【順天堂大学】競技と研究活動の両立!クレー射撃アジア大会銅メダリスト小島有加選手 感覚だけでなく客観的データも活用して

チーム・協会

【JUNTENDO UNIVERSITY】

9月20~30日にカザフスタン・アルマトイで開催されたクレー射撃のアジア大会「Asian Shotgun Cup 2024」で銅メダルを獲得したスポーツ健康科学研究科博士前期課程2年の小島有加選手。小島選手は、昨年、世界選手権やアジア選手権に初出場するなど、成長著しい期待の選手の1人であり、2028年のロサンゼルス五輪出場を目指しています。
一方、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科では博士前期課程2年生として、クレー射撃における視線行動に関する研究活動も行っています。競技と研究活動を両立している小島選手に思いや今後の目標をうかがいました。

「勉強したい」という思いから競技と学業を両立

―アジア大会銅メダル獲得、おめでとうございます!
ありがとうございます。日本が国際大会でメダルを獲得するのは約5年ぶりということもあり、本当に嬉しいです。去年初めて国際大会に出場してからメダル獲得を目指して努力してきたので、努力が実を結んだと感じていますが、やはり金メダルを目標にしていただけに、少し悔しい気持ちもあります。また、今回のメダルはmixチームで取ったものなので、この経験を糧に個人戦でもメダルを獲得できるようにさら頑張ります。

銅メダルを獲得した小島選手(左)。右は戸口選手 【JUNTENDO UNIVERSITY】

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―競技力を向上させる一方で、大学院にも通われていますが、練習と研究活動を両立させる生活は、いかがですか?
普段は、さくらキャンパス近くの成田射撃場でトレーニングをしています。午前中は射撃に集中し、午後からは大学で研究に取組む日々を送っています。授業は基本的に本郷クラスの夜間授業を選択し、練習時間を確保していました。
大学院での勉強と競技を両立する中で、どちらかをおろそかにすることは避けたいと強く思っています。どちらも自分にとっての挑戦であり、今の自分を形成しているものであると考えています。もちろん、どちらも完璧にこなそうとすると正直大変な瞬間もありますが、自分で「勉強したい」と決意して選んだ道であるからこそ、その責任をしっかり果たしたいと思っています。大変だなと思ったときは、優先順位を見極め、無理をせずに一歩ずつ前進することで、バランスを保ちながら両方に対して向き合うことを心がけています。また、休養をしっかり取ることも大切にし、心身をリフレッシュして次の課題に取り組めるよう努めています。

小島選手 【JUNTENDO UNIVERSITY】

―競技と学業の両立には強い意志が必要ですね。
研究や学業に集中する時間が必要な一方、クレー射撃には集中力と緻密なトレーニングが欠かせないため、それぞれに十分な時間とエネルギーを注ぐのが難しいことがあります。その中で支えになっているのが、河村先生や友人の存在です。先生のアドバイスやサポート、そして友人たちの理解があるからこそ、学業と競技を両立することができていると感じています。

研究室の仲間と雑談する小島選手 【JUNTENDO UNIVERSITY】

―大学院に進学しようと思ったきっかけを教えてください。
私が本格的に競技を始めたのは20歳を過ぎたころで、それまでスポーツの経験が無かった私にとって、漠然とした表現の技術を自分の中でかみ砕いて理解し、それを体現するのは難しいことでした。もっと具体的な表現ができるとスキルが上がるのではないかという思いがあり、クレー射撃のトレーニングを科学的な面から探求したいと考えたのがきっかけでした。競技特性に基づいた測定や分析を通じて、実践的な知識やスキルを習得するために、測定評価学を専門とする河村剛光先生のもとで研究し、今後のトレーニング法を考えるための「足がかり」となる成果を目指したいと思い、進学を決めました。

射撃競技において重要な「狙い」について研究

―具体的にどういうことを研究されているのでしょうか?
「クレー射撃スキート種目における熟練者と非熟練者の視線行動の違い」をテーマに、河村剛光先任准教授の指導のもと、研究活動をしています。「狙い」が重要な射撃競技だからこそ、競技レベルで差があるのかを研究しています。

発表に向けて準備をする様子 【JUNTENDO UNIVERSITY】

―研究内容が競技力向上につながっていますか?
射撃競技において「狙い」は非常に重要な要素であり、視線の動きや注視点に熟練者と非熟練者で差があれば、より効果的なトレーニング方法や指導法の改善につながると考えています。視線行動の科学的根拠を用いることで、従来の感覚頼りのアプローチにとどまらず、客観的なデータに基づいた技術向上が期待できます。
実際に、研究にご協力いただいた方々から伺った「狙い方」のお話は、自分にとっても新たな発見となりました。こうした発見を、練習の際に意識して試してみることができた点は、自分の射撃技術にも新たな視点を加えるきっかけとなりました。

【JUNTENDO UNIVERSITY】

こつこつと確実に前進し続けていきたい

―今後の目標をお聞かせください。
「こつこつと確実に前進し続けること」です。小さな目標をひとつひとつ設定し、言葉にして行動に移すことで、自ら掲げた目標を達成していく「有言実行」を大切にしたいと思っています。応援してくれる人々への感謝も忘れず、競技力だけでなく、応援されるにふさわしい人間力も高めていくことで、アスリートとして、そして一人の人間として成長し続けることを目指しています。
また、研究を通じて学んだデータ分析や科学的な視点を競技にも取り入れ、より客観的に自分のパフォーマンスを向上させるための土台を作っていきたいと思っています。大学院での学びを通じて「自分で考え、課題を見つけ、解決策を探る力」を身につけ、競技に活かすことも目標の一つです。競技の場でも困難に対処する柔軟性や冷静な判断力が必要不可欠です。競技者としての自分と、研究者としての自分の双方を高め、どちらか一方だけでは得られない成長を目指し、日々取り組んでいきたいと思っています。

【JUNTENDO UNIVERSITY】

―最後に、小島選手が思う大学院に進学することの良さを教えてください。
大学院は、ただ練習を積むだけでは得られない「科学的な視点」と「理論に基づくアプローチ」を身につけることができる場所です。感覚や「なんとなく」に頼るだけでなく、誰の目にも明らかな形で数字やデータに裏付けられた成果を見つけること、その根拠を明確にするための分析方法や科学的な理論を学ぶことができます。大学院での授業や研究を通して「自分で考える力」を養い、問題解決のアプローチや新しい視点を取り入れることで、さらに成長できる機会になると思います。

―ありがとうございました。今後も小島選手のご活躍、楽しみにしております!

クレー射撃とは(引用:公益社団法人日本クレー射撃協会)

クレーと呼ばれる陶器製の標的を、散弾銃(ショットガン)で撃ち壊す標的射撃競技です。空中に射出されるクレーを撃つシーンを思い浮かべる人が多いでしょうが、これは数あるクレー種目の中で「トラップ」「スキート」と呼ばれるもの。もとは鳥撃ちとして楽しんでいたものを競技化した種目で、オリンピックでも正式種目として採用されています。
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著者プロフィール

スポーツ健康科学部は「スポーツと健康」に関する多角的な視点、専門性並びに高い倫理観を備え、スポーツを通じて持続可能な社会の構築に貢献できる人材を養成することを目指しています。 スポーツを「する」「みる」「ささえる」「ひろげる」というさまざまなアプローチで、学生一人ひとりの能力や強み、そして、可能性を最大限に伸ばすことができるサポートを備えています。

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