JpnI2勝のカジノフォンテンが登場!4年ぶり勝利なるか、得意の高知勢か/佐賀・ゴールドスプリントデータ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2024年優勝リーチ 【撮影:佐賀県競馬組合】

第4回ゴールドスプリント(4歳以上、ダート1300m、地方全国交流)
1月12日佐賀4レース 17時00分発走予定


2022年に創設された短距離重賞・ゴールドスプリントが今週末12日に行われる。
地方全国交流で、今年はJpnI2勝のカジノフォンテン(船橋)、重賞5勝テイエムサウスダン(佐賀)、兵庫ダービー馬スマイルサルファー(兵庫)など実績馬が多数参戦する。一方で、この半年以内に重賞勝ちのある勢いある馬も多数。どちらに軍配が上がるのか、注目が集まる。

ここでは当レース過去3回に加え、舞台となる佐賀ダート1300mの2024年のデータを元に分析する。

高知が好成績も吟味が必要か

最多2勝を挙げる高知は、ダノングッドが2022年、23年と連覇したもの。それに対して他の3頭はみな4着以下かと思いきや、こちらもすべてダノンジャスティスによる成績で、高知からは2頭しか出走をしたことがない。データ上は好成績だが、数字通りに受け取っていいか吟味は必要。ただ、他の重賞レースにおいても高知所属馬は軒並み好成績を収めており、佐賀の馬場やレースとの相性は高い。
勝利こそないものの、安定して上位に入っているのは大井と川崎。一方で、これまで佐賀の重賞を多く勝ってきた兵庫は不思議と当レースは未勝利どころか、3着以内は一度もない。

所属別成績 【表1】

創設年は伏兵の逃げ粘りも、その後は堅い決着

当レースでは毎年、3着以内に単勝3番人気以内の馬が複数頭入っている。その中でも24年は3番人気→2番人気→1番人気と上位人気3頭での決着。過去3回中2回で3連単7000円未満となっている。唯一の波乱は22年。7番人気ロトヴィグラスが2着に粘ったことで3連単は2万9080円だった。

単勝人気別成績 【表2】

先行不利、差し有利なレース傾向

前項で「レース創設年に7番人気馬が逃げ粘って波乱を起こした」と記した。では、脚質別成績はどうかというと、やはり逃げは好成績。地方の小回りコースだから当たり前だと言われればそうなのだが、中でも連対率は同コースの昨年1年間と比べても10%以上高い数値となった。
同様に昨年の同コース成績と比べて10%以上好成績だったのは差し馬。短距離重賞ながら、意外と差しが届いている。
対照的に成績が芳しくないのは先行馬。連対率は0%で、3着内率も昨年同コース成績と比べて10%以上低かった。

※オレンジ色:佐賀ダート1300m(2024年)のデータと比べ数値が10%以上アップ
 紺色:佐賀ダート1300m(2024年)のデータと比べ数値が10%以上ダウン

脚質別成績 【表3】

最内枠などが比較的好成績か

人気薄も含め好成績を収める逃げ馬は、どの馬番だとより良いのか。同コースの昨年1年間の馬番別成績が下表。大きな差はないものの、最内枠の1番,5番,9番が比較的好成績を収めている。

逃げ馬の馬番別成績 【表4】

38秒以下の末脚が求められる

短距離重賞ながら、当レースでは差しが好成績。では、どのくらいの末脚を使える馬なら上位入着が可能なのか。
下表は当レース過去3回の上がり3ハロン別成績をまとめたもの。3着以内に入るには38秒以下の末脚が求められる。一方で、それだけの末脚を繰り出しながらも3着まで届かなかったのは2頭。23年5着エイシンビッグボス(兵庫)と同6着ダイリンウルフ。この年は不良馬場のレコード決着で、後ろから運ぶ馬には不利だった。

差し馬の上がり3ハロン別成績 【表5】

“ほぼ勝っている”多田羅誠也騎手(高知)

当レースは地方全国交流のため、他地区の騎手も4名が騎乗する。そうなると、佐賀コースの実績が気になるところ。そこで、2020年~2024年の5年間の騎手別成績をまとめたのが下表。
多田羅誠也騎手(高知)は当レース連覇のダノングッドのほか、アンティキティラで花吹雪相と佐賀ヴィーナスカップを、トサノマイヒメでフォーマルハウト賞を勝利。4着以下3回のうち1つは超ハイレベルなJBCレディスクラシック、もう1つは佐賀所属馬への騎乗のため、高知所属馬で地方重賞に乗ればほぼ勝っていることとなる。騎乗数は少ないが、注目すべき存在だ。
一方で、大山真吾騎手(兵庫)の4勝はすべて佐賀所属馬に騎乗し、一般戦でのもの。直近5年で重賞勝利はないが、昨秋の騎手不足時に助っ人で騎乗したり、重賞遠征時にエキストラ騎乗するなど騎乗数が多い。

なお、下表は当レースに騎乗予定の騎手のみを抽出した。

騎手別成績 【表6】

若手のホープ・大山龍太郎騎手(兵庫)

上記の表に関連してもう一つ。
大山龍太郎騎手(兵庫)は2021年4月デビューの若手。佐賀での騎乗経験は2回のみで、22年ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)トライアルラウンドだった。同レースの騎乗馬は抽選で決まるため、初めてコンビを組むことになるにもかかわらず2着、4着。その好成績もあと押しして、その年のYJSではファイナルラウンドに進出し総合2位だったように、将来を嘱望される若手だ。
なお、地元の園田・姫路競馬以外での重賞は今回騎乗するイモータルスモークの前走・笠松グランプリ2着が初めてだった。

データからの推奨馬は?

①上位人気
②逃げ馬
③差しで、近走上がり3ハロン38秒以下を使えている馬(佐賀ダート1300m以上)
④多田羅誠也騎手(高知)

実績から上位人気の一角になりそうなのは⑤カジノフォンテン(船橋)。21年川崎記念、かしわ記念とJpnI2勝の実績馬だ。そのかしわ記念以降、4年近く勝利から遠ざかってはいるが、前走・ゴールドカップは勝ち馬からそう離されずに食らいつき、悪くない内容だった。JpnIを勝った時のように逃げる競馬を最近はできていないが、メンバー的に逃げられる可能性がありそうで、もし逃げるのであれば5番枠は好成績。一方で、控えたとしても競馬ができる馬。①と、一応②に当てはまる。

もう1頭、逃げ候補は①ロードミッドナイト。こちらは逃げると強いタイプで、佐賀移籍初戦の重賞・佐賀オータムスプリントがまさにそんな競馬だった。前走でスタートダッシュがあまり良くなかった点は気になるが、2走前は内の速い馬についていくため序盤から出ムチを入れて出して行きながらも、ラスト50mまで先頭で粘り通した。逃げ馬の最内枠成績も良く、②に該当。

⑦ダイリンウルフは佐賀出戻り初戦だった前走の重賞・ウインターチャンピオンの末脚が強烈だった。中団インで脚を溜めて上がり3ハロン37秒8で直線で鋭く伸びた。③に該当。

⑩イモータルスモーク(高知)も上位人気の一角になるだろう。近3走は重賞で1勝、2着2回と安定した成績。2着の2走はともにクビ差であと一歩だった。大山龍太郎騎手(兵庫)は佐賀経験が浅いが、しっかり結果を残してくれそうな若手。①に該当。

また、多田羅誠也騎手(高知)騎乗の②ナムラボス(高知)、伏兵ながら前走タイムが上々の⑫ヘクトパスカルも面白そう。

第4回ゴールドスプリント 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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