【週刊グランドスラム258】東京ドームで快進撃を目指す中国地区のライバル・JR西日本とJFE西日本
第95回都市対抗野球大会の開幕まで2週間となった。一回戦の対戦カードも決まり、出場32チームは黒獅子旗獲得へ向けた準備を着々と進めている。一丸となった戦いで勝利した予選の収穫を自信に、全国で勝ち上がるためにクリアしなければならない課題と向き合っているところだろう。中国地区からは、広島市・JR西日本と福山市/倉敷市・JFE西日本が出場する。昨年は、ともに一回戦敗退。その悔しさを胸に過ごした一年間の成果を、東京ドームで存分に発揮したい。
3年連続7回目の出場となるJR西日本の田村 亮監督は、「第一代表にこだわりました」と言う。攻撃面で苦しんだ昨年から一転、二次予選は3試合で34安打17得点を記録した。JFE西日本との第一代表決定戦では、「おまえの大会だから主役になってこい」と指揮官に送り出された花村 凌が、7回を投げて3安打無失点。打線も左腕の好投に応えた。1対0で迎えた7回表に一死二塁のチャンスを築くと、杉本 涼の左中間を割る適時三塁打で1点、続く田村 強、戸田航史の適時打でさらに3点を加えた。8回表にも田村強の三塁打、9回表には植本亮太の2ラン本塁打でダメを押し、9対1で快勝。着実にステップアップする花村の投球をはじめ、選手たちの成長に田村亮監督は大きく頷いていた。
「ここ数年、中国地区はJFE西日本が先頭に立っていたし、全国的にもそう見られていたと思います。選手が本気になって取り組んでくれたことが、結果につながりました。自信を持って本大会に臨んでほしいですね。一回戦は、どこと当たっても難しい。どんな試合展開にしたいということはなく、どんな展開になっても勝てるチームを目指す。様々な攻め方、守り方ができるよう準備していきます」
そうして、一回戦の相手はJR東日本東北に決まった。JR対決を前に、主将の櫻井 涼はこう話す。
「JR東日本東北は打撃がよくて、みんなバットが振れている印象です。社会人で5年目になりますが、まだ公式戦でJR東日本東北と対戦したことはない。チームとしては予選と同じように、試合に出ている選手もベンチにいる選手も関係なく、一体となって相手に立ち向かい、ひとつずつ勝利を積み重ねていきたいです」
1996年の三菱重工広島以来の決勝進出はなるか
伯和ビクトリーズとの第二代表決定戦は、3対2とリードして終盤に入るも、8回表に追いつかれてしまう。同点で迎えた9回裏、先頭の古田 塁が左前安打で出塁し、犠打で一死二塁にすると、続く後藤が左前に弾き返し、古田は本塁を突くも憤死。だが、まだチャンスを逃したわけではない。申告敬遠で二死一、二塁になると、代打の三木大知が打席へ。ファウルで粘ったあとに強振した打球は、センターの頭上を越えた。11年目のベテランのひと振りでサヨナラ勝利を収めた。
「よく言われるように、打線は水ものです。だから、犠打など細かい部分を突き詰め、チャンスを広げていきたい。若手・中堅・ベテランにはそれぞれ役割があります。それを大事にしながら、全員で昨年のリベンジに挑みます。SUBARUには、阿部さんをはじめ好投手が揃っていますが、何とかして得点したいです」
両チームとも、都市対抗の最高成績はベスト8だ。1996年に三菱重工広島が準優勝して以降、中国地区の決勝進出はない。新たな景色を求めて、開幕までの期間を充実したものにしてほしい。
【取材・文=古江美奈子】
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