#Dragons_Insideコラム 第4話~常勝軍団の8回を任された剛腕 復活への道~【前編】

中日ドラゴンズ
チーム・協会

【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

皆さま、こんにちは。#Dragons_Insidコラムは今回で第4話となりました。シーズンが終わり、動画の制作もひと段落。今年は200本を超える動画をYouTubeなどでお届けすることができました。その中でも私が特に見てほしい動画について、裏話を含めて書かせていただきます。

その動画とは、今年6月支配下復帰を果たした岩嵜翔投手の特集です。
2007年高校生ドラフト1巡目でドラゴンズとの競合の末、福岡ソフトバンクホークスに入団した岩嵜投手。大きな輝きを放ったのはプロ10年目の2017年。この年日本一となる最強ホークス投手陣の勝ちパターンの一角を担い、守護神サファテ投手に繋ぐ“8回の男”として君臨します。72試合登板46ホールドポイントは共に球団新記録、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得しました。

ドラゴンズに入団したのは2021年オフ。2022年、開幕2戦目の移籍後初登板でそれは起こります。3点リードの8回、マウンドに上がりますが…先頭打者にストレートの四球を与えたところで、肘の違和感を訴え緊急降板。「右前腕屈筋損傷」と診断され、戦線離脱を余儀なくされました。

2022年9月 手術直後の岩嵜投手 【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

当初は保存治療での復帰を目指し、夏場にはブルペンでの立ち投げを行いましたが違和感は消えず。9月には右ひじにメスを入れる決断を下します。右肘内側側副靱帯再建術(通称:トミー・ジョン手術)のほか、右肘関節内クリーニング術、前腕屈筋補強術を受け、シーズン後には育成契約を結びました。

この戦線離脱から手術を決断するまでの期間、岩嵜投手がとても頼りにしていた人物がいます。岩嵜投手の1学年上の先輩・大嶺祐太さんです。

ドラゴンズ在籍時の大嶺投手 【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

復活への道しるべを示した大嶺さん

千葉ロッテマリーンズを戦力外となり、岩嵜投手と同じく2021年オフにドラゴンズに入団した大嶺さん。二人はチームメイトになる前から面識がありました。2009年1月、和田毅さんが主催する合同自主トレで同部屋となり意気投合。その後、度々連絡を取り合う仲でした。

大嶺さんも2019年1月に岩嵜投手と同じ“トミー・ジョン手術”を経験。育成契約から支配下復帰を経て、2021年6月には一軍で約4年ぶりの白星を挙げました。

手術直後のツーショット 【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

緊急降板となった試合後、岩嵜投手から連絡が来たという大嶺さん。「テレビ中継を見ていて『あれ?』と思う瞬間がありました。そのことを伝えると『なんで分かったの?』と驚いていましたね」経験者だからこそ分かった異変…

「今まで同じ悩みを持つ選手に経験を伝えましたが、『手術を決めた経緯、術後はどんな感じだった?』など岩嵜が一番聞いてきた選手でした。自分でもいろいろ調べていましたね」
手術から1年5か月後の今年の春季キャンプ、岩嵜投手はファームの練習試合で実戦復帰。そして6月、支配下復帰を果たします。

一軍での復帰登板を終え、岩嵜投手は大嶺さんに報告をしました。

オンラインで報告する岩嵜投手 【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

現在 都内で飲食店を営む大嶺さん 【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

ネットニュースで岩嵜投手の支配下復帰を知ったという大嶺さんでしたが…「別に支配下になるのが目標じゃないし、俺から連絡する必要ないかなと思って連絡しなかった。逆に迷惑でしょ?笑」と、ここでも経験者だからこその“気遣い”が。

それでも、支配下登録後の一軍登板をテレビ中継で見ていた大嶺さんは、岩嵜投手にあるメッセージを送っていました。

【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

実際、支配下復帰から4試合で二軍降格。岩嵜投手は「肘の状態や投球フォームを気にして、正直自分との戦いが多かった」と振り返ります。

「まだまだ、翔ちゃんはあのポテンシャルじゃないでしょ。あれができるようになったら、もっと質が上がると思う」と激励した大嶺さん。岩嵜投手も「大嶺さんからのアドバイスを意識するようになってスピードも上がってきた。感覚的にはだいぶ良くなりました」と手応えを口にしていました。

“今だったら勝負できる”その手応えは結果となって現れます。7月14日に一軍再昇格、8月3日には自己最速158キロをマーク。「考えるポイントが少なく整理できている」と、自分ではなく打者との対戦に集中することができるようになっていました。

最強投手陣の中で記憶に残る二人の先輩の姿

8月16日の阪神戦。先発小笠原投手が左肘に打球を当て1回で降板。1点ビハインドの4回表に3番手でマウンドに上がった岩嵜投手。2イニングを投げ3つの三振を奪う完全投球。その後チームは逆転し、勝利を掴みました。試合後「#一緒にどらほー」のためにインタビューをさせてもらいました。私は岩嵜投手にどうしても聞きたいことがあったからです。

「現状ではいろいろなところを任される立場、その辺りはどう捉えていますか?」

8月16日 #一緒にどらほー サムネイル 【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

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この日は試合序盤に先発が降板しイニング数を稼ぐ役割を担い、別の日は敗色濃厚の大量点差での登板の機会が巡ってくる…かつて最優秀中継ぎを獲得した男にとって、“今の立ち位置”をどう消化しているのか…

「どこのポジションになろうとやることは変わらないと思いますし、勝ちパターンの人たちが少しでも休める、行かなくていい状況なら僕たちが頑張らないといけない。負けゲームで投げるピッチャーも大事。今は自分の役割を全うしたいと思います」

一点の曇りもなく清々しい表情で、想いを口にした岩嵜投手。気持ちを整理できたのは、ホークス時代に共に戦った先輩投手と自分の姿を重ねていたから…

【©中日ドラゴンズ #Dragons_Inside】

今回はここまで!次回へ続きます。
後編をお楽しみに!

(#Dragons_Inside制作担当 / 岡田昌尚)
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