— チームを見ていて、自信を失っていると感じる時間帯も

すべてがそうではないが、ときどきがっかりしてるときはあったかもしれない。でもそうならずに、「次の仕事にいく」ということをやらなければいけない。。

— 後半の入りは人数的に有利な状況。ハーフタイムはまさに切り替えるチャンスだった

全くその通りですね。フォーカスでした。後半を前半と同じようなスタートにしようという話をしました。(そこで神戸にいいプレーをされてしまった?)そうです。

CTBラズロー・ソード
試合前はナーバスだったんですが、1回ボール触ったら、スイッチオンできたと思います。

— プレシーズンからよく試合には出ていて、先日のトレーニングマッチもすごくよいプレーを見せていた。初キャップを掴めそうだという手応えがあったのでは?

はい。ありました。100%ありました。プレシーズンに役割をちゃんと果たせるように一生懸命練習してきたので。コーチともよくコミュニケーションをとり、いろいろなことを教えてもらってきました。自分の強みはボールキャリーだと思っています。ゲインラインをチームにもたらすっていうところ。

— そのあたりの成長が、自信をもたらしていた

それもそうですし、ワイドエッジのディフェンスも成長できたことのひとつです。タックルですね。そこは改善したいと思って取り組んできました。

2シーズンぶりの復帰となったメイン平 【リコーブラックラムズ東京】

第7節はBR東京初のJヴィレッジスタジアム開催

リーグワンは3月末まで交流戦が続く。第7節は2025年2月8日(土)12:00より、福島・Jヴィレッジスタジアムにて、BR東京のホストゲームとして開催される静岡ブルーレヴス(静岡BR)戦となる。ここまで4勝を挙げ5位につける静岡BRは手強いが、誇りを持って、勇敢に、我慢強く戦えば、必ず勝機は見いだせるはずだ。

静岡BR戦の後は、第8節 浦安D-Rocks戦(江東区夢の島競技場)、第9節 東芝ブレイブルーパス東京戦(秩父宮ラグビー場)とホストゲームが続く。引き続きブラックラムズ東京の応援をよろしくお願いします。

「ふくしま復興のシンボル」であるJヴィレッジスタジアムで初のホストゲーム開催 【リコーブラックラムズ東京】


文:秋山 健一郎、リコーブラックラムズ東京
写真:川本 聖哉、リコーブラックラムズ東京
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