早大競走部 工藤が日本歴代4位のタイムで優勝! 宮岡も61分台を叩き出し、充実したレースに

チーム・協会

工藤慎作 【早稲田スポーツ新聞会】

第28回日本学生ハーフマラソン選手権 2月2日 香川・香川県立丸亀競技場付属ハーフマラソンコース
【早稲田スポーツ新聞会】記事 佐藤結、写真 會川実佑、植村皓大、髙杉菜々子、辻岡真波、長屋咲希
雨上がりの冷え込んだコンディションのなか、第28回日本学生ハーフマラソン選手権(学生ハーフ)が開催された。今年は香川丸亀国際ハーフマラソン(丸亀ハーフ)と併催され、実業団選手と学生が混ざり、ハイレベルなレースを繰り広げた。早大からは工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)と宮岡凜太(商3=神奈川・鎌倉学園) が出場。 宮岡は、ハイペースの展開のなか、冷静に自分のペースを刻み、自己記録を40秒更新する61分台を叩き出した。前回大会3位で表彰台へ上がった工藤は終盤で学生トップに踊り出ると、さらにペースを上げて逃げ切り、優勝。従来の日本学生歴代最高記録を更新する1時間0分06秒で見事に学生ハーフを制した。

レースを走る宮岡 【早稲田スポーツ新聞会】

レースは太田智樹(令2スポ卒=現トヨタ自動車)や篠原倖太朗(駒大)、外国人選手が引っ張る集団を先頭に進められた。最初の1キロの通過が2分49秒前後と序盤からハイペースでレースが展開されるなか、工藤は集団の前方に、宮岡は集団中央に位置取る。先頭が日本記録が狙える14分05秒で5キロを通過すると、徐々に集団は縦長になり、2つに分かれ始める。

6キロ付近では、工藤は第1集団から離れ、第2集団の先頭へ。工藤は、「思ったよりも先頭集団についていく学生選手が多いなと感じていたが、最後までは押し切れないだろうと思っていたので、冷静に自分のペースで刻んでいた」という。宮岡も同じ集団のなかで「飛ばし過ぎず、抑え過ぎず」、自分のペースを守り、様子をうかがう。

一方、依然として日本記録を更新するペースで推移する第1集団についていったのは、東京箱根間往復大学駅伝(箱根)で「花の2区」を走り、区間7位の馬場賢人(立大)。10キロを28分02秒で通過し、積極的なレース運びを見せる。しかし、13・5キロを過ぎると、先頭集団からこぼれてしまい、帰山侑大(駒大)ら学生トップを狙う選手たちと集団を形成。その集団にじわじわと接近してきたのが工藤だ。折り返し後の後半10キロをポイントにしていた工藤は得意の起伏のあるコースでペースを上げ始める。16キロ付近で集団に追いつくと、17キロ過ぎで学生トップに躍り出た。

集団先頭に立った工藤は、さらにペースを上げ、後続との差を引き離しにかかる。競技場に入りたくさんの声援を浴びた工藤は、ラストスパートをかけ、学生2位となった馬場に20秒の差をつけ逃げ切り、1時間0分06秒でフィニッシュ。篠原が持っていた1時間0分11秒という、従来の日本学生歴代最高記録を更新し、日本歴代4位タイ、日本人学生歴代2位の大記録で見事に優勝を果たした。また、7月にドイツで開催されるワールドユニバーシティゲームズの代表にも内定した。

宮岡も終盤は苦しい表情を浮かべたが、終始ペースを落とさず、1時間1秒59でゴール。自己記録を40秒更新し、「正直自己ベスト(1時間2分39秒)と同じくらいなら及第点だと思っていたので、予想外のかたちでうれしかった」と振り返った。

ゴールする工藤 【早稲田スポーツ新聞会】

花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)が「しっかり練習ができて、本番は1=1.2くらい出せるようになってきたので、今後が楽しみ」だと語るように、さらなる躍進に期待が膨らむ、素晴らしい走りで優勝に輝いた工藤。宮岡も大幅に自己記録を更新するなど、充実したシーズンの集大成となった。トラックシーズンの幕開けも徐々に近づいてきている。来年の箱根で優勝する未来を見据えて、まずは来たるトラックシーズンに新チーム一丸となって向かっていきたい。

結果

▽男子ハーフマラソン

工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)  1時間0分06秒(5着)自己新

宮岡凜太(商3=神奈川・鎌倉学園)  1時間1分59秒(81着)自己新

コメント

花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)

工藤は箱根駅伝の疲労が1月中旬に出たので、無理はせずに少し練習はセーブして、心身ともに良い状態で丸亀ハーフを迎えられるようにしようと話していました。丸亀ハーフは前半からハイペースになるので、あまりタイムは気にせずに自分の感覚を大事にしようとも話していました。前半は少し余裕を持って行けたようで、折り返してからもペースが落ちなかったので、うまくレースメイクしたという印象です。しっかり練習ができて、本番は1=1.2くらい出せるようになってきたので、今後が楽しみです。

工藤慎作(スポ2=千葉・八千代松陰)

ーーまずは、学生ハーフ優勝おめでとうございます。優勝した率直な感想をお聞かせください

 優勝することができ、うれしく思います。

--本日のコンディションはいかがでしたか

 箱根後の疲労で満足に練習ができない期間が長かったものの、直近1週間程のコンディションはかなり良かったです。

--レースプランはどのように考えていましたか

 自分ではペーサーの5キロ14分ペースでは走れないと思っていたので、流れに乗りつつもオーバーペースとならないようにプランを立てていました。

--ポイントはどこだとお考えでしたか

 コース折り返し後の後半10キロでの失速をどれだけ防ぐかを意識していました。例年、後半で大きく失速する選手が多い分、ポイントであると考えていました。

--序盤、ハイペースで進む先頭集団につかず、落ち着いて走っていましたが、どのように考えて走っていましたか。

 思ったよりも先頭集団についていく学生選手が多いなと感じていましたが、最後までは押し切れないだろうと思っていたので、冷静に自分のペースで刻んでいました。(ペースを)落とした分、15キロ付近まで1キロ2分50秒程のペースや起伏に対して余裕を感じていました。中盤以降での脚の残り具合が異なったため、起伏も利用し、勢いが違う状態でごぼう抜きすることができ、爽快でした。

--どのあたりでペースを切り替えたのでしょうか

 ペースを切り替えたのは折り返し後の得意とする起伏のある区間でした。

--学生の2人を捉えたのはどのあたりでしたか

 馬場選手(立大)と帰山選手(駒大)を捉えたのは16キロ付近でした。

--沿道からの声援に応えている姿もありましたが、声援はいかがでしたか

 反対車線の市民ランナーの方や沿道の方から「名探偵頑張れ!」とたくさんの応援を頂き、とても力になりました。

--花田監督からはレース後どのような言葉がありましたか

 花田監督からは「すごいな」とお褒めの言葉を頂きました。

--最後に今後の意気込みをお願いします

 今後は日本のトップ格の選手としてマークされた状態でのレースが続くと思いますが、その状況下でも活躍できるように頑張ります。

宮岡凜太(商3=神奈川・鎌倉学園)

--本日のレースの位置づけを教えてください

 シーズンの集大成として、高速レースで力試しをしようという位置づけでした。

--コンディションはいかがでしたか

 箱根後やる気が起きず、1月中旬までは1日1回の練習で過ごしており、その内容はほとんどジョグでした。そこから立ち上げつつ取り組んだので、ベストシェイプ+1キロでした。また、高強度のポイント(練習)もこなせず、自信は無かったです。ただ、10日を切った辺りから調子は上がってきていました。

--どのようなレースプランを組み立てていましたか

 高速レースになると分かっていたので、前半は集団の後ろで行こうと思っていました。飛ばし過ぎず、抑え過ぎずという感じです。ただ、コンディション的に早くにキツくなるだろうとは思っていたので、そこからいかに粘れるかを想定していました。

--レース前半はどのような位置につけていましたか

 4秒遅れでスタートし、案の定前からはかなり遅れて走っていました。その人たちを抜かすことに力を使いたくなかったので、自分の走りを守ろうと思っていましたが、少し無理をしたペースにはなりました。

--自己記録を更新されましたが、狙っているところでしたか

 一番上振れした場合で61分台に設定していたのですが、正直自己ベストと同じくらいなら及第点だと思っていました。なので、今回のタイムは予想外のかたちとなりうれしかったです。

--ご自身の走りを振り返っていかがですか

 正直7キロ辺りから息が上がっていたのですが、体は動いてくれました。5キロを今までで一番早く入ったにも関わらず、10キロ、15キロのラップタイムがあまり落ちておらず、粘れるようになった事が大きかったです。ただ、15〜20キロを14分40秒近辺で走れていれば、(1時間)1分30秒も見えていたところだったので、14分20秒で入っても「突っ込んだ」とならない走力をつけていきたいです。

--今シーズンの練習で意識して取り組みたいことはありますか

 今回のレースで、卑下するほどには自分の練習や日々の取り組みが間違っていないことが分かりました。引き続き走り込みなどの方針は変えず、いかに一つ一つのポイントの質を上げられるかということを意識していきたいです。

--今季初レースとなりましたが、今年の目標を教えてください

 箱根駅伝の8区区間賞が、絶対的な目標としてあります。そのために、年間を通しての活躍が求められると考えています。5000メートルで13分台、1万メートルで28分台を出すことはもちろん、関カレ(関東学生対校選手権)やその他の三大駅伝にも絡む活躍をしたいです。

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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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