【FC東京】高宇洋インタビュー「試合を読む力」

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ピッチの中央に背番号8がいる。 大きく身振り手振りを繰り返しながらボールを引き出し、細かいパス交換を繰り返して攻撃のスイッチを探っていく。東京の試合を見ていれば、すぐに彼の存在感に気づくことだろう。

【©FC TOKYO】

今シーズン、アルビレックス新潟から完全移籍してきた高宇洋。開幕当初は出場機会を得られずに悩んだ時期もあったが、巡ってきたチャンスでしっかりと結果を出し、強烈な個をつなぐ青赤の“リンクマン”として不可欠な存在となった。

目に見えない彼の武器──。それこそが試合を読む力だ。個人の能力で試合を決めることが多かったチームに、勝利を積み重ねていくための修正力とコミュニケーションを加えようとしている。

個人もチームもまだまだ発展途上。だが、東京が強くなっていくための道筋が、彼には明確に見えている。

Text by 青山知雄

──まず、ここまでの戦いを振り返っていかがですか。
前半戦を振り返ったら、もっと上に行けたな、もっと勝点を取れたな、勝ち切らないといけないゲームだったなと感じる試合が多かった印象はありますね。ただ、その一方で苦しい展開で追いついて引き分けに持ち込み、勝ちを手にできた試合もあった。さらに上に行くためには、できるだけ波を少なくして、連勝することが絶対必要になってきます。それに後半戦はホームで勝たなきゃいけないと強く思っているので、そうしていくことで上に行けるのかなと思います。

──全体的に振り返っていくと、良いサッカーができている時と、なかなか攻め手が見つからなくて苦しむ試合があるように思います。開幕から何を積み上げてきて、何が課題として残っていると感じていますか。
僕もそれはすごく感じます。さっきも言ったように、内容に関して波がありますよね。そこはどれだけスタートから強気に仕掛けていけるか、チャレンジしていくか。うまくハマっている時は自分たちのサッカーができて勢いに乗れていると思います。ただ、良くない時は受けに回り、なかなかチャレンジできないことが多い。ボールを受ける意思が弱く、セカンドボールへの反応が遅い時は難しいゲームになっていると感じます。

──そこの課題解決を考えていきたいです。印象としては、ボールをつないでいる展開でも、アタッキングサードに入ってからの変化とか攻撃のスイッチを入れられない試合は苦しんでいます。
僕としてはもう少しリズムを出したいので、簡単に使える選手がいれば簡単に使うべきだと思うし、背後をとれるなら走って簡単に使っても良いと思っています。東京は個の能力が高い選手が多いので、個人でも剥がして打開できてしまう場面もあります。もちろんそれは悪いことではないので、個の強さと組織としてリズムを出すところは使い分けられたら良いですよね。ここから夏場に入っていきますし、戦い方を考えていくことも重要になってくると思います。

【©FC TOKYO】

──そこの課題解決を考えていきたいです。印象としては、ボールをつないでいる展開でも、アタッキングサードに入ってからの変化とか攻撃のスイッチを入れられない試合は苦しんでいます。
僕としてはもう少しリズムを出したいので、簡単に使える選手がいれば簡単に使うべきだと思うし、背後をとれるなら走って簡単に使っても良いと思っています。東京は個の能力が高い選手が多いので、個人でも剥がして打開できてしまう場面もあります。もちろんそれは悪いことではないので、個の強さと組織としてリズムを出すところは使い分けられたら良いですよね。ここから夏場に入っていきますし、戦い方を考えていくことも重要になってくると思います。

──一方、守備に目を移すと、チームとしてはもったいない失点の多さが気になりました。
正直、イージーな失点が多くありました。完全に崩されたシーンや失点は少なかったので、ほとんどが自滅からの失点。そこは集中力の問題だと思います。最近はそういう失点が減ってきたので、個人個人が責任を持ちながらやっていけるように修正していきたいです。

──裏を返せば、安易な失点を減らしていけばチームとしての成績もついてくるのでは。
それは間違いないです。失点を減らすことで上が見えてくると思います。上位のチームは失点数が少ないので、そこはしっかりとこだわっていかなければならない部分です。少しずつ改善できてきて、最近はゴール前で身体を張ることや、集中力が高くなっている印象はあります。

──高選手は今シーズンから東京へ移籍してきて、開幕当初はなかなか出場機会を得られずに苦しんでいた時期もありました。
東京に移籍して一番難しかったのは、動きながらプレーすることでした。アルビレックス新潟はチームの枠組みがあって、個人個人のポジションを守りながらプレーするチームでした。それが東京では組織から個というか、個が自由に動きながらつながっている形だったので、そこは苦労しましたね。

──2024明治安田J1リーグ第4節のアビスパ福岡戦で初めて出場機会を手にしました。この試合でチームに今シーズンの初勝利をもたらしたことで、そこから完全に青赤の“リンクマン”になっていきます。
個人的には本当にあのアビスパ福岡戦がターニングポイントだったと思います。福岡のアウェイで20シーズンくらい勝てていないと聞いていたので、「持ってるな」とも思いましたね。キャンプや練習試合で徐々に良くなっている手応えはありましたし、チームも開幕3試合で勝てていなかったので、僕自身はいつ使ってもらっても良いように準備をしていました。というより、「ここで結果を残せなかったら東京での生活は終わり」という覚悟を持って臨んだ試合でした。内容、結果ともに非常に良いゲームだったと思いますし、しっかり準備をしてきたことが出せました。

【©FC TOKYO】

──ボランチとしてチームのリンクマンになっている高選手は、試合中にずっとしゃべって身振り手振りで指示している印象があります。ピッチ内で何を見て、何を感じて、何を考えて、何を心がけていますか。その思考と行動について教えてください。
僕自身は周りとつながるポジションだと思っているので、常に攻守に関わらなきゃいけないところで、まずしゃべることは大前提というか、僕のなかでは一番大事なことだと考えています。そのために必要になるのが“見ること”。試合中にゲームの流れをつかむことはもちろんですけど、90分間をどのようにデザインするか、どうすればチームが良い方向に進むのか、勝つための逆算はできているかを考えています。いかに試合中に流れを感じとれるかということですね。サッカーは相手があることなので、自分たちのサッカーをめざしながらも、相手のシステムやコンディション、味方の状況も踏まえ、判断しながらコミュニケーションをとるようにしています。

──先ほども“リンクマン”と表現させてもらいましたが、ボランチとして各選手の良さをつないでいる印象があります。
ピーター クラモフスキー監督のサッカーは、縦に速く仕掛けるスタイルではありますけど、個人的にはそこでうまくリズムを作りたい。縦に速く行く攻撃と、時間やボールをコントロールする攻撃の使い分けは絶対に必要です。そこは監督とも話していて「ピッチ内で判断して良いよ」と言われているので、周りの選手とうまくつながりながら、組織的に戦うことを意識しています。

──J1リーグ第21節の北海道コンサドーレ札幌戦では、後半に原川力選手と「相手の運動量が落ちてきたから勝負どころだ」という話をして、チームとして圧を強めたと聞きました。自分としても試合の流れを読む力はついてきた手応えはありますか。
そこは結構ありますね。東京には強烈な個を持った選手がたくさんいますし、それをいかにつなげるかというところ。東京はより勝ちを求められるクラブだと思うので、自分のなかでもゲームをコントロールして勝利に近付ける感覚はすごく養われていると思います。北海道コンサドーレ札幌戦はリキくんと話しながら、あの時間帯で相手が緩んだのがすごく分かったので、「ここが仕留めどころだね」と話はしていました。

【©FC TOKYO】

──流れを読んだプレーを心がけるという部分では、東京に来たことで自分の意識も変わりましたか。
間違いなく変わっていますね。ボランチとしてそういった部分を見ることがどれだけ重要なのかという部分は、東京に来たことで改めて感じています。

──相手が東京対策を講じてくるなかで、なかなかうまくいかない時にどうできるか。そこが後半戦の大きなポイントになってくると思います。
アウェイの19節湘南ベルマーレ戦みたいに劣勢を強いられるゲームはシーズンを通したら必ずあります。ああいう試合で勝ち切る力はすごく大事なので、あそこで勝点3をとれたのは大きかった。ただ、ああいうゲームを何試合もやっていたらフィジカルもメンタルも大変です(苦笑)。最初にも言ったように、どれだけ波を減らせるかが大切なんですよね。苦しい時間帯をチームとしてしっかりとゼロで抑える。そのうえでハーフタイムや試合後にみんなで話し合って修正するのも必要ですけど、それを試合中に雰囲気やリズムから感じ取って修正できる力は絶対に必要ですし、そこで修正しながらどんなアクションをとれるかがここから大事になります。少しずつできるようになってきてはいますけど、まだまだ力不足だと思うところもあるので、チームとしてはもちろん、僕個人ももっともっと感じ取って、発信して、チームをうまくつなげられるようにやっていきたいですね。

──チームとしては高選手のリズムを変えるワンタッチパスや縦パスが攻撃のスイッチになっていますね。
今シーズンはアタッキングサードでチャレンジするようなボールは結構増えている印象はあります。それがうまく得点につながっているシーンもあります。前線に強烈な選手がたくさんいるので、チャレンジしながら、彼らに良い状況でボールを供給したい。あとは失い方だけ悪くなければ。前線でトライするぶんにはボールは取り返せるので、そこは個人としても質を上げることを心掛けながらチャレンジしていきたいなと。

──さて、7月13日には国立競技場で新潟戦があります。
国立競技場の雰囲気は本当に素晴らしいと思います。選手入場の演出もすごいと思いましたし、ファン・サポーターもたくさん来てくれるので、モチベーションは高くなります。円陣を組んでいる時にプロジェクションマッピングで演出しているのは分かりました。エンターテインメントだなと(笑)。

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高宇洋選手のインタビューの続きは、関連リンクの【FANZONE】からお読みいただけます。
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著者プロフィール

FC東京は、「東京都」全域をホームタウンとする、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に所属するプロサッカークラブ。

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