【U20世界選手権】U20日本代表が歴史的快挙。米国代表に史上初勝利

チーム・協会
カナダ・アルバータ州エドモントンで6月22日から30日の日程で開催されているIFAFアンダー20(U20)世界選手権。現地6月26日に行われた準決勝、日本代表対米国代表の一戦は41対20で日本代表が勝利し、決勝進出を決めた。IFAF主催の世界選手権で日本代表が米国代表に勝利したのは史上初の快挙だ。

CFLエドモントン・エルクスの本拠、コモンウェルス・スタジアムで行われた試合は、序盤から日本代表がビッグプレーを連発してたたみかけた。

米国代表の最初の攻撃を守備が食い止めた日本代表は、自陣36ヤードから攻撃権を獲得。このシリーズは一度、第1ダウンを更新しただけでパントとなったが、P中勇大(関学高卒)が蹴ったパントを、WR高橋耀生(サンディエゴ大2年)がゴール前1ヤードで押さえて米国を自陣深くに押し込むことに成功。さらに、米国は交代違反の反則で罰退。日本守備は米国が展開したランに対して、DL馬久地匠(関学大2年)が捉えてボールをはじき出すと、LB東駿宏(関西大2年)がエンドゾーン内でリカバー。第1Q3分16秒に先制TDを挙げた。

さらに、自陣27ヤードから始まった次の攻撃機会にはQB小林伸光(日本大2年)からWRリンスコット・トバヤス(関学大2年)へのロングパスで一気に敵陣12ヤードに進行。このチャンスをRB蓑部雄望(立命館大2年)の1ヤードTDランにつなげて加点した。

日本代表の猛攻は止まらなかった。反撃を試みた米国代表のパスにDB東田隆太郎(関学大3年)が飛びつきインターセプト。敵陣29ヤードの好機を創出。RB漆原大晟(立命館大1年)がパワープレーで一気にゴール前16ヤードに運び、9分36秒、小林からリンスコットへの16ヤードTDパスにつなげた(トライキック失敗)

第1Qで20点の大幅リードを奪った日本代表は、第2Q、自陣20ヤードから始まった攻撃機会にWR百田真梧(関学大2年)へのパスでシリーズを更新すると、4分3秒にRB漆原が69ヤード独走TD。27対0と4ポゼッション差を作った。

しかし、米国代表もこのままでは終わらなかった。前半終了間際、攻撃がボールの受け渡しをミスしてターンオーバーを喫したのをきっかけに、前半終了39秒前に1TDを返されてしまう。さらに後半開始のキックオフで米国代表が意表を突くオンサイドキックを成功。日本代表守備がもたついたところにロングパスで攻め込まれ、後半開始わずか21秒でTDパスを決められてしまった(トライキック失敗)。

日本代表は自陣25ヤードから始まった攻撃に、RB漆原のラン、QB菊地慶(法政大2年)からTE矢作一颯(法政大2年)へのパス、RB蓑部へのパスでシリーズ更新を重ねて敵陣に進行。さらに漆原のランで敵陣28ヤードまで進んだがFGを失敗。チャンスをものにできない嫌な雰囲気が漂いはじめた。

1つのプレーで形勢が逆転しかねない2ポゼッション差という緊迫感に満ちた状態を打開したのは自陣20ヤードから始まった次の攻撃機会だった。TE矢作へのシャベルパスで敵陣に進行すると、蓑部のランでシリーズを立て続けに更新。このシリーズは第3Q10分5秒にRB漆原が中央を突いてTD。34対13と再び3ポゼッション差とした。

しかし、米国代表も簡単には折れなかった。第3Q終盤から続いた米国の攻撃に第4Q1分1秒、TDを許して34対20。再び試合は緊迫した状況になった。

さらに米国は自陣6ヤードから始まった攻撃機会に、パント体型からパスを決めるなどジリジリと前進。しかし、LB瀧川元煕(法政大2年)の好タックルなどがあり、米国陣46ヤードでシリーズ更新を阻止。日本は残り3分24秒にRB後藤駿虎(近大2年)が中央を貫く31ヤードTDランを決めて初の決勝進出を確実なものにした。

ゲームMVPはパス13投7回成功100ヤード1TD0被INTの活躍を演じたQB小林(伸)が受賞した。

このゲーム後に行われた準決勝第2試合、カナダ1対オーストリアの一戦はカナダが勝利。日本代表は現地時間30日17時(日本時間7月1日8時)に、優勝を懸けてカナダ1と対戦する。

■試合後コメント
大橋誠監督
本当に選手がよく体を張って頑張ってくれました。結果に結びついてよかった。(米国代表は)個々のタレントは米国の選手らしい選手だった。今までは我々がオーガナイズドされたチームを作っても、個々の力で負けてしまうケースが多かった。しかし、今回は1対1の勝負でやられる部分もあったものの、こちらがやれている部分もあった。何よりも第1Qにある程度のリードがとれたことが一番の勝因だと思います。終盤2ポゼッション差の場面はセーフティリードではなかったので、守りに入らず攻撃をしてくれたのでそれが良かった。
前半にミスから失点しまったこと、後半の入りにバタついたところはまだまだチームとして練りきれていないところ。当然、相手がうまくやった部分はあるが、我々自身が集団心理的にあわててしまったところがあった。これも決勝に向けてはいい経験。
決勝の相手はカナダかオーストリアになるが、どちらのチームもしっかりとオーガナイズドされたチームであるという印象。我々の力が出しやすいものをどれだけ相手に当てられるかという勝負になると思います。

ゲームMVP QB小林伸光(日本大2年)
めちゃめちゃ嬉しいです。米国をこの点差で倒すことができたのは初めてのことですし、誇りに思います。試合の入りは緊張したのですが、フィールドに立ったら『やっと米国とできる』という気持ちが強くなって、緊張は忘れて楽しくプレーすることができました。1シリーズ目は少し緊張気味で固まっていましたが、2シリーズ目からは自分のプレーができました。ロングパスは決めることができたものもありましたが、決まっていないものが多かったので次の試合までに改善していきます。
自分自身、試合をするのは約1年ぶりぐらいだったので、その場の雰囲気に慣れるのは大変かなと思ったのですが、それを楽しめればと思ってやってきました。日本代表のチームメイトは上下関係もなく言い合える関係なので、一緒にプレーしやすいですし、気持ちがいい仲間です。今日は米国に勝ったことを喜んで、明日から切り替えて、決勝で自分なりに日本代表の攻撃の魅力を出せるように練っていきたいと思います。

先制のファンブルリカバータッチダウンを決めたLB東駿宏(関西大) 【日本アメリカンフットボール協会】

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著者プロフィール

公益社団法人日本アメリカンフットボール協会はアマチュアの団体であり、国内唯一のアメリカンフットボールの統括団体として、フラッグフットボールやタッチフットボールを含めて競技の普及と発展のために活動しています。 当協会に所属しているチームは中学、高校、大学、社会人と大きく4つの種別に分かれ、地域的には大きく東日本と西日本の2つに、細かくは北海道、東北、関東、東海、北陸、関西、中四国、九州の8つの地域に分かれています。

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