砂の補充で馬場傾向に変化は?/佐賀オータムスプリント・データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年優勝タケノサイコウ 【撮影:佐賀県競馬組合】

佐賀オータムスプリント(3歳以上、ダート1400m)
10月20日佐賀6レース 18時05分発走


今年で7回目を迎える短距離重賞。佐賀競馬で最もレースが組まれているダート1400mで行われる。佐賀競馬では数週間前に砂が補充され、いつも以上に内を空けて走るレースが多く見られることから、ここでは当レースの過去6回のデータに加え、砂補充後の傾向も踏まえて分析する。

※2019年は3着同着

1番人気の信頼度は高いが、圏外の年は3連単27万超え

まずは当レースが創設された2018年以降の過去6回から傾向を見てみよう。
1番人気が3着以内を外したのは23年の1回のみと、堅く収まりやすい一戦。1番人気と2番人気がともに3着以内に入った年は4回に上る。
高配当となったのは1番人気が唯一馬券圏外になった23年で、2番人気→3番人気→10番人気の順で決まり、3連単は27万9710だった。

単勝人気別成績 【表1】

理想は5番手以内

短距離にカテゴライズされ、コーナー4回を有するコース。位置取りはどの辺りが有利なのだろうか。表2はスタートしてから最初のコーナーとなる1コーナーでの通過順別の成績。勝ち馬はみな5番手以内で、連対率を見てもやはり5番手より前でレースを運ぶかどうかで数値が大きく変動する。

1コーナー通過順別成績 【表2】

逃げ馬はどの程度ならバテてもOK?

前述の位置取りデータから“上位争いできる馬”をより詳しく絞り出してみよう。
まずは逃げ馬について。このタイプはいかに最後までバテずに粘り込めるかがポイントで、逃げ馬(1コーナー先頭)の上がり3ハロン別成績が表3だ。過去6回なのでサンプルは少ないが、3着以内に粘り込めたのは上がり3ハロン39秒台前半以下の馬だった。

逃げ馬の上がり3ハロン別成績 【表3】

好位差しの末脚はどのくらい必要?

では先行~中団から差してくる馬はどのくらいの末脚が使えればいいのか。
過去6回中3勝を挙げる「1コーナー5番手」の馬の上がり3ハロンをまとめたのが表4だ。38秒台の末脚を使えれば勝率100%。展開や馬場状態によって変化はあるが、このくらいの末脚を繰り出せれば3着以内の可能性は高まりそうだ。
一方で39秒前半の末脚の場合、勝利も挙げているが、4着以下も2回。その他の要素に結果は左右される。
なお、37秒台の上がりを使いながらも4着以下に敗れた馬がいるが、該当する19年は勝ちタイムが非常に速く、上がり3ハロン38秒未満の馬も10頭中6頭という高速決着だったため、度外視していい。

1コーナー5番手の馬の上がり3ハロン別成績 【表4】

砂補充後は2番枠の勝率0%

佐賀競馬では砂が深い内を空けて走るのがセオリーなのだが、10月に入ってからはこれまでよりも約2倍の間隔を空けて走るレースが見られるようになった。その理由は砂が補充されたから。
では、従来より砂が深くなったと思われる内枠の成績はどうなのだろうか。砂が補充された後の10月6日、12~13日のレースと、補充前の今年1月1日~9月末日までの馬番別成績を調べた。
補充後はサンプル数が少ないため、データにバラつきが出ているが、2番枠の勝率が9.2%→0%、3着内率は31.4%→12.1%と大幅ダウンしていた。また、5~6番枠や10番枠の成績も下がっており、これらの枠は馬群のインを取れなかった場合、コーナーでかなり外を回される距離ロスが大きくなることが原因の一つに考えられる。

砂補充の前後での馬番別成績 【表5】

馬格がある馬の方がいい!?

砂の補充によって、好走する馬体重に変化はあったのだろうか。
棒グラフは勝率、折れ線グラフは3着内率を示している。300kg台の小柄な馬は非力な馬が多く、やはり数値は下がり勝率にいたっては0%。ただ、大型馬が圧倒的に有利かというとそこまでではなく、500kg台前半は勝率こそ15.5%→23.8%にアップしたが、3着内率に有意差はなかった。なお、補充後は500kg台後半の馬の出走はなかった。

砂補充の前後での馬体重別成績 【表6】

距離短縮組の好走パターン

例年、当レースには様々な臨戦過程をたどった馬が出走する。その一つに佐賀競馬の最終レースである「SAGAリベンジャーズ」で2着以内に入った馬(直近5走以内でA1・A2クラス)は3着内率75%という強力なデータもあるのだが、残念ながら今年は該当馬0。
そこで、距離短縮組に着目してみた。中でも短距離のペースにある程度ついていけそうな「4番手以内で先行した馬」という条件に絞ると、勝利こそないものの3着内率60%。中長距離で先行していた馬は1400mの当レースになると中団以降となる場合が多いが、それでも上位に入る確率が高い。

前走別成績 【表7】

データからの推奨馬は?

①上位人気
②前走1500m以上で4番手以内
③逃げ馬で上がり39秒5未満
④先行・差しで上がり39秒未満
⑤500kg台だとなお良し

※2番枠は避けたい

抜けた実績馬がおらず混戦模様ではあるが、テイエムフォンテは今夏の重賞・吉野ヶ里記念で2着。そのレースを含め、地元馬同士のレースでは以降で上がり3ハロン39秒未満の末脚を連発している。しかも、うち2戦は逃げてそれだけの脚を使えているというのは心強い。①④、前走からプラス体重だと⑤にも当てはまる。

グローリーは前走が1750mで3番手から先行し2着。距離を問わず直近5走のいずれにおいても上がり3ハロン38秒未満の末脚を使えている。今回は1400mの分、中団やや前目くらいになるかもしれないが、確実な末脚は魅力。不安点は砂補充後に成績不振が続く2番枠を引いたことだが、そこはリーディング上位の飛田愛斗騎手の手腕に期待したい。①②④に該当。

テイエムヒマラヤは5走前~3走前で上がり3ハロン39秒未満の末脚を使った。いずれもA1・A2混合レースで、A1クラスの2走前は勝ち馬から大きく離された6着だっただけに重賞でどうかだが、この相手関係なら面白そう。④と場合によっては⑤に当てはまる。

あとはJRA時代に根岸Sなど重賞5勝のテイエムサウスダンがどんな走りを見せるか。

第7回佐賀オータムスプリント 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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