ブレイキン Shigekix(半井重幸)選手 特別講演会「夢への挑戦~グローバルに生きる~」開催
自身とブレイキンの未来を見据え、挑戦し続けるShigekix選手
[Shigekix(半井重幸)選手 プロフィール] 2002年生まれ。大阪府狭山市出身。7歳でブレイキンを始め、14歳でプロとしてのキャリアをスタート。世界各地の大会で多くのタイトルを受賞。2020年、「Red Bull BC One World Final」にて世界最年少で優勝を果たす。日本代表として出場した2024年パリ五輪では、日本選手団を代表して開会式と閉会式で旗手を務めた。 【大阪経済大学】
学生たちの目の前でパフォーマンスを披露
姉の影響を受けて7歳でブレイキンを始めたShigekix選手は、「独自のスタイルで自由に表現できる楽しさに引き込まれました。大会ではDJが流す音楽に合わせて即興でパフォーマンスするところも含め、何においても自由度の高いのが魅力」と語ります。「自分が正解だと思うダンスを突き詰めていった先に、唯一無二の存在になれる未来が待っていると感じました。今もまだダンサーとしてまったく完成していない。理想のダンスやスタイル、存在を突き詰めていく途中です」
高校を卒業して東京に拠点を移したShigekix選手でしたが、間もなくコロナ禍となって思い通りに活動できない日々が続きました。そんな状況下でも、初めての一人暮らしで食生活に気を配り、表現力の可能性を広げるためにフィジカルトレーニングも始め、試行錯誤しながら練習に取り組んでいたといいます。「今が踏ん張り時だと思って取り組んでいたら、2020年末に『Red Bull BC One World Final』で優勝するという、うれしい出来事が起きました。ここから僕の人生は大きく変わりました。コロナ禍の中でとにかく練習するしかないという気持ちでやっていたけれど、振り返ってみれば自分にとってかけがえのない時間だったのかなと思います」
パフォーマンスを披露するShigekix選手 【大阪経済大学】
次世代に向け、ブレイキンの魅力を発信
「ブレイキンの認知度が高まり、多くの人からポジティブな反応が得られたことがうれしい」と話すShigekix選手。最もうれしかったのは、五輪を終えて帰国し、ブレイキンの競技をテレビの前で見ながら、真似をしてダンスしている子どもたちの映像を見た時だと言います。
まだ22歳のShigekix選手は、「五輪は大きな目標ではあったけれど、ゴールではない。ブレイキンの技術も人としても、もっと成長していきたいという気持ちで歩み続けています」と、挑戦する気持ちは変わらないと話します。ただ、五輪を経て意識の変化もありました。「五輪でたくさんの応援をいただいて、自分の力になりました。その感謝の気持ちを返したいという思いがあり、ブレイキンとの出会いを通して、人生が変わった、楽しくなったという人を増やしていきたいと強く思うようになりました。僕が挑戦し続ける姿を見せることで、自分も頑張ってみようと思える活力になればうれしいと思っています」
とくに、次世代に向けて発信していきたいと考えており、現在は国内各地の小学校でダンスの特別授業を行っています。「本格的に競技をするだけではなく、趣味で楽しむのもいいし、いろんな形でブレイキンに触れて、ポジティブなエネルギーを感じてほしい」と話します。
競技外での多様な活動にも全力で挑む
「CMの“ありえない、を超えよう。”というコンセプトは、まさに自分のキャリアの中でのテーマと同じ。新たな挑戦の一つとして、作品づくりに臨みました。どれだけ良い企画や機材があっても、自分がちゃんとエネルギーを持って臨まないと人の心には届かないと思っています。この映像を見て、興味を持ってこの学部に入学する人がいるかもしれない。人の人生を変えるかもしれない仕事に関わっているのだから、全力で挑もう。何事においてもその気持ちを大事にしています。映像やCMの専門知識はないけれど、ダンサーの目線でかっこいい映像になるようにと考え、スタッフの方とお話しました。CMは周囲からも好評でしたね」
【大阪経済大学】
今後の目標としては、まず一つずつの大会やパフォーマンスの機会を大事にしていくこと。「プレイヤーとしてかっこいい姿を見せないと、どんな活動をしていても説得力がない。やはり、本質で見せることを一番大事にしたいですね。2025年11月に『Red Bull BC One World Final』が東京で開催されるので、注目してもらえたらうれしい。そして、次世代に向けた活動も継続していきたいと考えています」
特別講演会の様子 【大阪経済大学】
グローバルに活動する中で得たものとは
これまでに訪れた国は50カ国ほどにのぼります。「もう一つの良さは、いろんな世界を見てきたからこそ、自分が生まれ育ってきた環境や日本という国の魅力や価値を再確認できるし、自分が何を大事にしたいのかが見えてきます」と話します。
「これまで世界で見てきた景色や感じたこと、価値観が今の自分を作り上げていると思う」と話した上で、「自分のキャパシティを超える場所にあえて身を置くことを大事にするようになりました。何か自分の殻を破りたいと思った時は、そうしたチャレンジが必要。パリ五輪でも、プレイヤーとしては出場したいけれど、ただの一人の人間としてはあんな緊張感のある舞台に立ちたくはありません。でも、プレイヤーとしても自分の人生を考えても、あの舞台に立ったことは自分の新たなスタートになったと思います」と語りました。
最後に、学生たちに向け、「これからの時代を引っ張っていくのは、僕たちの世代です。何年か先、今日ここで話していたように今も頑張っているなと僕の活動が皆さんに少しでも力を与えられたらうれしいし、僕自身も皆さんの夢や目標を応援しています。夢や目標に向かって全力で突き進んで、その間にいろんな仲間に出会って、最高の人生を歩み続けることを祈っています」とエールをおくり、講演を締めくくりました。
同年代のShigekix選手がこれほど真摯な思いでブレイキンに取り組んでいる姿、未来を見据えて活動している姿を知り、学生たちは間違いなく大きな刺激を受けたでしょう。今回の講演が新しい一歩を踏み出すきっかけになってくれることを期待します。
Shigekix選手と参加者全員で記念撮影 【大阪経済大学】
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ