藤本麻子ステップ初V ハートで再上昇
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勝負。藤本麻子は、久々の感覚を味わった。流れを引き寄せるのは今-。「ハーフターンでリーダーボードを見た。上位の選手がスコアを落としている。攻撃的に行く」と、ティーイングエリアで気持ちを新たにした。
第1打は見事な軌跡を描き、フェアウェイの真ん中をとらえる。残り110ヤードの第2打はPWを選択。打球は、ピン1.5メートルにつける素晴らしいショットだった。
「第1打の後、すごく気持ちが楽になった。でも、バーディーパットの前、考えたのは、もし外したらせっかくの流れが悪くなる。優勝を狙うなら、この1ストローク」と全集中でアドレスへ。カップインの心地よい音が、快進撃のシグナルとなった。
サンデーバックナインは、久しぶりのバーディーショー。13番=7メートル、15番=10メートル、17番=8メートルなど、ロングパットが次々と決まった。こんなシーンを振り返る。「優勝できるかも-と思ったのは10番だけど、優勝を確信したのは15番。試合で10メートルのパッティングは100回、挑戦しても入らないでしょう」と、ひと息ついて、「16番はすごく苦手です。それから17、18番は池があるし…。その前にすごいパッティングが決まったということは、優勝に向けて突き進めのサインです。もし、このチャンスを逃せば、もうこの先、優勝なんてない、と気合を入れました」という。
その気持ちが打球に乗り移った。後半はノーボギー。しかも9Hで30という快スコアである。70センチのウイニングパットをあっさりと沈めた。「トップと3打差で、面白いと感じた。でも、ショットの調子がいまひとつで、とても絶好調とはいえない。ただ、粘っていたらいいことがきっとありそう-そんな予感めいたものが頭の中に浮かんだ」。このあたりが経験の賜物だ。11年には伊藤園レディスで優勝。また、もっとさかのぼれば09年、新人戦加賀電子カップVの戦績も光る。
活力を与えたのは前週、「REMED CUP2024」に出場したことだろう。「チャリティーのトーナメント。主旨はプロを目指していた20代の男性が、事故で下半身まひに…。ゴルフをするための車いす購入の支援をすることが目的です。その時、吉田隼人プロと出会った。足が不自由にもかかわらず、300ヤードを飛ばす、すごい方です。いろいろお話をうかがっていたら、モヤモヤした気持ちが晴れました。おかげさまで、パッティングがすごく良くなってきたと思います」と明かしている。
気持ち、心持ちでプレーは大きく変わる。奇しくもこの日は、同じ30代のイミニョンが久々のV。シーズン終盤戦・JLPGAツアーはこれからが、おもしろい。
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