【週刊グランドスラム264】中国地区連盟と九州地区連盟の交流試合が行なわれる

チーム・協会

第1戦で、田村 強(JR西日本=左)の先制アーチに盛り上がる中国地区選抜。選手たちには貴重な経験だ。 【写真=古江美奈子】


 真夏の太陽が照りつける8月10、11日、山口県下関市のオーヴィジョンスタジアム下関で、中国地区選抜と九州地区選抜による交流戦が行なわれた。社会人野球の認知度アップや、普段はライバルである他チームの選手とプレーすることでの技術向上、さらには両地区の垣根を超えた交流を目的に、昨年から始まったイベントだ。両連盟主催により、2日間にわたって2試合の熱戦が繰り広げられた。
 中国地区の指揮を執るJFE西日本の内田 聡監督は、「パワーがあり、1イニングをしっかりと抑えられる投手陣。野手はポジションごとに地区内で一番に期待できる選手を選抜しました」と、試合に臨んだ。対する九州地区は、将来チームを牽引するであろう若手を中心に「都市対抗二次予選の活躍を見て決めました」と、日産自動車九州の植山文彦監督。両地区の企業チームから各25名が選ばれ、球場は公式戦とはまた違った活気と穏やかな雰囲気に包まれた。
 試合前には、他チームの選手と積極的に話をしながらウォーミングアップをする姿があった。JFE西日本の綿屋 樹は「バットは何グラム?」と、伯和ビクトリーズの中山竜秀に声をかける。主軸を担うスラッガー同士で話が弾むようだ。

楽しみながらも技術向上につながる素晴らしい機会

 第1戦は中国地区が平岡 航(伯和ビクトリーズ)、九州地区は宮城凌我(エナジック)の先発で始まった。1回表、中国地区は一死二塁から三番の田村 強(JR西日本)がレフトへ豪快な2ラン本塁打を放って先制する。2回表にも打線がつながって3点を加え、3回表には中山に2ラン本塁打が飛び出すなど勢いが止まらない。先発して2回を投げた宮城は、「緊張もあって」と苦笑いを見せながらも、こう続ける。
「各チームの主力選手のプレーを間近で見ることができて、刺激になりました。自チームを離れて気づくこと、持ち帰れることがある。制球には苦しみましたが……新鮮で楽しいです」
 2回裏に1点を返し、さらに反撃したい九州地区は5回裏、主将を任された宮木紳道(KMGホールディングス)の中前安打を皮切りに、樋口昇樹(西部ガス)の中越え二塁打、三野原愛望(KMGホールディングス)の右前安打で3点を返した。6回以降はともに投手陣が踏ん張り、無得点で試合が進む。そうして、9対4で中国地区が勝利を収めた。
 16安打9得点の猛攻を見せた中国地区。「自分の打席を楽しみ、大事にしてほしいと話した結果、みんないいスイングをしてくれた。この機会に得たものをチームに持ち帰って生かしてほしい」と、内田監督は笑みをこぼす。MVPには、2本塁打を含む5打数4安打4打点と大活躍の中山が選ばれた。「九州地区も好投手が揃っているので、いい球が来たら積極的に振っていこうと思っていました。高いレベルの中でプレーできて楽しかったです」と、充実した表情で語る。一方、九州地区の植山監督は「いつもと違うメンバーで刺激し合いながら、真剣勝負ができたのでは。いい経験になったことでしょう。また明日、頑張ります」と、気合を入れ直した。

第1戦でMVPに選ばれたのは、2本塁打を放った中山竜秀(伯和ビクトリーズ=左)だった。 【写真=古江美奈子】

 その第2戦、今度は九州地区の打線が先制する。4回表二死一、二塁から山脇彰太(JR九州)、八木大輝(西部ガス)、大久保雄大(KMGホールディングス)の連続タイムリーで4点を先取。だが、中国地区も負けてはいない。5回裏に土井克也(JFE西日本)の3ラン本塁打などで5点を挙げ、逆転に成功。その後も互いに加点し、6対6で迎えた9回裏二死一塁、綿屋のライトへのサヨナラ打で中国が2連勝した。勝利を決めた綿屋がMVPだ。
 真剣勝負の中にも、和気あいあいとした明るいムードが漂っていた。楽しみながらも互いに絶妙な気遣いが見られ、交流は深まったのではないか。この経験を自チームでのプレーに生かし、両地区をさらに盛り上げていってほしい。
【取材・文=古江美奈子】

【左=紙版表紙・右=電子版表紙】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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