【週刊グランドスラム274】ドラフト会議で13名の社会人選手が指名される

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速球派右腕の竹田 祐(三菱重工West)が、今年のドラフト会議では社会人で一番に横浜DeNAから1位指名された。 【写真=横尾弘一】

 10月24日に東京都内で実施されたプロ野球ドラフト会議は、1位で埼玉西武、東北楽天、広島、北海道日本ハム、福岡ソフトバンクの5球団が宗山 塁(明治大)、中日、横浜DeNA、阪神、巨人の4球団が金丸夢人(関西大)、オリックスと千葉ロッテが西川史礁(青山学院大)に入札。東京ヤクルトは単独指名で、中村優斗(愛知工業大)の交渉権を獲得する。抽選で宗山は東北楽天、金丸は中日、西川は千葉ロッテが交渉権を得ると、横浜DeNAが三菱重工Westの大型右腕・竹田 祐、阪神はNTT西日本の左腕・伊原陵人へ入札して交渉権を獲得した。

NTT西日本の伊原陵人も、指名漏れした2年前から大きく力を伸ばして最高の評価を得た。 【写真=横尾弘一】

 竹田は明治大4年時、社会人で指名解禁の昨年と、二度も指名されない悔しさを味わったが、今季は安定感に加えてスタミナも養い、絶対的エースとして最高の評価を得た。また、伊原も大阪商業大4年時は指名漏れだったが、NTT西日本では気迫あふれる投球で左のエースとなった。竹田、伊原とも今夏の都市対抗でベスト8進出の原動力になっている。

左から、中日2位の吉田聖弥(西濃運輸)と千葉ロッテ2位の宮崎竜成(ヤマハ)。 【写真左=横尾弘一/写真右=松橋隆樹】

 ウエーバーとなる2位では、2番目の中日が西濃運輸の吉田聖弥を指名。伊万里農林高から入社して4年目の左腕は、都市対抗東海二次予選でエース格の働きを見せ、東京ドームでもベスト4進出に大きく貢献した。また、ヤマハの宮崎竜成はパンチ力が目を引く左打ちの内野手。セカンドの守備力を徹底して鍛え、社会人野手として最高の評価に応えてもらいたい。

新たな世界でも社会人で培った力を発揮してほしい

 3位では、力強いストレートが印象的な投手が指名された。阪神がKMGホールディングスの木下里都、東京ヤクルトはセガサミーの荘司宏太だ。昨年の日本選手権出場に貢献した木下は、今季もエース格として安定感を高め、都市対抗九州二次予選では3連投でチーム初の第一代表を勝ち取った。東京ドームでは、自己最速の156キロを叩き出している。荘司は下半身強化でフォームとコントロールが安定し、真上から投げ下ろす150キロ超のストレートを武器に、リリーフで持ち味を発揮。都市対抗は、東京ガスに補強されてベスト4入りを経験した。

上は阪神3位の木下里都(KMGホールディングス)、下は東京ヤクルト3位の荘司宏太(セガサミー)。 【写真上=古江美奈子/写真下=藤岡雅樹】

 社会人ナンバーワン捕手と評されていた石伊雄太(日本生命)は、中日が4位で指名。名門で学んだインサイドワークを生かし、プロでも正捕手争いに加わってほしい。三菱重工Eastで1年目から主軸を任され、今夏の都市対抗では初優勝に貢献した山中稜真はオリックス4位だ。捕手の経験はあるものの、社会人では一塁手や外野手として出場していたため、オリックスが捕手として指名したのは驚かされた。いずれにしても、広角に打ち返すバッティングで、開幕一軍を目指したい。大学まで全国の経験はなかったものの、着実な成長で東北楽天が4位に挙げたのが日鉄ステンレスの右腕・江原雅裕だ。公式戦での登板機会は多くないが、角度のあるストレートはリリーフで大きな効果を発揮。今夏の都市対抗ではJR西日本に補強され、大舞台でも落ち着いた投球を見せた。

4位指名の選手たち。上は石伊雄太(日本生命→中日)、左下は山中稜真(三菱重工East→オリックス)、右下は江原雅裕(日鉄ステンレス→東北楽天)。 【写真上=松橋隆樹/写真下=古江美奈子】

 そして、ENEOSの快速右腕・東山玲士はオリックスから5位、NTT東日本の右腕で、2022年の第4回U-23ワールドカップでは日本代表入りした右腕・片山楽生はオリックスから6位で指名された。さらに、日本生命の勝負強いスラッガー・立松由宇は千葉ロッテが6位で指名。佐賀商高で甲子園の土を踏み、日本経済大を経て千曲川硬式野球クラブで四番に座る三塁手・古賀輝希は、埼玉西武が7位で指名した。

左上はオリックス5位の東山玲士(ENEOS)、右上はオリックス6位の片山楽生(NTT東日本)、左下は千葉ロッテ6位の立松由宇(日本生命)、右下は埼玉西武7位の古賀輝希(千曲川硬式野球クラブ)。 【写真左上=松橋隆樹/写真右上=藤岡雅樹/写真左下=横尾弘一/写真右下=宮野敦子】

 なお、育成ドラフトでも社会人に在籍経験のある4名が指名された。日本通運からBCリーグ茨城へ転籍した捕手・大友 宗は福岡ソフトバンク育成3位、ハナマウイから四国アイランドリーグ・徳島へ転籍した右腕・川口冬弥は福岡ソフトバンク育成7位、TRANSYSに在籍経験のある右腕・早川太貴(くふうハヤテ)は阪神育成3位、そして、JFE東日本から四国アイランドリーグ・愛媛へ転籍した長身右腕・廣澤 優は東京ヤクルト育成2位だ。指名されたすべての選手には、さらなる飛躍を果たしてもらいたい。
【取材・文=横尾弘一】

【電子版はオールカラーになります】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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