真夏の短距離重賞!「夏は芦毛」の噂の真相は?/佐賀・吉野ヶ里記念データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年優勝リュウノシンゲン 【撮影:佐賀県競馬組合】

真夏の短距離重賞である吉野ヶ里記念。優勝馬は8月末のサマーチャンピオンJpnIIIに出走するケースもあるなど、見逃せない一戦だ。
なお、当レースは19時15分発走と、従来の重賞より1時間遅い時間帯のため、お気を付けいただきたい。
ここでは2013年から23年の過去10回のデータを元に分析する。

※2019年は大雨のためレース取りやめ

3連単万馬券は過去10回で4回

過去10回で1番人気が5勝を挙げ、半数を占める。しかし、1番人気が4着以下に敗れた2回や、人気薄が3着以内に入った時は3連単万馬券となっている。3連単の平均配当は1万2754円で、3連単5000円以上は6回だった。

単勝人気別成績 【表1】

逃げ・先行有利も、差し馬の大幅割引が不要な理由

舞台となる佐賀ダート1400mは直線の引き込み線からスタートして1周、コーナー4回のコース。佐賀競馬場で最もレース数が多く組まれる距離だ。小回りコースゆえ基本的には逃げ・先行馬が有利だが、似た小回りコースの園田競馬場や名古屋競馬場に比べると、佐賀競馬場は差し馬の好走率がやや高いという傾向もある。
当レースでも過去10回で差し馬が2勝、2着3回、3着4回で、小回りの短距離だからと言って差し馬の大幅割引は不要だろう。

脚質別成績 【表2】

大挙5頭出走の7歳馬の成績は?

最も勝利を挙げるのは4歳~6歳。ただし、18年ウルトラカイザーのように10歳馬の勝利もある。
今年の最高齢は7歳で、5頭が出走。7歳馬は過去10回で1勝、2着3回、3着3回だった。

馬齢別成績 【表3】

「夏は芦毛」の都市伝説は?

おまけデータ。暑い夏、白色は太陽からの放射エネルギーを反射しやすい(=表面温度が他の色に比べて上がりにくい)。そのことから、白色に近い芦毛が夏はいいのでは、という都市伝説が流れたこともあったが、当レースにおいて芦毛は1勝を挙げるのみで、2、3着はなし。一方、青鹿毛が4勝を挙げる。これは20年、21年連覇のミスカゴシマと22年、23年連覇のリュウノシンゲンが青鹿毛だったことがデータを押し上げている。

毛色別成績 【表4】

前走、短距離好走組が好成績も、今年は…

前走から距離短縮組、延長組など様々いるが、良績を残すのは同舞台の1400m、もしくは似た距離の1300mで好走した馬。A1・A2混合以上(表記では「オープン」「A1」「A1・A2」)の当該距離で2着以内に入った馬は当レースで7勝を挙げ、3着内率も57.7%だった。
今年は前走で勝利を挙げた馬が7頭と、例年以上に多く、そのうち該当するのは5頭。馬によって良馬場や不良馬場など、前走の馬場状態が異なるため単純比較はできないが、テイエムフェロー、フェブキラナの勝ち時計が速かった。

前走別成績 【表5】

データからの推奨馬は?

①4歳、5歳馬
②前走、1300mか1400mで2着以内(クラスは「オープン」「A1」「A1・A2」)
③上記のうち走破タイム上位馬

テイエムフェローは重賞2連勝中。重賞初勝利こそ1800mだったが、前走・佐賀がばいスプリントは1300mでの勝利で、勝ち時計1分21秒3(不良)も優秀。JRA時代に挙げた2勝は1200m以下のように、短距離は好材料だろう。
①②③すべてに当てはまる。

フェブキラナは佐賀がばいスプリントではテイエムフェローの3着と後塵を拝したが、前走の準重賞(1400m)を1分27秒6(不良)で勝っており、こちらも好時計。佐賀移籍当初は1800m以上で3連勝を果たしたが、それ以降は短距離を中心に使われている。
②③に該当。

アビエルトはJRA3勝クラスから佐賀に移籍して3戦目の馬。佐賀がばいスプリントで1馬身1/4差で2着、前走の準重賞は4馬身差で快勝だった。
③に当てはまる。

第26回吉野ヶ里記念 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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