【週刊グランドスラム284】アジア・ウインター・ベースボールを制した安藤 強監督が見る現代の社会人野球

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2009年の都市対抗でHondaを優勝に導いた安藤 強さんは、NPB WHITEを率いてアジア・ウインター・ベースボールを制した。 【写真=宮野敦子】

 アジア・ウインター・ベースボール2024(AWB)決勝では社会人選抜とNPB WHITEが対戦し、3対1で勝利したNPB WHITEが優勝を果たす。巨人、東京ヤクルト、オリックス、埼玉西武の混成チームを率いたのは安藤 強監督だ。東海大から1986年に本田技研(現・Honda)へ入社して6年間プレーし、マネージャー、コーチを経て2007年に監督へ就任すると、長野久義らを擁して2009年の都市対抗を制した。
 2015年からは社会人日本代表監督を務め、第27回BFAアジア野球選手権大会で3位。2016年には、プロと社会人の混成で臨んだ第1回U-23ワールドカップでコーチを務めて優勝を経験する。そして、2017年からは母校・東海大で監督に就き、2021年には巨人の社長付編成アドバイザーに就任した。翌シーズンからは三軍総合コーチ、二軍で総合コーチやヘッドコーチを歴任し、2025年からはフロントへ転任する。
 試合前には、グラウンドで社会人選抜の川口朋保監督らスタッフと談笑する姿があった。野球人生の大半を過ごした社会人野球は、現在の安藤さんの目にはどのように映っているのだろうか。
「私が監督をしていた頃は、まだAWBがありませんでしたが、現在の社会人選抜を見て、全国各地から選手が集まっていることに驚きました。しかも、全日程参加の選手もいれば、前半と後半で入れ替わる選手もいるという。それだけ、人材が豊富だということ。素晴らしいですね。時代の流れとともに、いい変化が生まれているのだと感じます。その中で、積極的に攻撃する姿勢は変わっていませんね。バットという武器で、相手投手にどんどん向かっていく。投球が甘く入ればしっかりと打ち返しますし、攻めの姿勢は受け継がれていると感じました」

プロの世界から温かく社会人を見守る

 社会人選抜との初対戦は1対3で惜敗するも、2戦目は2対1で勝利を収めた。打線が好調で大量得点の目立つ社会人選抜だったが、NPB WHITEとの対戦ではロースコアの展開を強いられる。

NPB WHITEを相手に力投する遠藤慎也(日本新薬)。社会人選抜は1勝2敗1引き分けと苦戦し、決勝でも惜敗した。 【写真=宮野敦子】

「今はプロの立場にいますが、やはり社会人選抜は気になります。開幕から7連勝したのも嬉しかった。NPB WHITEが連勝を止めてしまったんですけどね(笑)。社会人選抜がどんどん攻めてくる中、うちの投手も頑張りましたよ。試合となれば真剣勝負ですが、プロを相手にいい経験を積んでもらいたい」
 続く3戦目は1対1の引き分け。4戦目は10安打と打線がつながって7対4で勝ち越しを決めた。そして、決勝では5人の継投で社会人選抜打線の勢いを止めた。
「現在、社会人日本代表が目指しているのはアジアのトップですよね。その目標達成に向けて頑張ってほしいですし、王座を死守し続けてもらいたい。監督だった2015年のアジア選手権は、韓国とチャイニーズ・タイペイに敗れて3位。韓国には9回裏二死から逆転サヨナラ2ラン本塁打を許し、チャイニーズ・タイペイにも1対1の同点で迎えた7回裏にホームランを打たれて負けました。一球に泣いたあの悔しさを、今でも覚えています。現在の日本代表には、あんな思いをしてもらいたくない。そして、これからの社会人野球に期待しています」
 そう話す眼差しはとても優しく、温かさが溢れているように感じた。プロの世界で活動しながらも、安藤さんは社会人野球のOBとして、後輩たちを見守っている。
【取材・文=古江美奈子】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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