2024 Season -Vissel Kobe Attack-

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チーム・協会

【2024 Season -Vissel Kobe Attack-】

【これはnoteに投稿されたYoutaro_Hamadaさんによる記事です。】
こんにちは。

濵田祐太郎です。

先日宣言した通り、J1各チームの特徴を書きます。

今回は2024シーズン王者の神戸です。
長くなったので攻撃と守備に分けることにします。

●基本情報

J1リーグ順位:1位
21勝 9分 8敗 勝点72
61得点 36失点 得失点+25

・基本メンバーと配置

最終節のスタメン 【Youtaro_Hamada】

2024/8/25 神戸vs鳥栖 【Youtaro_Hamada】

●Att -配置-

 攻撃の基本配置は4-1-2-3。そこからの可変を特徴とする。

 まず右サイド。SB酒井選手が高い位置を取り、RWG武藤選手が内側に入る。武藤選手が外のままで、酒井選手が内側に入ることもある。


【Youtaro_Hamada】

 次に左サイド。SB本多選手または初瀬選手がCB横に位置を取り、下3枚を形成することが多い。

【Youtaro_Hamada】

 LWGは基本的に相手DFラインをロックし、低いLSBとの間のスペースはLIHが利用し縦3を形成することが多い。

【Youtaro_Hamada】

 これらがベースとはなるが、アナリストを含めたスタッフからの提案により対戦相手の配置や戦い方に合わせて配置の調整を行う。

●Att -ゴールに直線的なプレー-

 神戸の攻撃の特徴はこの一言に尽きる。

 まずはカウンターである。
奪った瞬間大迫選手にキープさせて、3FWはもちろん、VOやSBが駆け上がってゴール前で数的優位を作る。この迫力は半端ない。
後期広島戦の3点目、山口選手が決めた得点はまさに脅威的なカウンターだった。

 次にリスタートについてだ。
神戸はどの位置でプレーが始まっても得点の可能性を高める選択をする。
ターゲットは大迫。ロングボールを大迫が逸らして武藤が抜け出す。この形で最終節湘南戦でも得点をしたが、シーズン通して猛威を振るった。
また、対角に大迫が位置どり、SBに数的優位を作って折り返しを狙うこともある。このようにゴールに向かう選択をすることで得点には至らなくてもCKを取ることで得点の可能性を高める。

 最後に組み立てについて。
ビルドアップでもまず背後から選択する。特に、神戸CBやGKへのバックパスに反応した相手のラインアップの背後への配球がある。WG(特に大外に張るLWG)のCB背中へのアクションとIHの2列目から飛び出しの2パターンが基本となる。

●Att -司令塔扇原-

 相手が背後を意識してボール周辺に時間ができればVO扇原選手を中心に攻撃を組み立てる。その際も常にゴールに1番近い選択を優先する。

 扇原選手は様々な質のロングパスを正確に通せるだけでなく、厳しくマークされてもボールを受けて捌くことで攻撃を安定させることもできる。守備側からすると彼がボールを受けた時、背後もショートパスもケアしなければならないため非常に厄介なのだ。

 ただ、神戸の選手は全員能力が高すぎる。したがって扇原選手を意識しすぎると他の選手を経由して簡単に前進する。

●Att -強力3FW-

 神戸の選手は全員代表クラスだが、特に前線の選手は試合を1人で決める力を持っている。大迫選手、武藤選手、宮代選手、佐々木選手、パトリッキ選手と名前を挙げるとキリがない。さらに広瀬選手、飯野選手、山内選手らも加えた中から3FWとIHが決まる。観戦者としては次の試合は誰が出るだろうと非常に楽しみである(アナリストとしてはスタメン予想に苦労するが、、、)。その中から数人取り上げることにする。


 まずは大迫選手である。

 対戦相手からの目線だと彼の1番の特徴はキープ力である。

 2人がかりで大迫選手にぶつかっても彼は平然とドリブルやパスを繰り出す。特に後期広島戦では、2人を薙ぎ倒し、バランスが崩れたところにぶつかられても相手を吹き飛ばしたシーンがあった。超人的なフィジカルを広島相手に披露できるのだ。信じられない。

 この絶対的なキープ力があるから神戸の選手はボールを持つ前から大迫選手の位置を把握する。そしてボールが来たらまず大迫選手に渡すことを試みるのだ。

 僕は彼のキープには軸足の位置が大切なのではないかと考える。
彼は軸足をできるだけ深く打ち込んでいる。相手の股下を通過したその奥に打ち込むのだ。そうすることで尻をぶつけやすくし、自分の空間を作っている。相手が思っているよりも早くぶつかることで相手の空間を作らせないことにも成功している。

 このキープを起点に攻撃のスイッチが入る。ここで奪われないから神戸の選手は多くの選手が駆け上がりゴール前に人数をかけることができるのだ。


 次に武藤選手だ。

 彼も強烈なフィジカルを持っている。

 その中でも対戦相手からの視点だと、推進力が脅威的な特徴である。前を向き、スピードに乗せてしまうと誰も止められない。仮にスピードに追いついても腕や体幹で相手を吹っ飛ばして前進できる。武藤選手にボールが渡ればどんな位置からでも1人でシュートまで持っていく力があるのだ。

 加えて、2024シーズンは「ここぞ」という時に得点を決めてきた。ロスタイムでの得点が最も多いのが武藤選手である。この勝負強さは神戸の二連覇を支えたものであり、MVPに相応しい能力である。


 3人目は宮代選手だ。

 宮代選手の特徴は決定力である。

 特にドリブルからのシュートはタイミングを掴みにくい。ドリブス中のタッチと同じリズムでシュートを打てる。このタイミングはGKの反応が遅れるだけでなく、守備者の足を出すタイミングも遅れブロックしにくいのだ。

 彼は以前鳥栖にいた選手で、自主練の時も自分で決めた本数の中で集中力を高めてシュート練習をしていたと聞いている。Youtubeでも上がっていたが、川﨑の寮で生活していた頃に周りにいた選手のプロフェッショナルな生活を間近で見て、その意識は鳥栖在籍時も健在だったと聞いている。


 最後に佐々木選手だ。

 彼は年間を通して途中出場が多かったが、他チームではストライカーとして出続けられるほどの能力を持った選手である。スピードも体力もパワーも決定力もある。

 後期の京都戦で決めたヘディングゴールはまさに佐々木選手と言えるような得点である。ヘディングにしては距離があるが、首の力で枠に飛ばし得点を奪った。

 私生活から改善が見られたと神戸の選手からも2024シーズンの評価が高く、2025シーズンで個人的に最も楽しみにしている選手である。

●Att -Finish-

 神戸の最後の局面はクロスが多い。
2024シーズンのJ1で2番目に多い756本となっている。つまり1試合平均19.9本あげていることが分かる(最も少ないのは東京Vで1試合平均11.9本)。

 クロスにはCF、逆WGは必ず入る。
加えて、IHと逆SBは走り込んで間に合わせる形が多い。
 1番のターゲットはやはり大迫選手である。
組み立ての起点となってからゴール前に入るため、長い距離を走って入ってくる。したがって勢いを持った状態で飛び込むことでマークをつきにくい。そして大迫選手のスペースを作るためにIHや逆WGがニアに潰れる動きとなる。

 クロッサーとしては酒井選手、初瀬選手、武藤選手が多くクロスを上げている。したがって、最後の局面でSBが関わることと右サイドからの攻撃が多いことが分かる。
 クロスの質は非常に高い。頭に合わせるための浮いたボールが多い。スピードあるクロスだけでなく、ちょいんを上げることもある。
 ただ、多少ずれてもターゲットの体幹で強烈ヘディングを叩き込むことができる。



2024シーズンの神戸の攻撃はざっくりとこのような形になります。
すごい選手が多くいてチームの戦術というより個人の紹介が多くなってしまいましたが、お許しください。これが神戸です。

次回は神戸の守備ついてです。神戸は攻撃はもちろんですが、とにかく守備が素晴らしい。多くの海外経験者(特に酒井選手)の考えをもとに成り立っている守備です。守備ではありますが、ボールを持っていない攻撃という考え方に近いです。

ぜひ次回もよろしくお願いいたします。

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