「1万5000人規模のスタジアムを江戸川区に」2024-25シーズン方針発表記者会見の全容

チーム・協会
10月5日、東京都江戸川区のタワーホール船堀で開催された「クボタスピアーズ船橋・東京ベイ2024-25シーズン方針発表記者会見」。多くの報道陣が集まる中、新キャプテンの発表をはじめ、新GMによるチーム方針の説明、新コーチ&新入団選手のご挨拶、新ジャージーデザインお披露目などが行われました。“新”づくめの濃い内容を、写真とともにダイジェストでお届けします。

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

キャプテンのバトンを受け継ぐのはファウルア・マキシ選手

司会進行を務めるのは、広報/企画マネージャー・岩爪航さん。2024-25シーズン公式戦の日程などのガイダンスから始まり、新ファンクラブ「Spears+」、新キャプテン、新コーチ&新入団選手、新ジャージーなどに関する事前共有事項の説明が行われました。

「Spears+」のネーミングには、「チームにとってファンクラブ会員からの応援は、選手の背中をプラスアルファで押してくれる存在であり、ファンクラブに入会することにより、チームの価値がさらにプラスされるファンクラブでありたい」という思いが込められています。

「Spears+」では、年会費3000円の1プライス制を新たに導入 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

続いて、新キャプテンのファウルア・マキシ選手の名前が発表されました。この日は家庭の事情でマキシ選手の登壇がかなわず、本人からのコメントはスライド投影で紹介。まっすぐな思いの丈がつづられていて、心から応援したいという気持ちになりました。

ファミリー感を大事にしつつ、連覇を達成して黄金時代を築きたい

新キャプテン発表後、前川泰慶ゼネラルマネージャー(以下、前川GM)と石川充ビジネススポンサーシッププロデューサー(以下、石川BSP)の2名が登壇。

前川GMは、フラン・ルディケヘッドコーチ(以下、フランHC)が構築した『Proud Billboard(誇りの広告塔)』を継続しつつ、2028年のスピアーズ創部50周年の節目までに達成したい2つのミッションについて発表しました。

前川泰慶ゼネラルマネージャー 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

「1つは、スピアーズの黄金時代をつくること。スピアーズは、リーグワン2022-23シーズンで初優勝を遂げましたが、昨シーズンは6位に終わっています。日本を代表するチームになるためには、リーグワンでの連覇達成がマスト」と前川GM。

「年々レベルが上がっているリーグワンでは、連覇したチームはまだありません。並大抵の努力では、連覇は達成できないとわかっています。数あるチームからスピアーズを選んでくれた新入団選手やスコット・マクラウドコーチとともに、ベテラン選手と若手選手、日本人選手と海外出身の選手がバランスを取り、ファミリー感を大事にしながら黄金時代を築きたい」

前川GMは「そしてもう1つは、ホストスタジアムを持つこと」と続けます。「地域に根差した活動をして、地域の課題解決ができる存在にならないといけない。持続可能なスポーツクラブとして活動していくことで、ラグビーのファンベースが広がるはずです」
「課題や問題点は多いが、失敗はないと思っているので、まずやってみる。そして、課題をクリアしながら、将来ホストスタジアムを持ったときにスムーズな運営ができるようにしたい。2028年のクボタスピアーズ50周年という歴史に花を添えたいと思っています」と締めくくりました。

石川BSPは「『スピアーズえどりくフィールド』の所在地である江戸川区にしっかりコミットして、江戸川区のファンを増やしていきたい。現在、関連会社の関東甲信クボタがマルシェを不定期で開催していますが、そういった活動を点で終わらせるのでなく、しっかりとつながりをつくっていく。江戸川区での取り組みを増やしていき、関係性を深められたら」と、江戸川区との関係強化を強調します。

石川充ビジネススポンサーシッププロデューサー 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

さきほど前川GMから話が出たホストスタジアムの詳細についても言及。「将来的には1万5000人収容できるスタジアムを江戸川区につくりたいので、ぜひ注目してください」と石川BSP。今後は「江戸川区浴場組合」とのコラボレーションも予定しているとのことで、江戸川区がオレンジ色に染まっていきそうです。

一貫性を持って忠実にプレーし続ければ、スペシャルなシーズンに

続いてフランHCが登壇。「昨シーズンは3つの学びがあった」と振り返ります。

フラン・ルディケヘッドコーチ 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

「開幕直後はケガ人が多く、コンディションが100%ではない選手も。スロースタートになってしまった。しかしシーズン終盤はスピアーズらしいプレースタイルで連勝でき、若手が台頭してきたことが学びになりました。それと同時に、1週だけ試合に出るのではなく、数週続けて戦える選手の必要性も感じました。選手層を厚くすることが今後の課題だという学びを得たのです」(フランHC)

ここで、今シーズンのスローガン「TAKE YOUR SHOT」が発表されました。

王者奪還に目指して、勝利に向けた攻めのショットを打ち続けていくという思いが込められたスローガン 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

「昨シーズンは、ここぞというところでスコアできなかった場面が何度かありました。自信のなさが出てしまっていたのだと思います。これが3つ目の学びです。基礎的なことをしっかりやり抜くことができれば自信につながります。選手一人ひとりが一貫性を持って、基本に忠実にプレーし続けられれば、スペシャルなシーズンになるでしょう」

そして、お待ちかねの新コーチ、新入団選手のみなさんからひと言ご挨拶。

左からスコット・マクラウドアシスタントコーチ、オリー・ストーンハム選手、タイラー・ポール選手、ツヨシ ジニングス選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

浦安D-Rocksから移籍したタイラー・ポール選手は流暢(りゅうちょう)な日本語で挨拶し、会場をどよめかせていました。スコット・マクラウドコーチを始め3選手全員が、スピアーズ入りした理由を聞かれた際「雰囲気がいいチーム」「自分自身が成長できる環境」と口をそろえていたのも印象的でした。

過去に6シーズン東芝ブレイブルーパスでプレーしていたスコット・マクラウドコーチは、記者から古巣との対戦について尋ねられると、「クボタを全力でサポートしたい。リーチ マイケル選手やリッチー・モウンガ選手の弱点はいくつか知っています」と心強いメッセージ。来年のブレイブルーパス戦が今から楽しみです。

為房慶次朗選手と根塚洸雅選手が新ジャージーをアピール

記者会見のトリでは、新ジャージーのお披露目が行われました。モデルを務めるのは、日本代表戦でも活躍中の為房慶次朗選手と根塚洸雅選手です。

写真左から為房慶次朗選手、根塚洸雅選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

新ジャージーのデザインは、もう一度原点に立ち返って忠実さを示す「原点回帰」をテーマとし、王者奪還への思いが込められています。ジャージーのエンブレム上には、優勝回数を表す星、襟の裏側には「Orange Army」の文字が刻まれました。

ファーストジャージーを着用した為房選手は開口一番「生地がしっかりしていて、着やすくなっています!」と営業マンさながらにアピールし、あちこちから笑いが起きました。新ジャージーの鮮やかなオレンジ色も気に入っているそうです。

セカンドジャージーを着用した根塚選手は「黒のベースに『クボタブルー』というコーポレートカラーが使われています。側面のデザインは、“困難に立ち向かったときに水のようにかたちにとらわれずに順応し続けていくことを表現している”と聞き、自分自身も試合でそんな姿を見せられたら」とまじめにコメント。

ファーストジャージー(写真左)の側面はトラクタの轍(わだち)をデザインし、 再び日本一へ向けて稲を育て稲穂を実らせることを表現 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

記者からの「今シーズン優勝するためには何が必要か?」との質問に対して、根塚選手は「昨シーズンは立ち上がりの接戦を勝ちきれなかった。今シーズンは(日本代表の活動もあり)みんなで調整する時間は減るかもしれないけれど、スピアーズのラグビーを理解し、同じ絵を見ながら優勝への流れをつくっていきたい」と抱負を述べました。

為房選手は、初めてリーグワンでフルシーズンを戦うことになります。「昨シーズンは(アーリーエントリー制度で)5試合出場し、リーグワンのフィジカルの強さを経験できました。接戦になったらフォワードはフィジカルが大切。ゴール前の攻防やスクラム、ターンオーバーのスキルを磨いていきたいと思っています。今シーズンはできるなら全試合出場、そこで活躍して新人賞を取りたい」と強い意思を言葉で示しました。

王者奪還に向けたジャパンラグビー リーグワン2024-25のスピアーズ開幕戦は、12月22日(日)に秩父宮ラグビー場での開催が決定しています。対戦相手はトヨタヴェルブリッツです。オレンジアーミーの力で秩父宮をオレンジ色に染めましょう!

取材・文:せきねみき(ライター・コラムニスト)
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント