強い者には運も味方する。ソフトバンクが粘ってドローに持ち込む。きっかけは相手のエラー。あのノムさんが著作で書いていた「ツキ」と「流れ」を呼び込む技術

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チーム・協会
【これはnoteに投稿されたセイノさんによる記事です。】
強い者には運も味方する。そう思ってしまうゲームだった。ソフトバンクが敗色濃厚の場面で奇跡的な同点劇を見せた。そして延長十二回の末にドローに持ち込んだ。きっかけは相手のエラーだった。あのノムさんが「運」という著作の中でもエラーや「流れ」について書いている。運も味方にした鷹は天下無双となるのだろうか。

23日にホームの福岡で行われたロッテ戦。交流戦後、同一リーグ同士の初のカードだ。ソフトバンクは21日から2連勝して波に乗っていた。

5-3とリードしていたソフトバンクは九回表の守備に。ここで、まさかの逆転3ランを浴びて、5-6と相手にリードを許す展開になってしまった。

直後の攻撃。この回先頭の近藤健介選手がレフトへ二塁打を放って同点のチャンスを作る。次打者が送りバントを決めて、近藤選手は三塁へ進んだ。

ここで代打中村晃選手が一塁ゴロ。相手の一塁手はホームへ送球。タイミングはアウト。しかし相手の捕手が落球したため、ソフトバンクが同点に追いついた。このエラーがなければ、ロッテが勝利をつかんでいただろう。

現役、そして監督としても偉大な成績を残したノムさんこと野村克也さんは「運」という本の中で、エラーについて触れている。

ノムさんは「プレッシャーのかかる場面でこそ、クールにクレバーにプレーすることが大事」と書いている。まさに九回のエラーは、冷静に捕球していなければいけない場面だった。

一方で、ノムさんはこの本の中で、「流れ」についても書いている。この流れの実態について、明確化できないと書いている。ただ、「流れ」とは「勢い」「雰囲気」「感性」と同じと見なしているのだ。

この試合でロッテが最終盤に逆転した。流れはロッテにあったはず。それをソフトバンクが取り戻した。それはなぜだろうか。これが九回裏の先頭だった近藤選手の二塁打だった。

近藤選手は目下リーグの首位打者、本塁打、打点部門でも2位につけていて、「三冠王」に手が届く位置にいる。そして、この試合で四回裏に一度は勝ち越しとなるツーランを放っていた。

ホークスで一番波に乗っているバッター。その近藤選手が九回裏に反撃の口火を切る二塁打を放ったことで、ソフトバンクに流れが傾いたのだ。

だから、ロッテとしては、先頭の近藤選手を抑えなければいけなかった。それが長打を浴びることで、流れを渡してしまい、同点に持ち込まれてしまったといえるだろう。この流れの中では。エラーが出てしまうのも仕方ないかもしれない。

敗色濃厚からドローに持ち込んだソフトバンク。2位の日本ハムが敗れたため、ゲーム差を10に広げた。65試合以内で、ホークスが2位に10ゲーム差をつけるのは南海時代の1965年以来59年ぶりとなる。

そして、1965年に南海はパリーグ優勝を決めるのだが、先に書いたノムさんはこのシーズンで三冠王に輝いているのだ。この「流れ」でいくと、近藤選手も射程圏内にある三冠王に輝くかもしれない。

負けないホークス。「流れ」の怖さ。「運」や「流れ」について知りたいと思う方には、ノムさんの本をお勧めしたい。野球だけでなく人生についての真髄が垣間見られるかもしれない。
見出し画像:新町真之介|Shinmachi Shinnosuke
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