米須玲音 ふたたびB1の舞台へ
【日本大学】
米須選手は東山高校3年時の20-21シーズン、日本大学1年時の21-22シーズンにも同チームに特別指定選手として在籍しており、昨年末からはトップチームに合流してリハビリなどの別メニューに取り組んでいた。11月29日(金)に開幕する全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)終了後にチームへ合流し、3度目のBリーグの舞台で、本格的なチャレンジを開始することになる。
※大学や高校に在籍しながらB.LEAGUEに所属できる制度
4月の大学入学後もすぐにレギュラーとして活躍し、7月の関東大学バスケットボール選手権大会では15年ぶりの優勝に貢献、アシスト王にもなった。
しかし、そこからは試練の連続だった。翌シーズンも2年連続で特別指定選手として川崎に加わり9試合に出場して19得点(平均2.1得点)9アシスト(同1.0アシスト)を記録していたが、2022年1月末のレバンガ北海道戦で右肩関節を脱臼し、大学2年の春シーズンを棒に振った。6月の新人戦は時間を抑えてプレーしたが、今度は7月に右膝前十字靭帯を断裂。その後1年以上も実戦から遠ざかることになった。
大学3年秋の関東リーグ戦でスーパーサブとして復帰した米須選手は、プレータイムが限られる中でも16試合で81アシストを記録して自身初のアシスト王を獲得。だが、肩の故障が再発し、またしても長期離脱を余儀なくされた。
今季リーグ戦で出場した米須玲音 【日本大学】
インカレを最高の形で終われるように
春のトーナメント(関東大学バスケットボール選手権大会)を迎える前に、インカレ優勝という目標に向けて「どんどん右上がりでいこう」ということをチームで共有していたというが、トーナメントは 5位、リーグ戦を4位で終え、「あとはインカレでどう優勝するかが大事になってくる」と話す米須選手。
「リーグ戦22試合の中では、いい時も悪い時もありましたが、これまでやってきたことをどれだけ精度を上げてできるか。新しいことをやるのではなく、今まで積み重ねてきたことをこの1ヶ月間チームでやりきって、それをインカレでの戦いにぶつけていけるようにしたい」
チームが積み重ねてきたものとは、レッドシャークスとしてのプレースタイル。「僕らのスタイルは、ディフェンスして、そこから走るというものなので、まずはディフェンスからの速攻をやり切ること。インカレに向けて、もう一段階、もうあと一歩を積み重ねれば、チームとして完成すると思いますし、そこが大切だと思っています」
また、リーグ戦のスタッツを見て「チームとして全体的には良かった」と言いながらも、「ディフェンスで相手を抑えられていた分、得点をもっと取って30・40点ぐらい差が開く試合があっても良かった」と感じていたという米須選手。さらに、「ファウルは日大が一番少なかったのですが、使える時には使って時間を止めることも必要です。トーナメントでは勢いに乗るチームが強いので、相手のいい流れをファウルで止めて、流れを渡さないようにするということもチームで共有して、ファウルするところはするというのをやっていかないといけない」と課題を口にする。「そういうところも、ゲームの流れを見ながら一人ひとりがやっていけば、もっといい試合展開になると思います」
米須選手にとっては怪我との戦いでもあった大学4年間。「怪我などで苦しい時期もありましたが、ラストシーズンにインカレの舞台に立てることはとてもうれしいことなので、個人としてもチームとしてもいい結果を残して、最高の形で終われるように頑張りたいと思います」と、有終の美を飾るべく静かに闘志を燃やしている。
リスペクトを忘れずにやっていきたい
左から米須選手、北GM、山内選手 【日本大学】
冒頭、川崎社長が「今シーズン、川崎ブレイブサンダースは非常に大きな変革にチャレンジをしている最中。そこへ米須選手と山内選手がプロキャリアのスタート地点として川崎ブレイブサンダースを選んでくれたことを非常にうれしく思っていますし、これから長きにわたって川崎を背負って立つ選手になってくれることを期待しています」と挨拶。
また北GMも、「米須選手には、約4年前に特別指定選手としての加入会見をした際、将来的には川崎に加入して中心選手になってほしいと伝えていましたが、4年経って大学卒業後に川崎に加入してくれることになり、うれしく思っています」と喜びを語った。
「大学時代は怪我で苦しんだ時期もありましたが、我々はその時期も体作りなどの面で協力してきました。完治した今はプレーでも素晴らしい活躍を見せていますし、体も少しずつ大きくなっているので、今後チームに入っても活躍をしてくれることを期待しています」
続いてマイクを握った米須選手は、「4年前に特別指定選手として川崎に入らせてもらい、4年後にこうして川崎に呼んでいただいたことをうれしく思います。将来、川崎の中心選手となることを期待されているので、その期待に応えられるように頑張っていきたいと思います」と緊張の面持ちで挨拶した。
「チームとして期待するところは?」という質問に、北GMは「米須選手と言えば、やはりアシスト。ビジョンが広く、味方を生かすアシストというのが抜群ですし、ヘッドコーチが代わってより速い展開のバスケをやろうとしているところでは合うと思う。また、ポイントガードとしてゲームをコントロールする力があって、ゲームを落ち着かせることもできるので、そういうところも非常に期待しています」と答えた。
【日本大学】
さらに「山内選手と連携した速攻で得点を挙げるシーンを見たい」と語った北GM。米須選手も「自分からのパスでジャヘル(山内選手)がダンクしている姿がイメージできる。そうしたところで、サンダースファミリーの皆さんや配信を見ている皆さんに勇気を与えるようなプレーをしていきたいと考えています」と語った。
さらにその山内選手も「米須選手は、大学リーグで対戦していて、アシストや判断の部分でも本当にレベルが高い選手だと感じていました。敵として戦うには本当に嫌な選手ですが、今回川崎で一緒になって味方になったので、とても心強い仲間だなと思いますし、二人で連携してプレーするのが本当に楽しみです」と共闘を口にする。
またプロとしてやっていく上では、「リスペクトを忘れずにやっていきたい。相手に対してもリスペクトしながらバスケットボールに取り組んでいきたいと考えています」と話した米須選手。「これから1つひとつ積み重ねていけば、将来は海外に挑戦するチャンスが出てくると思うので、まずはBリーグでしっかり結果を残したい。そこで活躍することで、より上をめざせると思うので、今は目の前のことを考えて1つひとつやっていきたいと思います」と未来を見据えて抱負を語った。
【日本大学】
やはり篠山竜青さんです。日本大学の大先輩にあたる方で、ポジションも一緒ですし、これから川崎でプレーしていく中では、竜青さんにいろいろ聞いて学ぶことが大切だと思っていますし、たくさん学ばせていただけたらいいなと思います。
−日本代表や五輪への想いを聞かせてください
これまで代表経験というのがあまりなくて、自分がどれだけやれるかっていう不安はありますが、今後はロス五輪の代表に入ることをめざしていきたい。ただ、言っているだけではダメですし、代表に入るためにはどうしたらいいのか、何が必要なのかということをいろんな選手に聞いたり、自分自身で考えながらやっていきたいと思います。
−怪我をしていた時期、ベンチから離れたところで学んだことは?
ベンチ外になるというのは大学まではなかった経験でしたが、外から見る機会を得て、いろんな視点でプレーを見ることができました。自分がプレーしている時より、周りから見た時に学ぶこともあったし、それをほかの選手に対してアドバイスをすることもできたと思うので、そういうところはいい経験だったと感じています。
質疑応答で、1週間後に迫ったインカレへの思いを聞かれた米須選手は、先のインタビュー時と同じように「ラストシーズンは、日本一になって終えたい」ときっぱり。
山内選手が所属する大東文化大とは決勝でしか当たらない組み合わせだが、「ジャヘルとは、お互い勝ち上がって決勝で戦えたらいいし、その姿をサンダースファミリーの皆さんにもお見せしたい。でも、自分は負けないつもりでいますし、最後は必ず自分が勝ちます」と笑いながらも力強く語った。
インカレ優勝を手土産に、プロの舞台へ。米須選手がコートで披露する華麗なプレーに、これから先も目が離せなくなる。
Profile
2003年生まれ。長崎県出身。東山高卒。文理学部・4年。高校1年次に男子U16日本代表候補、3年次のウィンターカップでは準優勝して大会ベスト5に選出。’21年1月に、川崎ブレイブサンダースと特別指定選手契約を結び、高校生Bリーガーとして話題になる。大学入学後もレッドシャークスの主力として活躍し、’21-22シーズンも特別指定選手として川崎に加入。その後、怪我でプレーできない時期が続いたものの、関東大学秋季リーグでは‘23年・’24年と2年連続アシスト王に輝い、本来の実力を示している。
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