【完全記録・中編】 総合馬術“初老ジャパン”最後の挑戦
競技初日は5位スタート
TEAM JAPANの中で最初に演技をしたのは北島。騎乗するセカティンカJRAは、オリンピッククラスの競技に出場するにはやや高齢の17歳で、コンビは5年になる。北島が一目ぼれして手に入れた馬で、「顔も全体の姿もとにかくビューティフル」とぞっこんだ。オリンピックに採用されている馬場馬術の経路は、20の運動項目で構成されていて、前半は速歩(はやあし)運動、後半は駈歩(かけあし)運動がメインだ。北島&セカティンカJRAは、速歩区間はうまくいっていたが、駈歩区間で馬のテンションが上がってコントロールが難しくなり、ミスが目立った。結果は減点34.5。北島は「失敗したわりには点数は悪くなかった」と振り返った。
北島隆三&セカティンカJRA 【©日本馬術連盟】
大岩義明&MGHグラフトンストリート 【©日本馬術連盟】
戸本一真&ヴィンシーJRA 【©日本馬術連盟】
TEAM JAPAN、2日目を終えて暫定3位
北島隆三&セカティンカJRA(池の中を走るコンビネーション障害) 【©日本馬術連盟】
5kmを超えるクロスカントリーコースは、ヴェルサイユ宮殿の森の中につくられた。設置される障害物は、自然に近い状態のものが多く、ログと呼ばれる丸太や生垣でつくられていたり、池に飛び込んでその中を走行するものがあったり、オリンピックの場合は開催国らしさをデザインに取り入れたりと、バラエティ豊かでユニークなものが多い。競技本番の3日ほど前にオープンし、選手はいつでもコースを歩くことができる。ただし、馬は入れない。選手はコースの順番を覚えるだけではなく、コンビネーション障害でどのルートをとるか、この障害物に対してはどのような角度でアプローチするか、コンビネーション障害内の障害物と障害物の間は何歩で行くかなど、細かい部分を考えて作戦を練りながらコースウォークを繰り返す。おそらく本番の走行前に4~5回は徒歩で回っているはずだ。また、天候によってグラウンド状態は変化し、出番が遅ければ荒れて走りづらくなることもある。常に臨機応変に判断して馬をリードしなければならない。選手と一緒に事前のコースウォークができない馬は、たとえば池の飛び込みなどでは、先に何があるかわからない状況であっても、選手に「行くよ!」と指示を出されたらそれに従う。乗り手を信用しているからこそできることであり、乗り手がその信用に応えて正しく導かなければ、長くハードなコースを走り切ることは不可能だ。
TEAM JAPANの選手は「基本的にはストレートライン。でも状況に応じてロングルートを選択する箇所もあるかもしれない」と話していた。また、9分2秒の規定タイム内にゴールするのはかなり難しいという見解だった。
大岩義明&MGHグラフトンストリート(宮殿をバックにしたコース後半のダブルコンビネーション) 【©日本馬術連盟】
戸本一真&ヴィンシーJRA(最後の難関、3つ目の池) 【©日本馬術連盟】
TEAM JAPANは暫定3位。本当にメダルが見えてきた。あとは翌朝のホースインスペクションと最終競技の障害馬術を残すのみだ。
【日本馬術連盟 北野あづさ】(次回につづく)
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ