早大ヨット部出身・岡田奎樹が「銀」 パリ五輪セーリングで日本勢20年ぶりメダル

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パリ五輪のセーリングでゴールし、喜ぶ岡田奎樹選手(左)と吉岡美帆選手組。銀メダルを獲得した 【共同通信】

早稲田大学ヨット部出身の岡田奎樹選手(2018年スポーツ科学部卒)が8月8日、吉岡美帆選手とペアを組んで、パリ2024オリンピックのセーリング・混合ディンギー470級に出場しました。岡田・吉岡ペアは上位10艇で争う最終メダルレースで3位に入り、総合2位となって銀メダルを獲得しました。オリンピックのセーリング競技でのメダル獲得は、日本勢としては2004年のアテネオリンピック以来、20年ぶりとなる快挙です。

岡田選手は「フィニッシュした瞬間、すごく嬉しく感情が爆発しました。メダルをかけてもらって多くの人から祝福のメッセージをいただいて、喜びがこみあげています」と語りました。

メダルレースで艇を操る岡田奎樹(手前) 【共同通信】

セーリング・混合ディンギー470級は男女混合種目で、パリオリンピックで初めて実施されました。全長4.7メートルの2人乗り小型ヨットで海面に設置されたブイを決められた順序で回りながら順位を競う種目で、岡田選手はかじと主帆を操るスキッパーを務めました。

「自信と勇気をもって自分のコースを選択した」

銀メダルを獲得し、記念写真に納まる岡田奎樹選手(左端) 【共同通信】

「風の傾向を掴むことは成績もよく、世界トップクラスの自信がありました」。そう語る岡田選手は、メダルレースで上位陣とは違う進路を取りました。一方、状態がよくないときでも点数勝負をしかけて接近戦で順位を落とす傾向があったといい、「自分のレースをして、ベストを尽くすことがいい順位となるための条件だ」と冷静に分析していました。そして「自分の目を信じて、自分の風を使い、自信と勇気をもって自分のコースを選択しました」という岡田選手は、見事にペアを銀メダルに導きました。

「セーリングはロマンが詰まっていると思います。大自然の中、海の上から街を見るとすごい小さく見えます。春夏秋冬を感じながらできて、海の向こうへ行こうと思えばどこまでもいくことができる。そういうところに夢があると感じます」と、セーリングの魅力を語る岡田選手。「明日にでもすぐにヨットに乗りたいです。金色のメダルをかけている人を見ると、いいなあ、うらやましいなあ、と思いました。4年後にチャンスがあるならば、金メダルを目指してもう一回やりたいなと思っています」と、早くも4年後のロサンゼルスオリンピックを見据えました。

田中愛治 早稲田大学総長コメント

本学の校友である岡田奎樹選手が、パリ・オリンピックのセーリング・混合ディンギー470級において銀メダルを獲得されました。

セーリングでは日本チームとしては2004年のアテネオリンピック以来の20年ぶりのメダル獲得とのこと、誠におめでとうございます。

昨年8月の世界選手権でも、吉岡選手とペアを組んで見事に優勝。その実力をオリンピックでも発揮してくれました。改めて岡田選手の強靭な精神力と、たゆまぬ努力に心から敬意を表します。同時に、心の底からのお祝いの気持ちをお伝えしたいと思います。

岡田選手出身のヨット部は現在、インカレ4連覇中です。岡田選手は4年後のロス五輪で金メダル獲得を目指されるということですので、是非、ヨット部と共に世界選手権でもオリンピックでも活躍し続ける姿を見せていただきたいと思います。

早稲田大学総長 田中愛治

早稲田大学ヨット部 関口功志監督コメント

パリ五輪のセーリングのレースを終え、日の丸を掲げる岡田奎樹選手(左)・吉岡美帆組 【共同通信】

パリオリンピックのセーリング競技混合470級において、銀メダルを獲得した岡田奎樹選手に心よりお祝いを申し上げます。

ペアの吉岡美帆選手との積み上げた努力の成果が花開いたことを大変嬉しく思います。難しい局面は多々あったことと思いますが、お互いを信頼し、常に笑顔で前向きに取り組まれてきたお二人の姿勢がメダル獲得を引き寄せたのではないかと思います。

メダルをかけた最終レースでは、前日までの3位から順位を上げての銀メダルを獲得するに至りました。このレースでは、スタート直後から岡田選手らしい積極的なコース展開が見られ、終始レースを優位に進めることができました。自然を相手に変数の多いセーリング競技において、自身の強みである自分の判断力を信じてレースに挑むことができていたことが最大の要因でした。

早稲田大学ヨット部では、これまでに9名のオリンピアンを輩出していますが、その中でも初のメダル獲得となりました。現役部員は合宿所で岡田選手のレース中継を観戦し、憧れの先輩の闘いぶりに歓喜と感動を全員で分かち合うことができました。

岡田選手にとっては学生時代からの目標である金メダル獲得とはならず悔しさもあるかと思いますが、極限の緊張状態の中で自分たちの力を出し切って歴史的なメダルを獲得したことに誇りを持ち、更なるチャレンジの原動力としていただければ幸いです。

最後に、日本のセーリング競技でのメダル獲得は20年ぶりの快挙となり、国内セーリング界は大いに盛り上がっています。今回の岡田選手・吉岡選手のメダル獲得が、競技の普及・発展と後進の成長の起爆剤となることを心から願っています。

早稲田大学ヨット部監督 関口功志
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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