【FC東京】2024シーズン 前半戦総括 もっと上へ! 俺たちなら行ける
【©FC TOKYO】
2024明治安田J1リーグは6月22日に行われた第19節湘南ベルマーレ戦で前半戦が終了。東京は上位進出を視野に入れる戦いを繰り広げながら8勝6分5敗の勝点30、29得点26失点の6位という数字でシーズンを折り返した。 果たしてピータートーキョーはシーズン前半にどんな戦いを見せてきたのか。そして後半戦の巻き返しに向けて必要なものとは。 文=青山知雄
会心の勝利も、もどかしい試合も、粘り強く手にした白星もあった。開幕前に積極的な補強を敢行して新戦力を加えた青赤軍団は、若手の成長もあって今後の大きな可能性を秘めたチームへと変貌を遂げつつあると感じさせる。そんな前半戦だった。
何より昨シーズンからの最大の変化は、得点力の大幅な向上。リーグ戦19試合を終えて、収穫と課題は明確になっている。総じて見ればチームとしての戦い方は確実に積み上がっていると言って良い。
まずはリーグ前半戦の戦いぶりを、データを使って振り返っていこう。
リーグ戦の総試合数が異なるため単純比較はできないが、昨シーズンの前半戦と比較していくと、得点力が明らかに伸びている一方で、失点数が増えていることが分かる。
2023シーズン前半戦(17試合)
12位
5勝4分8敗(勝点19)
22得点28失点
2024シーズン前半戦(19試合)
6位
8勝6分5敗(勝点30)
29得点26失点
得点力アップに関しては、荒木遼太郎選手の移籍加入が最大のプラス材料。さらに得点パターンが多彩化し、多くの選手が決定機に絡んでいけることになった点も大きい。高い得点力をベースに勝点を稼げるチームになってきた。
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また、この開幕2試合はチームとしての粘り強さを披露できたという意味合いもあった。
2023シーズン、先制された試合は1勝2分13敗という苦しい成績だったが、ここでは粘り強く戦って勝点を手にすることに成功。さらに前半戦全体でも先制された12試合で2勝6分4敗という成績を残している。優勝争いをしていくためには、負けを引き分けに、引き分けを勝ちにしていく勝負強さが求められるだけに、勝点を少しずつでも積み上げて前進できているのはポジティブに捉えて良い。チームとして先制された試合で巻き返すための得点力を手にしながら成長できているのは間違いない。
とはいえ、リードされてから反撃するのでは心許ない。リーグ戦19試合中12試合で先制されている点は大きな反省材料だ。今シーズンは先制点を奪った7試合で6勝1敗という成績を残しているだけに、いかに先手を取って戦えるか。まずは前後半立ち上がりの失点、短時間での連続失点、得点直後の失点、試合の逃げ切り方など、しっかりと各局面での集中力を高め、前線から意思統一を図ってバランスをとることができれば、確実に順位も上向いていくはず。クラブとして「+1 Goal(One more Goal)」を掲げているなかでも、第17節サガン鳥栖戦、第19節湘南ベルマーレ戦のように守備から勝利への道筋をつけ、試合巧者ぶりを発揮していくことも必要だ。
どこからでも点がとれるようになった点については、得点者の内訳を見ていくと理解が早いだろう。昨シーズンはディエゴ オリヴェイラ選手が15ゴールでチーム得点王に輝いたが、複数得点をマークしたのはディエゴ選手以外に5名のみ。チーム全体では16人が得点者だったが、今シーズンは前半戦終了時点で6選手が複数得点を記録し、早くも計15人がゴールを決めている。
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ただし、第14節名古屋グランパス戦、第18節ジュビロ磐田戦に象徴されるように、攻め手を欠く展開を強いられると、なかなか打開策が見出せないのも明らかな傾向の一つ。守りを固められて攻撃性を発揮できない展開で何ができるかは、後半戦に向けた大きな課題となる。そこを打破するアイディアやコンビネーション、戦術的な成熟度を高めていかなければ、同じようなシーンを繰り返して攻めあぐねる試合が増えてしまう可能性は高い。攻撃陣には様々な特長を持った選手が揃っているだけに、彼らをどう組み合わせ、チームとして機能させていくか。相手の出方を見ながら変化を加えていく指揮官の采配にも注目しておきたい。
選手起用に関して言えば、負傷者が増えて選手起用に頭を悩ます試合も少なくないなか、ピッチに送り出された選手がしっかりと結果を出すシーンが目立った。長友佑都選手が日本代表に、松木玖生、野澤大志ブランドン、バングーナガンデ佳史扶、荒木の4選手がU-23日本代表に、佐藤龍之介選手がU-19日本代表の活動でチームを離れる期間が長くなったこともコンディション調整やコンビネーションの熟成に少なからず影響を与えたが、代表活動は選手個々の成長にもつながる。また、彼らが不在の期間に「代表組がいないからと言われないように」と、青赤のユニフォームをまとった選手たちが奮起して3連勝を飾った事実もある。代表組が万全の体勢で東京に専念できない難しさがあるとはいえ、チームとしてはシーズンを戦いながら底上げできている印象だ。
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そして2024シーズンの前半戦の大きな収穫は、何と言っても若手の急成長に他ならない。土肥幹太、俵積田の両選手が10代で開幕スタメンを飾ったことに象徴されるように、パリ五輪世代を含めたヤングトーキョーが活躍。U-23日本代表カルテットはチームに欠かせない主軸となり、同年代の安斎颯馬選手も右ウイングを中心に献身的なプレーでチームを支える一人となった。第6節の浦和レッズ戦はスタメン平均年齢22.73歳という若いメンバーで勝利を収めたのは、新時代を印象付ける結果となった。また、サンフレッチェ広島とのJリーグYBCルヴァンカップ プレーオフラウンド第2戦では、FC東京U-18所属の尾谷ディヴァインチネドゥ選手が豪快なヘディングでトップチームの公式戦初ゴールを記録。若き逸材もインパクトを残している。
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また、昨シーズンまで“鬼門”と言われるほど苦手にしていた福岡、札幌、鳥栖のアウェイゲームで勝利し、一気に悪いジンクスを払拭することに成功したのも2024シーズン前半戦の大きなトピックスだろう。ただし、ホーム味の素スタジアムで勝てない日々が続いているのは大きな懸念材料。2023シーズンが15試合で8勝1分6敗だったのに対して、今シーズンはホーム8試合で1勝4分3敗。国立無敗を継続させつつ、味スタでの戦績を上げていくことが上位浮上への大きなカギになる。
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ポジティブな材料が多い前半戦ではあったが、総合的に振り返っていくと、もったいない失点で勝点を落とす試合が少なくなかったのも事実。キャプテンの一人、小泉慶選手が前半戦を総括する。
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強いチームの特長──。その一つにお互いが求め合い、発言に伴う責任をそれぞれが果たしていくことがある。同じくキャプテンの松木選手がチームの変化、そして自らの思いを口にする。
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そして東京の歴史を知るもう一人のキャプテン、森重真人選手は、そのポイントが味の素スタジアムでのゲームにあると話す。
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チームは多角的に見ても確実に前へ進んでいる。だが、もっと結果がついてきてもよかったと思わせる前半戦でもあった。後半戦は少しずつ負傷者が戻る一方、パリ五輪でU-23世代の選手が抜けることも見込まれる。それでも細部を突き詰めることで安易な失点を減らし、少しずつ披露し始めた勝負強さを発揮していけば、さらなる上位進出は決して不可能ではない。湘南戦後、ゴール裏から「もっと上へ!俺たちなら行ける」、「後半戦、巻き返しを。」という横断幕が出されていた。プレーしている選手たちにも、ともに戦うファン・サポーターにも、もっとできるという手応えは間違いなくある。後半戦、それを全員の力でしっかりと結果に結びつけていきたい。
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