選手を支える学生委員の意義と、低反発バット導入╱大会総括コラム

全日本大学準硬式野球連盟
チーム・協会

【関東地区大学準硬式野球連盟】

 6月28日(金)~6月30日(日)、福島県・泉崎村にて体育会ナビカップ「関東JUNKOオールスター大会2024」が、開催された。選手兼学生委員として運営に携わった埼玉大3年・山中達也(県川越)が振り返る。

運営統括として試合の円滑な運営に務めた関東学院大3年の市野清治学生委員(=静岡商) 【関東地区大学準硬式野球連盟】

“裏方”が主役なのではないかとも思える学生だけの運営力

 この大会は、関東地区大学準硬式野球連盟が主催をし、関東連盟の学生委員が企画・運営を全て行っており、学生の手で学生に向けて行われている大会である。2022年に学生委員の20年以上前に行われていた5リーグ対抗戦を復活させたいという想いが実り、開催が実現された大会である。
 関東連盟は「学生の学生による学生のためのJUNKO BASEBALL」を掲げて学生委員が中心に運営しており、皆んなJUNKOをさらに輝ける競技にできるように懸命に磨き上げている。学生だけで大会を実施できた「運営術」を紹介する。
 
 今大会、運営の統括を務めた関東学院大3年・市野清治(=静岡商)は、
「学生員各自に振り分けがされている各担当の進捗状況をしっかり把握することを意識しました。時間があまりない中で準備がしっかりと進んでいるか、抽選会の方法は公正な方法がとれているかなどをZOOMで会議を何度も重ねて行っていき、統括として自分がすべての状況を把握し、目を向けていました。学生委員は誰でも経験できることではないので、様々な活動が自分自身の成長に繋がっています」と今大会の反省と学生委員としてのやりがいを話す。
 
 筆者自身も、学生委員として活動をしながら、野球の技術向上と結果、社会人に向けて人間性を高めることができる場所が準硬式であると思っている。
 例えば、今大会の「海ごみ削減プロジェクト」や「地元中学生との野球教室」は地域・社会貢献活動であり、夜の「キャリアガイダンス」では社会で活躍できる人材について考えさせられた。
 大会の運営や企画は“裏方”であると思われがちであるが、学生委員が迅速にスケジュールを決めなければ選手たちは準備できない。連絡の遅れは大会進行の妨げになってしまう。グラウンドでは、選手が“主役”となってプレーを魅せてくれるが、グラウンドに出て活躍する選手たちの環境をつくり、試合の進行を支える学生委員はある意味〝主役〟ではないかと私は思う。

 選手がグラウンドに立つまで学生委員は何か月も前から球場の確保や打ち合わせ、大会要項の作成や抽選会・主将会議など事前に選手に説明する場における進行の確認などを何度もZOOMでの会議や直接集まって確認するなど試行錯誤をして作り上げている。自分たちで0から100を作り上げていくことこそ、大学生でなければできないことであり、社会に活かせるスキルを身に付けられる経験ができるのではないかと思う。〝主役〟であることを常に意識をして、運営から広報まで様々な活動に積極的に関わり、自分の成長と準硬式の成長のために活動をしている。
 準硬式を進路に考えている高校生には、学生委員が〝裏方〟ではなく〝主役〟でもあることを強く伝えたい。

今大会を運営した関東連盟学生委員たち。今後も準硬式界を牽引する自覚と責任をもち活動していく 【関東地区大学準硬式野球連盟】

低反発・木製。バット選びも自由な準硬式

 今大会では、全チームが低反発バットを使用した。関東連盟では、高校野球が今春のセンバツ大会から導入したことに合わせて取り入れた。今後、旧バットが製造終了になることも踏まえて、今季のリーグ戦、予選会、新人戦の一部で使い始めている。結果としては、今大会は本塁打が1本のみで長打数も減少した。バット変更で投手有利となり、試合時間も短くなった。時代の流れに合わせたこの移行が、準硬式の戦い方にも変化を及ぼしている。低反発バットの感触について選手に感想を聞いた。

最優秀選手賞を受賞した慶應大4年・佐藤遼平(=桐朋) 【関東地区大学準硬式野球連盟】

 最優秀選手賞の慶應義塾大4年 佐藤遼平(=桐朋)は「芯にあたればあまり打球は変わらないのでとにかく芯で打つことを意識しました。あとは、ラインにバットを長く入れてボールを乗せて運ぶ意識で打っています。3連覇のために何か貢献したいと思っていたので想像以上の結果で嬉しいです」と話した。バーベキューや野球教室で、他リーグの選手とも仲良くなったそうで「頼もしい仲間が秋には敵になるので、負けないように頑張ります」と続けた。

最優秀選手賞打者賞を受賞した國學院大2年・大滝快晴(=新潟明訓) 【関東地区大学準硬式野球連盟】

 最優秀打者賞の國學院大2年 大滝快晴(=新潟明訓)は木製バットで出場した。意図を聞くと「低反発バットの打感が嫌いという理由と、上のレベルで野球がしたいという理由です」。そして「対応としては金属より打つことが難しいですし、芯で捉えなければヒットが出ません。そのため、日頃の素振りや打撃練習でスイングスピードをあげること、芯で捉えた打球を増やすことを意識しています」と続けた。大滝選手のように、最近は木製バットを使用して硬式野球復帰を視野に入れる選手も増えている。「毎日の素振りの成果がこのように結果に出て本当に嬉しかったです」と話し、活躍の要因を「決勝前夜、ワクワクしすぎて亜細亜大・関口監督が買ってきてくれたシャトルを亜細亜大2年・井関泰来(=中央学院)、同4年・小川陸さん(=本庄第一)と夜中の1時まで打っていました。決勝3安打を打てたのも3人のおかげです」と打ち明けた。
「学生委員の皆様が企画・運営してくださったオールスター大会を通じ沢山のことを学ぶことが出来たので、今大会で得たことを準硬式野球の発展、私自身の成長に活かしていきたいと思っています」。ますますの飛躍を期待したい。

 低反発、木製と、バット選びも多様で、自分の感覚に応じて選択することができるということも準硬式野球の良さだろう。全6チーム計150名の選抜された選手たちが、本気で戦った3日間は選手、スタッフにとっても運営を行った学生委員に思い出に残り、そして連盟の発展の1ページに刻まれるものとなった。

3連覇を果たした東京六大学選抜。異なるユニホームの選手が一丸となって勝利を掴んだ 【関東地区大学準硬式野球連盟】

主催:関東地区大学準硬式野球連盟
主管:東京六大学準硬式野球連盟
   東都大学準硬式野球連盟(1部所属チームの選手のみのAチームと2部~5部所属チームの選手のBチームの計2チームで参加)
   神奈川大学準硬式野球連盟
   北関東大学準硬式野球連盟
   新関東大学準硬式野球連盟
協賛:株式会社ガーディアンシップ
   共栄セキュリティーサービス株式会社
   ジャパンシステム株式会社
   株式会社イソノ運動具店
   JA全農福島
   内外ゴム株式会社

(文╱埼玉大3年・山中達也=県川越)
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著者プロフィール

準硬式野球は大学軟式野球競技として昭和20年代にスタートして以降、大学スポーツとして歴史を重ねてきました。2023年現在は約270校、約9400人が加盟。『学業とスポーツの両立』を体現するため、文系・理系・医歯薬系を問わず学生は活動しており、大学の講義・実験・実習を最優先にしてから本気で野球に取組んでおります。また、野球経験を問わず、未経験者、ソフトボール経験者、軟式経験者、女子選手などを積極的に受け入れ、ダイバーシティ・インクルージョンを実現しております。

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