【第5節レビュー】接戦が続くS東京ベイ戦、“finish strong”を目指すもわずかに届かず

リコーブラックラムズ東京
チーム・協会

先制トライを奪い試合序盤を制したが、流れが相手に傾いた後半に連続トライで逆転を許し18-26で敗れた。

リーグワン第5節、リコーブラックラムズ東京(BR東京)は東京・スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場)にて、5位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)とのビジターゲームに臨んだ。今節も先制トライを奪い試合序盤を制したが、流れが相手に傾いた後半に連続トライで逆転を許し、18-26(前半15-11)で敗れた。

第4節に主将のHO武井日向、ここまでゲームドライバーを務めてきたSO中楠一期らが負傷。それにともない今節はHOに佐藤康、SOにSHを務めてきたTJ・ペレナラが入り、SHに髙橋敏也が入る布陣が敷かれた。PRには昨季アーリーエントリーでの出場は果たしていたが、今季は初出場となるルーキー・津村大志が先発に名を連ねた。

試合の入りは、今節もBR東京がいい動きを見せた。2度のキックチャージを成功させてゴール前スクラムのチャンスを掴むと、これを足がかりにFWとBKが一体となった激しいアタック。前半12分、SO TJ・ペレナラがトライエリアに華麗に飛び込むと、FB伊藤耕太郎がCVを成功させ7-0。その後、規律が乱れ15分ほどの間に6つの反則を犯す苦しい時間に。それでも15分、27分のPG2本による失点に食い止めると、29分に敵陣ラインアウトからのアタックで、WTBロトアヘアアマナキ大洋がトライ。12-6とした。

しかし、直後の31分に故意のノックフォワードでイエローカードが出され1人少ない状況ができると、直後にトライを許し12-11と詰め寄られる。だが、そこから冷静にプレーし、前半終了直前のアタックで反則を誘うと、PGを成功させ15-11で試合を折り返す。

後半7分、BR東京が先にカードを切る。PRサミュエラ・ワカヴァカ、パディー・ライアン、FL松橋周平を投入しもう一度流れを掴みにいくと、S東京ベイも11分に6人を入れ替え対抗。S東京ベイは13分にラインアウトモールから仕掛けた8番が、18分にラインアウトからワイドにボールを動かすアタックで13番がトライを決め、BR東京は15-23とリードを奪われた。

それでもセットプレー、特にスクラムで優位を築いていたBR東京は、23分に敵陣で激しく攻めて倒れ込みを誘い、PGを決め5点差に詰め寄る。しかし27分にPGを返され18-26。最後の10分はアタックを重ねたが、スコアまでもっていくことができなかった。

第5節を終えて、通算成績は1勝4敗、勝ち点5。順位は11位となっている。

リーグワン2024-25 第5節 BR東京 18 - 26 S東京ベイ 【リコーブラックラムズ東京】

試合経過

前半10分[BR東京]
アタックに転じ右サイドを突く。ゴール前でボールを失ったが、トライエリアからのキックをSH髙橋敏也がチャージ。BR東京のスクラムに。

前半12分[BR東京]

スクラムから攻める。FWが近場でキャリー。頃合いを見てボールを散らしていく。CTB池田悠希、WTBロトアヘアアマナキ大洋、SO TJ・ペレナラと繋ぎ中央にトライ。CVをFB伊藤耕太郎が成功させ7-0。

前半15分[S東京ベイ]
再開のキックオフの争奪でBR東京に倒れ込み。正面やや左、40m付近からPGを決めて7-3。

前半18分[BR東京]
自陣スクラムを押しペナルティを奪う。PR津村大志がガッツポーズ。

前半23分[S東京ベイ]
S東京ベイがほぼ中央、ゴール前のスクラムから右展開。トライエリアに運んだが、映像確認を経てタッチラインを踏んでいたためトライキャンセル。

前半27分[S東京ベイ]
BR東京陣内ラインアウトからアタック。接点でスチールを狙ったBR東京に反則。22m内、ほぼ正面からPG成功で7-6。

前半29分[BR東京]
敵陣浅めのラインアウトから攻めボールキャリーを繰り返す。CTB礒田凌平からパスを受けたSO TJ・ペレナラが左にスライド。FB伊藤耕太郎、WTBロトアヘアアマナキ大洋と繋いで左サイドにトライ。CVは不成功も12-6。

前半31分[BR東京]
自陣10m付近のディフェンスで、WTBロトアヘアアマナキ大洋が相手のパスを狙うがデリバレイトノックフォワード。イエローカードが出て、10分間の退出処分に。

前半32分[S東京ベイ]
BR東京陣内22m内でラインアウトモールを組む。BR東京が人数を欠き空いていた左サイドへ12番がキックパス。11番が左隅にトライ。CVは不成功ながら12-11。

前半36分[BR東京]
敵陣に攻め込むとS東京ベイにオフサイド。22m付近、ほぼ正面の位置からFB伊藤耕太郎が時間を使いながらPGを決め15-11。リードを保ち前半を終える。

後半6分[BR東京]
PR津村大志をサミュエラ・ワカヴァカ、大山祥平をパディー・ライアン、FLリアム・ギルを松橋周平に入替。

後半13分[S東京ベイ]
BR東京陣内のラインアウトから攻めると、BR東京にハイタックル。PKでゴール前まで前進すると、ラインアウトモールを押し、飛び出した8番がトライ。CVは不成功、15-16となる。

後半16分[BR東京]
NO8ファカタヴァ・アマトをブロディ・マクカランに入替。

後半18分[S東京ベイ]
ハーフウェイ付近のラインアウトから左に展開、エッジをえぐる。守りが偏ったところを右サイドに戻され、ギャップを抜けた13番が右サイドにトライ。CV成功で15-23。

後半23分[BR東京]
敵陣中盤のラインアウトから攻めると、密集でスチールを狙った相手選手が反則。正面やや左、25mほどの位置からPGを決め18-23。

後半27分[S東京ベイ]
BR東京陣内のラインアウトから展開。右サイドをえぐり、折り返すとBR東京にラインオフサイド。正面やや左、22m付近からPGを成功させ18-26。

後半27分[BR東京]
SH髙橋敏也を南昂伸に、HO佐藤康を大内真に、CTB礒田凌平をPJ・ラトゥに入替。

後半30分[BR東京]
FB伊藤耕太郎をセミシ・トゥポウに入替。

後半32分[BR東京]
SO TJ・ペレナラがパスを阻みにいき後方にこぼれたボールを確保、自陣からアタック。左サイドを突きWTBロトアヘアアマナキ大洋からCTB PJ・ラトゥにオフロードパス。内側をフォローしたSH南昂伸に繋いだが惜しくもノックフォワード。

後半35分[BR東京]
敵陣の相手スクラムを押すとノックフォワードを誘ってマイボールスクラムに。ここからアタック。パスを繋ぎCTB PJ・ラトゥがギャップを抜けかけたが、ここも惜しくもこぼれる。

後半38分[BR東京]
ラインアウトからフェーズを重ねるが、堅い守備をこじ開けられない。キックでエリアを獲るが、ラインアウトをキープされキックアウト。ノーサイドを迎える。

試合後インタビュー

タンバイ・マットソンヘッドコーチ
いいエフォートを見せているのに結果が出ないというのはすごく残念です。負けてしまい、ボーナスポイントを獲れないというのは本当に残念なんですけど、それでも僕は彼らの見せてくれたエフォートを誇りに思っています。今日もすごくいいパフォーマンスを見せてくれた選手がたくさんいました。ビジターとしてのゲームではありましたが、自分たちもいいプレッシャーをかけられたと思います。ただ、相手はうまくそれを吸収したというか。クボタさんはしっかり自分たちのチャンスを活かして、最後はプライドを持っていいディフェンスを見せていました。コネクションの強いオーガナイズされたチームだと思いました。今日も裏にキックを入れられて苦しめられたので、バイウィークの間、次のブロックに向けて、そこはビッグフォーカスなると思っています。

ー TJ・ペレナラ選手を10番でプレーさせた理由は

彼がプレーしたいというので(冗談めかして)。ディシジョンの1つは、先週何人かケガ人が出てしまったが、バック3を動かさず、安定させたいというのがありました。(伊藤)耕太郎も成長中の10番なんですけど、後ろを安定させることのほうが大事かなと。経験のある9番の(髙橋)敏也もずっと辛抱強く待っていてくれました。そして、TJもワールドクラスのコンペティター、ゲームドライバー。10番での経験もすごくある。ですので、結構簡単なディシジョンでした。ゴールキックをどうするのかという部分以外は。

— クロスゲームが増えていて、試合数も増えている。ローテーションということも少し考えるか

本当にいいリーグです。接戦が多く、エキサイティングでチャレンジング。先週から9名の変更がありました。それはケガなどの関係で起きているものなんですが、バイウィークを終えて戻ってくるメンバー、よりフレッシュなメンバーが増えてくるとは思います。最初のブロックは終わりましたが、まだ多くの試合が残っているので、一応そこ(ローテーション)は考えたりもします。

SO TJ・ペレナラ
この試合もいいスタートを切れました。練習してきたこともしっかり出せて、そこから得点できて、プレッシャーをかけることもできたかなと思います。前半のディシプリンのところは残念でした。そこで相手が自分たちにプレッシャーをかけるチャンスを与えてしまった。ショットをも狙わせてしまい、ペナルティからスコアもされているので、この部分はレビューポイントになる。でも、たくさんいいこともやっています。1勝4敗ということで自分たちが求めている結果は出せていないんですけど、4敗の中にも勝つチャンスはあったかなと。そこもしっかりと振り返って、いいこともしてきているということも理解して、いいフィニッシュができるように。いいエフォートを勝利へと繋げていきたいと思います。

— 10番でプレーする上で気をつけたことは

キーフォーカスは全員がちゃんとゲームに入りやすいようにすることでした。ドライバーとしていかにチームをいいポジションに入れるか。また特定の選手にいいキャリーをしてもらおうとか、そういうことも考えながらやりました。すごく楽しめました。敏也は9番としていい選手ですし、イケ(池田悠希)も12番ですごくいいパフォーマンスを見せてくれています。いい未来が待ち受けている素晴らしい選手に囲まれてすごくやりやすかったです。

— 後半は相手陣内に入ったが獲りきれなかった。何を修正するべきだと考えるか

いくつかありますが、まずクボタさんがいいディフェンスをしていた。そこは間違いない。なぜ彼らが倒しにくい相手となっているのか、それを証明していたと思います。あとは自分たちが長く実行し続けられなかった。クボタさんは長い時間ディフェンスしていても問題ない、そういう自信のあるチームだと思うので、そういう相手に対しては自分たちも長い時間アタックするための準備をしなければいけなかったと思います。

— 先発での10番は初めてとのことだが、背番号をもらったときどんな感じがしたか

そこは9番でプレーするときと変わらないというか。僕はいろいろなものを与えてくれたラグビーに感謝しています。必ず儀式のような感じでジャージを見るんです。チームにこの機会を与えてもらっていること。自分の好きなことをやらせてもらっていること。そういうことに感謝しながら。だから、10番だからというのは特にはないんです。

PR 大山祥平
結果は残念でした。でも久々の先発でいつもより長い時間出場できて、スクラムも最近の試合では一番よかったんじゃないかと思います。個人的には次に繋がる試合ではありました。

— 前半をまかされた。どんなことを意識したか

チームとして“finish strong”というテーマがありました。後半に入るとだんだん調子が落ちてくるというのが課題ではあったので。そこでインパクトをというのがあって、パディー(PRライアン)が後半に回ったというのもあったと思います。ただ、前半に出る自分たちが試合を崩しちゃいけないので、とにかく責任を果たそうと思っていました。

— ここまで後半に苦しんだケースもあったが、スクラムは健闘していたようにも

ヘッドコーチから先発でいくと伝えられたとき、調子を聞かれたんです。個人的な感覚でしかないのですが、だんだん調子は上がってきていると思っていたのでそう答えたら、タブス(ヘッドコーチ)もそういう風に見えると言ってくれた。自己評価とコーチ陣の評価が近かったので、自信を持ってプレーできた。

— どこを修正すれば、惜敗を勝利に変えていけるか

ペナルティとハンドリングミス。ここはもう練習で突き詰めてやるしかない。そこに尽きるからこそ、悔しいんです。

HO 大内真
個人としては久々にシーズン戦に出場できたことが率直に嬉しいです。一方で、やっぱり(HO武井)日向がケガで欠場というところで、彼が身体を張ってずっとここまで引っ張ってくれていたので、その代わりだという重みも感じながらプレーしました。日向もすごく応援してくれていたので。

— コンタクトの激しさなど、公式戦でしか味わえないものもあったと思うが

このオフはニュージーランドに行き7試合くらい出させてもらっていたんです。そういう経験も含めてやってきたことが通用したかなというのは、自分としてはあります。緊張するということもなくて、自分が準備していたものは出せたかなと。

— 後半からの出場だった。どんなことを心がけていたか

チームとして“finish strong”ということを意識していました。全てのことにおいて。それも終わりだけよければいいんじゃなくて、自分も入った瞬間から集中してやりきることを目標にしていました。強みのキャリーの部分だったりは、できていたかなと思っています。

— それ以外にS東京ベイという相手に挑む上で意識していたことは

身体が大きくて強いフィジカリティのあるチームというイメージはあるんですけど、自分たちだって身体は大きいしフィジカリティは強みなんだと。そこで引いてはいけないと。特に得点できていない後半のラスト20分、その部分で引いてしまってモメンタムをなくすようなことはあってはいけない。そんな話をしていました。

— ダイレクトに身体をぶつけていくプレーを選んでいく場面も多くあった

ただ、ダイレクトにいきながらも速いラグビーをしたいので、短いパスを入れたり、ブレイクダウンではサポートする選手がしっかり相手を止めて、停滞しないようにすることを徹底したりしています。

FL ブロディ・マクカラン
今日は25分くらいだったかな。前の試合から少し空いたので。でも今週はいい準備ができて、みんなめっちゃ自信を感じながら試合に臨めたんです。勝てるぞっていう雰囲気もあった。でかい選手がたくさんいてセットピースは強いけど、自分たちもでかいんだから十分勝負できるって。でも、後半にいいトライをされて、それで厳しくなってしまったね。最後は22mの先に入れてはいたけど、点数が獲れなかったのは残念でした。イージーミス、ペナルティとか。でも、それさえなくせればよくなる。

— 試合の終盤は相手も集中して守っていた。プレッシャーを受けていたか

いや、そういう感じはなかった。焦ってもいなかったし。最後、ペナルティを獲ったところはトライする自信もあった。

— 2週間空くが、その間にどんなことをしたいか

長い時間、試合に出ていた選手もいるのでまずはリカバリーですね。そしてスコアゾーンに入ったときに、どうやって点を獲っていくかの部分。

SH 髙橋敏也

もともとTJ(・ペレナラ)は一番好きな選手だったので、9番、10番を組めたのは単純に嬉しかったです。すごいやりやすかったです。プレシーズンも何回かは僕が9番でTJが10番というのをやっていたんですけど、今週はそれを本格的にやって、準備の段階でいいコミュニケーションがとれていたので。

— TJに預けるというかたちばかりではなかった

チームとして15人でアタックするというマインドで、スペースがどこにあるかを探しているので。

— いい試合はするが、勝ちきれない試合が続いている

今日はフィニッシュのところを大事にしていたんですけど。チャンスはあったんですが、やっぱそこをものにできないっていうのが続いてしまっている。2週間、次のブロックまでいい準備をして、いい結果が出せるように。

— 個人として意識したことは

TJに替わって9番に入ることになったんですけど、そこを意識しすぎず、自分のプレーをやろうと。パスのところと9番回りのシェイプ。そこのオーガナイズをしっかりやろうと思っていました。あとは、自分を信頼して選んでくれたチームをがっかりさせたくないという思いですね。でも、今シーズン初めての先発だったので少し緊張しました。

この日はSOを務めたTJ・ペレナラ 【リコーブラックラムズ東京】

今季初先発を掴んだ若きFW陣が奮闘した 【リコーブラックラムズ東京】

試合翌日の19日(日)には、東京・世田谷のリコー総合グラウンドで、S東京ベイとのトレーニングマッチが開催され、前日のリーグワンのゲームに出場しなかった選手たちが躍動した。WTBの西川大輔や高本とむ、CTBのラズロー・ソードらの思いきりのいいランや、千葉太一、笹川大五、新加入が発表されたシオネ・アフェムイらPRの競争を激しくしてくれそうなメンバーたちのパワフルなプレーで、来場したファンを沸かせた。

バイウィークを挟み、第6節は2月1日(土) 12:00からビジターでコベルコ神戸スティーラーズとの一戦

リーグワンは第5節を終了。第6節は試合のないバイウィークを挟み、2週間後の2月1日(土)12:00から、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で開催されるコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S/現在6位)戦となる。故障からの復帰選手や、トレーニングマッチでよいパフォーマンスを見せた選手たちのプッシュにも期待したい。

神戸S戦の後は、第7節 静岡ブルーレヴズ戦(Jヴィレッジスタジアム)、第8節 浦安D-Rocks戦(江東区夢の島競技場)、第9節 東芝ブレイブルーパス東京戦(秩父宮ラグビー場)とホストゲームが続く。引き続きブラックラムズ東京の応援をよろしくお願いします。

静岡ブルーレヴズ戦 チケット一般販売中 【リコーブラックラムズ東京】

浦安D-Rocks戦 チケット一般販売中 【リコーブラックラムズ東京】


文:秋山 健一郎、リコーブラックラムズ東京
写真:川本 聖哉、リコーブラックラムズ東京
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