移籍馬の多い重賞をどの切り口から狙う?/佐賀王冠賞データ分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

2023年優勝タガノファジョーロ 【撮影:佐賀県競馬組合】

地元馬同士による中距離重賞。21年には現在は調教師の鮫島克也騎手がドゥラリュールで勝利。子息の鮫島克駿騎手はその約2時間半前にCBC賞をファストフォースで勝っており、親子同日重賞制覇を果たした。
ここではレースが創設された2018年から23年までの過去6回のデータを元に分析する。

上位決着傾向も、3着は中穴も

過去6回すべてで単勝3番人気以内の馬が勝利。2着も6回中5回で単勝2番人気以内の馬が入っている。一方で、3着には4番人気から6番人気までの5頭が入っており、ややヒモ荒れの一戦と言える。
3連単の平均配当は1万8885円。22年の9万910円(3番人気→7番人気→4番人気)が平均を大きく押し上げており、万馬券が出たのは他にもう1回のみだった。

単勝人気別成績 【表1】

外目の枠からの先行馬が好成績

舞台となる佐賀2000メートルは向正面の引き込み線からスタートし、1周半、コーナー6回のコース。スタートから最初のコーナーまで距離があるため、ポジション争いはそこまで忙しくはならない。

佐賀競馬場 【コース図】

勝率、連対率、3着内率すべてで最も高い数値なのは先行馬。中でも真ん中から外の枠から先行した馬が好成績を収める。ただ、今年は6頭立てと少頭数なため、枠の影響は少なそうだ。

脚質別成績 【表2】

3歳から高齢馬まで幅広い活躍

馬齢別では幅広い層に好走馬が分布する。短距離に比べて年齢を重ねた馬でも活躍すると言われる中長距離。今年の出走馬は最高齢で7歳だが、過去には8歳馬の勝利や9歳馬の2着2回、10歳馬の3着もあった。一方で、3歳や4歳馬も活躍しており、年齢だけでの取捨はやや危険か。

馬齢別成績 【表3】

1700m以上で近走勝った馬

これまでの実績から好走馬を探る。着目したのは中長距離での実績。直近5走で1700m以上での勝利実績のある馬は当レースで4勝を挙げる。3着内率は50.0%で一つの目安となるだろう。

実績別成績 【表4】

データからの推奨馬は?

①上位人気馬
②先行馬
③直近5走で1700m以上での勝利

今年は出走馬6頭中2頭が移籍初戦、または移籍2戦目で、力比較が難しくなっている。その2頭は過去データでの照らし合わせが難しく、悩ましい。

まずは佐賀で3戦以上走ってきた4頭を見てみよう。
その中から有力はアエノブライアン。こちらも佐賀に移籍してきてまだ3戦しか走ってはいないが、重賞・佐賀スプリングカップ(1800m)で2着の実績がある。その重賞では中団前めにつけ、上がり3ハロンは最速タイで脚を伸ばした。1800mの前走も7馬身差で完勝しており、上位人気に支持されるだろう。①②③すべてに当てはまる。

移籍組のブルーアローは高知から転入2戦目。今週9日の霧島賞ではJRA馬も参戦する中、高知所属馬がワン・ツーを決めたように、高知からの遠征馬や移籍馬は佐賀での好走例が多い。その高知時代、本馬は1400mが中心だったがこれは番組編成上の問題で、それ以前に在籍していた園田・姫路や門別では1700m以上を中心に使われて勝利を挙げており、今回の距離2000mは歓迎材料だろう。佐賀初戦の前走の勝ちタイムも優秀で①②に該当。

ダイキチホマレは大井からの移籍初戦。その大井時代は1600m以上の長い距離を使われて6勝。最後までバテずに走りきれる馬で、4走前にはB3選抜(1600m)で勝利。厳密には100m短いが、広い大井コースということを考えると③に当てはまると言っていいだろう。

第7回佐賀王冠賞 【出馬表】


文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。
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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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