笠りつ子、恩師・坂田信弘氏に捧ぐ気合の65

チーム・協会

【Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images】

 JLPGAツアー2024シーズン第22戦『NEC軽井沢72ゴルフトーナメント』(賞金総額1億円/優勝賞金1,800万円)大会第1日が8月9日、長野県軽井沢町・軽井沢72ゴルフ北コース(6,685ヤード/パー72)で行われた。この日は降雨のため13時22分に競技を中断。天候は回復したが、コースコンディション不良のため、15時40分にサスペンデッドが決定した。未消化の第1ラウンドは10日、7時15分より再開予定。暫定首位は7アンダーの笠りつ子。
(天候:晴れ時々曇り 気温:26.1℃ 風速:2.4m/s)
《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:21~22mm》

 6アンダーの単独首位で迎えた最終18番・パー4、ピンまで残り152ヤード地点で、笠りつ子は8番アイアンを手にしていた。縦振りのスイングで振り抜いたボールはピンに向かって真っすぐ飛んでいき、ピン上3メートルにピタリと止まる。それをしっかりと沈め、自己ベストタイとなる65をマーク。ちなみに、1ラウンドでバーディー10個は自己最多だ。

 「気がついたら、いつの間にか10個取っていた感じです」と笑顔を見せた笠。この日は出だしの2ホールこそ1メートルにつけたものの、残り8個のバーディーは全て3-6メートルを沈めたものだった。「ちょっとインパクトで手首をこねる動きがあり、6月まではパッティングの調子がよくありませんでしたが、7月からパターのフェース面をボールに対してスクエアに向けている時間を長くしたらよくなりました」。この日は面白いように長いパットを沈めていったが、単に技術が向上しただけではない。

 前半を4アンダーで終えたものの、折り返しの10番・パー4でティーショットを右に曲げてダブルボギーとした。気持を切り替えるのは難しいところだが、笠は挫けなかった。「調子は悪くないし、まだ8ホールも残っている」と前を向く。すると、残り8ホールで5つのバーディーを奪って見せたのだ。

【Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images】

 今年でプロ19年目を迎えるベテランだが、前週終了時でのメルセデス・ランキングは62位と苦戦している。後半戦に入り、シード権争いもちらつくところだが、「私も37歳。いつかは終わりが来ると思うので、試合に出場する限りは一生懸命に頑張るだけです」と、悔いのないプレーを心がけている。

 振り返れば、そのような考え方が身についたのは小学3年生から入った『坂田塾』での影響が大きい。今年の7月22日に鬼籍に入った坂田信弘氏が主宰していたジュニアゴルフスクールだ。厳しい指導で有名だった同塾だが、笠によれば優しさがあっての厳しさだったため、同塾を辞めたいと思ったことは一度もなかったという。「ミスをした後にヘラヘラと笑っていたときはさすがに怒られました」。ゴルフに対しては常に真剣に取り組むのはもちろん、ミスの後こそ、どのようにカバーするかを考えるべきだと坂田氏は教えたかったのだろう。

 また、笠の父親であり、キャディーを務める清也氏は、坂田塾熊本校の創設当時からコーチを務めていた縁もある。笠にとってはかけがえのない師匠だった坂田氏だけに、勝利を届けたい思いも強い。実際、訃報を聞いた直後の試合となった北海道meijiカップでは今季初の5位タイに入っている。その翌週に早くも優勝を届けるチャンスが巡ってきただけに、残り2日間、首位の座を明け渡すつもりはない。
(山西 英希)
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