<国内男子ゴルフ>17番イーグルが決定打。金谷拓実が逆転賞金王で3度目の正直を達成
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30人の頂上決戦・賞金レース決着へ「ゴルフ日本シリーズJTカップ」
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金谷拓実(かなや・たくみ)は、17番で10メートルものイーグルトライを決めると2度、3度とガッツポーズ。
本人が偉業を確信したのはプレー後のスコア提出所に入ってからだったが、288万9657円差で追っていた平田憲聖(ひらた・けんせい)がすでに17位(194万7593円)でプレーを終了しており、結果3位(1000万円)の金谷が516万円2750円差をつけて逆転。
1973年のツアー制度施行後から、51代目(24人目)の賞金王決定の瞬間だった。
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「その年は賞金王は通過点という思いもありましたが、去年から重みを感じていた」。
賞金3位に終わった昨年は、大会の前週に中島啓太(なかじま・けいた)の賞金王が決定し、戴冠の難しさを痛感していた。
「この大会に入るまで本当に苦しかったし今日の18ホールは今までで一番長かった。最後の最後まで、とにかく1打1打に集中した」と、最後の1日にも気迫がこもった。
「本当にたくさんの方々が応援してくれたのでいつも通りのプレーができた」と“3度目の正直”に思いが溢れた。
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優勝した桂川有人(かつらがわ・ゆうと)が6月から欧州に主戦場を移しても、9月に平田憲聖(ひらた・けんせい)が「フジサンケイクラシック」で今季3勝目(結果4勝)を飾るまで、桂川が賞金1位にい続けるという異例の形でレースは推移。
金谷は、7月の「長嶋茂雄INVITATIONALセガサミーカップ」で今季唯一、また一昨年8月の「Sansan KBCオーガスタ」以来27試合ぶりの予選敗退したあと、しばらく低迷していた。
賞金ランキングも徐々に下げ「なんで、こんなに練習しているのに」。
苦しい時間の間も食生活を見直し、大坂トレーナーの指導で1日3度のコーヒーをオレンジジュースに変え、連戦に耐える体作りに尽力。
「結果が出ないときにも腐らずに、自分を見つめなおしてできたのが今につながったんじゃないか」。
特に終盤戦では紙面やネットに踊る賞金王絡みのニュース記事を遮断。
「申し訳ないですけどほんとにシャットアウトしてました」と、報道陣に詫びながら明かした。
「人からも聞かないように。去年すごい苦しい思いをしたのでどういう状況でもベストを尽くせるように。考えながら過ごしていた」とまい進し、賞金王ほか、総合力のメルセデス・ベンツトータルポイントランキングなど、5部門でも1位に。
「彼の努力が報われた」と、22年からバッグを担いできたキャディのライオネルさん。
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「でも、だれでも上手くいかないときはイライラしたり心が揺れる。キャディとしてつとめたのは、どんなときも自分を信じてやっていこうよ、と。リマインドを意識してやってきた」。
名キャディは、息を抜かせるのも上手。
17番で長いイーグルトライを打つ寸前まで2人で話し込んでいたのはNBAのロサンゼルス・レイカーズの八村塁さんの話題。
緊迫の場面で生まれた逆転・王座の決定打には、たくみのキャディ術もあった。
最終戦で6人もが可能性を残した賞金レースを制した。
「平田選手が引っ張ってくれたと思う」と、金谷はいう。
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昨季レースを競った中島は、閉会式前の18番グリーンで抱擁返し。
「行くんですか、きょうから?」と、中島に聞かれて笑顔でうなずく。
きょう深夜の便で、米二部ツアーの2次予選会にむけて発つ。
逆転賞金王の勢いで、新天地の扉を叩く。
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