【週刊グランドスラム269】一発勝負の強さを発揮してU-23日本代表が大会連覇!!

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最後の打者から三振を奪った笹森公輔(東芝)は、駆け寄ってきた捕手の有馬 諒(ENEOS)に飛びつく。大会連覇達成の瞬間だ。 【写真=宮野敦子】

 前回に続いて、第5回WBSC U-23ワールドカップをレポートする。中国・紹興市で9月6日から開催された同大会で、24名の社会人で編成されたU-23日本代表は、オープニング・ラウンド第1戦でプエルトリコに完敗したものの、そこから4連勝してグループAの2位でスーパー・ラウンドへ。ここではベネズエラを5対1、グループBで全勝したニカラグアも9対1で破り、この時点でプエルトリコとともに決勝進出が確定した。
 そして、プロの若手も加わった韓国も2対1で下し、15日にプエルトリコとの決勝を迎える。川口朋保監督は、中国を1安打完封した長久保滉成(NTT東日本)を先発のマウンドに送る。
 1回表、日本は山田拓也(東芝)と今里 凌(日本製鉄鹿島)が連打し、村上裕一郎(ENEOS)は死球で無死満塁。四番の野口泰司(NTT東日本)は三振に倒れ、髙橋隆慶(JR東日本)は二ゴロを打たされたが、二塁手の悪送球で先制点が転がり込む。続く吉川海斗(日立製作所)も二ゴロだったが、俊足を飛ばして併殺崩れとし、2点目を挙げる。
 その裏、長久保は先頭に右前安打を許すも、次打者を遊ゴロ併殺に仕留めてプエルトリコにチャンスを作らせない。2回表一死から有馬 諒(ENEOS)が左前安打を放つと、プエルトリコは早くも二番手にエースのヨハン・ラボーイを投入する。第1戦で日本を4回まで1安打に封じたラボーイは、この日もキレ味抜群のボールで、登板してから6回表二死まで13人連続でアウトを取る。対する日本も、長久保が4回まで4安打無失点で切り抜けると、5回から二番手で登板した笹森公輔(東芝)は、この試合で初めてプエルトリコを3者凡退に抑える。

決勝の6回表二死一、二塁から、西村進之介(ヤマハ)が3点目のタイムリーを右前に弾き返す。 【写真=宮野敦子】

 6回表二死、何とか追加点がほしい日本は髙橋が上手く右前に運ぶと、疲れの見えたラボーイから吉川が四球を選ぶ。ここでプエルトリコが三番手に投手を交代させると、チーム打点王の西村進之介(ヤマハ)が右前に弾き返して3点目を奪い、代わった四番手から相羽寛太(ヤマハ)の中前安打で4点目を奪う。

一人ひとりが自分の役割を果たした快進撃

 さすがのプエルトリコも気落ちしたか、日本は7回表にもダメ押しの5点目を挙げ、笹森が完璧なリリーフで5対0の完勝。第1戦の借りを返して、大会初の連覇を成し遂げた。川口監督は、満面の笑顔でこう振り返る。
「出場機会や個人の成績はそれぞれでしたが、一人ひとりが自分の役割を理解し、それをしっかりと果たしてくれたのが勝因。第1戦に敗れたあと、これから全勝して決勝に進み、プエルトリコ勝って優勝しようと話したのを現実にしてくれた」

髙橋隆慶(JR東日本=左から2人目)は最優秀守備賞に選出された。ほかに、今里 凌(日本製鉄鹿島)は一塁手でベストナインに。 【写真=宮野敦子】

 一発勝負で心技を磨き上げている社会人の持ち味を、大学出ルーキーを中心とした若いチームでも存分に発揮した。なお、大会MVPには、首位打者、盗塁王、得点王も獲得したプエルトリコのエドガルド・ヴィレガスが選ばれた。日本の受賞者は最優秀守備賞に髙橋、ベストナイン一塁手に今里の2人だったが、吉川は打率2位の.412をマーク。大会規定で受賞はならなかったものの、村上の2本塁打、西村進の9打点は1位タイである。
 なお、この大会は2014年に21Uワールドカップとして産声を上げ、プロ・社会人・大学生の混成チームで臨んだ日本は、チャイニーズ・タイペイに決勝で敗れたものの2位。大会後に再考され、2016年にU-23としてあらためて第1回大会が行なわれ、プロと社会人で出場した日本は見事に優勝した。その後、プロと社会人で編成した2018年の第2回は、決勝でメキシコに敗れて2位。2021年にメキシコで開催された第3回はコロナ禍で出場を見合わせ、社会人のみで出場した2022年の第4回で王座を奪還した。今回は、2大会連続3回目の優勝となる。
【取材・文=横尾弘一】

【左=紙版表紙・右=電子版表紙】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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