【#スタジアムを繋ぐ】#006 小川貴司さん(湘南モノレール株式会社 代表取締役)ー プロジェクトの第二章もクラブとともに地域貢献を

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 684の個人と企業の支援を通して完成した「みんなの鳩サブレースタジアム(鳩スタ)@湘南深沢」は3年間の歴史に幕を閉じ、2024年11月(予定)に終わりを迎える。そして今、「みんなのスタジアム構想プロジェクト」の第二歩目となる新しいスタジアム建設に向けてクラブは動き出した。未来への夢を繋ぎ、場所を繋ぎ、文化を繋ぐ。みんなでスタジアムを繋ぐため、プロジェクトの第二章へ向けてみんなの思いを綴っていく。
今回は、パートナーシップ契約を結んでクラブをバックアップする湘南モノレールの小川貴司社長の思いを聞いた。

(文・本多辰成/スポーツライター)

クラブを応援することが地域への恩返しになる

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 鎌倉市の大船駅から藤沢市の湘南江の島駅までを結ぶ湘南モノレール。その駅のひとつである湘南深沢駅の目の前に「鳩スタ」はある。スタジアムへと向かう多くの人々の足ともなってきた湘南モノレールは、2021年の「鳩スタ」誕生以来、パートナーシップ契約を締結してクラブをバックアップしてきた。

湘南モノレールが鎌倉インテルとパートナーシップ契約を結んだのには、地元の人たちに恩返しをしたいとの思いがあったと小川貴司社長は話す。

「我々は地元に支えられて50年となります。地元の皆さまに輸送という交通機関の役割にとどまらず、何かお返しができる機会があればいろいろとやっていきたいと考えておりました。そういったなかで鳩スタであったり鎌倉インテルを応援させてもらうことも我々としてできること、地元への恩返しになるんじゃないかと。そういった意味でこのパートナーシップはいい機会をいただいていると思っています」

 パートナーシップ契約締結のリリースには、「鎌倉市深沢エリアと湘南モノレール沿線の活性化を目的としたパートナーシップ契約」と記されている。「鳩スタ」の誕生によって地域を盛り上げようとするクラブを応援することは、湘南モノレールにとっても地域貢献の形のひとつだった。

「湘南深沢駅前の土地は再開発計画があるのですがなかなか進まず、ずっと使われない状態でした。夜なんかは駅を降りても真っ暗で何もない場所だったのですが、そこに鳩スタができたことですごく賑やかな場所に変わりました。今はライトも照って人が集まる場所になりましたし、グラウンドの前を通ると子供たちの声がすることもあります。ずいぶん変わったなと思いますし、地域にとってすごく貴重な場所だと感じています」

「鳩スタ」は地域に多くの価値を提供している

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 2021年10月のオープン以来、「鳩スタ」は週末のリーグ戦開催だけでなくサッカースクールや各種イベントなどで多くの人が集う場所となった。何もなかった空き地に生まれたスタジアムは地域に徐々に浸透し、多くの価値を提供する存在となったと小川社長も感じている。

「鳩スタの存在価値は主に3つあると思っています。まず1つ目は、人が集ってひとつになれる場所であること。2つ目は、試合を通じて一喜一憂できる貴重な瞬間を提供してくれること。3つ目は、チームを応援するだけでなく逆にこちらが元気づけられるような場所であること。さらに付け加えれば、子供たちが学校以外で多くの仲間たちと時間を共有できる場所というのは実はなかなかないと思いますので、そんなかけがえのない時間をプレゼントしている存在でもあると感じています」

 小川社長自身も時間がある時には鎌倉インテルの試合を見に「鳩スタ」に足を運ぶことがあるという。ピッチのすぐそばに設営されたスタンドには数百名の人たちが集まり、一つひとつのプレーに一喜一憂する。「鳩スタ」の存在価値を体感できる瞬間だ。

「我々のオフィスが湘南深沢駅前の近くにあることもあって、時間がある時にはオフィスに行く前に寄って試合を見させてもらっています。1部リーグに昇格した去年の最初の試合なんかも印象的で、前年の優勝チームを相手にもしかしたらコテンパンにやられてしまうんじゃないかと思っていたら1-0で勝利した。最後は攻め込まれるところもあってドキドキしましたが、ああいう感情というのはなかなか味わえません。選手たちを応援しながら、逆にこちらが応援されているような感覚になる貴重な時間です」

プロジェクトの第二章もクラブとともに地域貢献を

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 今年11月でその役割を終え、新たな場所に移ることとなった「鳩スタ」。湘南深沢駅前の空き地にスタジアムが完成していく様子を間近に見てきたという小川社長は、日常となった「鳩スタ」のある景色がなくなる寂しさを感じる一方で、第二章への期待も大きいと話す。

「もともと私は湘南深沢駅を利用して通勤しているので、鳩スタのある場所の変化は毎日見ていました。空き地にある日、重機が入ってきて整地を始め、その後、みんなでせっせと人工芝を敷いていく姿も見ていたんです。ホームから見るとちょうどグラウンド越しに富士山が見えるんですが、その光景が私にとってももう日常の風景になってしまいましたから、それがあの場からなくなってしまうのは寂しくないと言ったら嘘になる。ただ一方で、移転がどういう意味を持っているかと考えると、クラブにとってはまた次のステップですし、それは新しいクラブのあり方のひとつのモデル、先駆けとなるんじゃないかと前向きにとらえています」

 湘南深沢駅前の「鳩スタ」は姿を消すことになるが、新たなスタジアムができる移転先も湘南モノレールの富士見駅から徒歩3分の場所となる。湘南モノレールはまた新たにクラブとのパートナーシップ契約を結び、スタジアムプロジェクトの第二章も力強く支えていく。

「我々が地域貢献をしていくとしても全て主体的にできるわけではないので、今後も鎌倉インテルのような新しい挑戦をされているチームをサポートすることで我々も地域への恩返しをしていければと思っています。これまで鎌倉には『おらがチーム』のようなものはありませんでしたので、ぜひそういう存在になっていただきたい。子どもも大人も含めてそこでプレーする人たち、そこに集まる人たちにとってかけがえのない時間を共有する役割を新しいスタジアムにも期待しております」

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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