【物語りVol.113】2024年6月度定例会見レポート「歓喜を噛み締め、『未来』を見据える」
【東芝ブレイブルーパス東京】
収益構造を多角化して事業規模のさらなる拡大へ
最初に23-24シーズンの事業総括として、荒岡義和代表取締役社長がマイクを握りました。売上高は6億2400万円で、4億1千万だった前シーズンに比べて153パーセント増となっています。
項目別に見ていくと、母体企業を除くスポンサー収入が2億8400万円となりました。シーズン前の目標とした2億5千万円を上回り、昨シーズン比で140パーセント増です。
チケット収入は2億400万円で、こちらは同151パーセント増です。ホストゲームの1試合平均入場者数は10045人でした。昨シーズンは5993人で、今シーズンは8000人を目標としていましたから、ノルマを大きくクリアしています。選手たちの躍動感溢れるプレーと、事業面での様々な企画や演出が、平均1万人超えにつながったのでしょう。
グッズ収入は5200万円、ファンクラブ収入は3800万円でした。こちらも前シーズン比で大幅に数字を伸ばしています。
アカデミー収入は1700万円となっています。小中学生を対象としたルーパス塾などによるもので、荒岡社長は「キャパシティの問題で人数を制限せざるを得ないところがありました。アカデミーは注力したいので、より多くの皆さまを受け入れられるようにします」と話しました。
荒岡社長は今シーズンをこう総括します。
「コロナの制約がなくなったシーズンで、大体の事業規模がつかめました。スポンサー、チケット収入に頼らない収益構造ができつつあり、多角化していくことで収益を伸ばしていきたい。優勝を受けた来シーズンは、スポンサーやファンの獲得において特別なシーズン。楽しみです。地道に活動しつつ、マイナーチェンジをしていきたい」
事業会社に「オフ」はなく、歩みを止めずに前進していきます。
【東芝ブレイブルーパス東京】
新シーズンは「マインドセットの再設定」から
最初に23-24シーズンを振り返ります。
「優勝という結果については、選手たちをこのうえなく誇りに思います。よりタフなカンファレンスに入った印象で、実際に試合も難しいものになりましたが、毎週高いレベルのパフォーマンスを出し続けなければならないことがいい意味で課題となり、優勝へ近づくためのいい一歩になったのかな、と。優勝にばかりとらわれず、今日の試合より来週の試合をいいものに、ということを続けたのも良かった」
シーズン中から評価をしていたディフェンスにも、改めて触れました。
「15節の東京SG戦で、粘り強くディフェンスできた。プレーオフの準決勝と決勝も、ディフェンスに信頼をおくことができました。リッチー・モウンガとシャノン・フリゼルが加入して、彼らに勢いをもらったというのはありましたが、それ以上にチームとしての守りかたが確立されたのが大きかった」
そして、14シーズンぶりの優勝は東芝ブレイブルーパス東京に関わるすべての人たちで勝ち取ったもの、との認識を示しました。
「クラブやスポンサーなど、一つひとつのところでの小さな違いが、最終的に他チームとの違いとなって結果につながったのでは。決勝も全員が勝てると信じていたはずで、それは選手だけでなく事業側も1年間頑張ってきたからこそ、そういう気持ちになったと思うのです」
23-24シーズンは、在籍年数の短い選手がチームの中核として機能しました。切磋琢磨して成長していくチームの文化が戦力の底上げを促し、結果に結びついたと言うことができるでしょう。
「若い選手たちは、望んでいたとおりの成長曲線を描いてくれました。若い選手は出場する試合数に比例して実力が伸びていくと思うので、今回のプレーオフ2試合を経験したことで、次のシーズンはさらに期待できるのでは。いい選手を獲得してさらに高いレベルへ引き上げる育成は、もっともっとやっていきたい」
王者として臨む新シーズン、トッドHCは「連覇は意識しない」と言います。足元をしっかりと見据えて、レベルアップを実現していきます。
「今シーズン機能した部分をより良くするには、どうしたらいいのかを考えたい。平均年齢を見ても若いチームなので、伸びしろはたくさんある。必ずやらなければならないのは、マインドセットの再設定。優勝したことで『また勝てるんじゃないか』と先を見過ぎてしまう選手が出てくるかもしれないので、ハードワーク抜きに達成できるものは何もないのだと、改めて徹底したいと思っています」
【東芝ブレイブルーパス東京】
「生まれ変わる東芝の象徴となる」
「2025年7月に、株式会社東芝が150周年を迎えます。そこへ向かってチームを作っていく気持ちでやってきて、1年前倒しでタイトルを取ることができました。東芝が変わろうとしているなかで我々の存在意義は、強いシンボル、象徴になることだと、チーム内で共有してきました。そのために結果がほしかった。そこが一番の価値だと思っています」
今シーズンは5つのポイントをフォーカスし、プレシーズンから活動を重ねてきました。「トレーニングのバランス」、「早いラインディフェンスへの対応」、「ディフェンスのストラクチャーの変更」、「セットピースの安定」、「ペナルティの減少」です。
グラウンドの内外でプレーのスタンダードを磨き、昨シーズンの課題を塗り潰していく。そうした日々を積み上げながら、リッチー・モウンガ、シャノン・フリゼルら新たに加わった選手たちが、チームにフィットしていきました。
「ともに成長するのが我々の文化です。外国籍の選手が入ってきても、助っ人ではなくともに成長する、という意識でチームを作っていく。我々のチームカラーに合った選手を獲得して、コーチ陣がいかに育成するか。リッチーとシャノンにしても、彼らに合わせたプランではなく、彼らが東芝ブレイブルーパス東京のプランにコミットする。そういうチームの作りかたをしています。チームの軸となるものを大事にしつつ、結果を残したのは非常に価値があると考えます」
選手、監督として優勝経験を持ち、就任3シーズン目のGMでも優勝を勝ち取りました。大きな歓喜に包まれてもおかしくないはずですが、そこはチームを統括する薫田GMです。つねに先を見据えています。
「優勝した瞬間は喜びがありましたが、ホッとしたというのが正直なところです。かつてもそうでしたが、優勝したら次は連覇を目ざす。そのプレッシャーをすぐに考えました」
薫田GMは表情を引き締め、「今シーズンのレビューをしっかりやります。いかに変化と進化をするのかが、来シーズンへ向けて重要です」と締めくくりました。
14シーズンぶりの優勝を、新たな黄金時代の嚆矢とする──事業会社として、リーグワンの強豪として、東芝ブレイブルーパス東京は逞しく、しなやかに成長を続けていくのでしょう。
【東芝ブレイブルーパス東京】
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