マイナビ仙台レディース 2023-24シーズンレビュー【後編】

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7位からの浮上を目指す。須永監督体制のスタート

13節までを終えて、4勝2分7敗の7位。成績はなかなか上向かなかった。4月3日、須藤監督の辞任を受け、その跡を継ぐ形で須永純GKコーチが監督に就任した。「自分だけの力では限りがある。一体感を持ってやっていけるように協力して欲しい」と選手たちに伝えた。また、クラブは株式会社アレナトーレと業務提携し、コーチ・アナリストの派遣を受けて、チーム戦術の向上や選手個人の能力を上げることに力を注いだ。攻守ですべきことを整理しながら、チームとしての強みを生かそうとトレーニングに取り組んだ。

須永監督の初陣、第14節は東京で開催されたホームS広島R戦だった。立ち上がりに相手の猛攻を受けて失点する。しかし、前半の終了間際に高平選手のヘディングゴールで同点とした。「高い位置を取ろうと意識した」という高平選手の積極性がシーズン初ゴールと言う結果につながった。良い流れの中、勝利を目指した後半だったが、GKとDFが交錯し、2失点目を喫した。この期間は8日間で3試合という過密日程。ベストコンディションを作ることも難しかった。それでも須永監督は「選手たちは勇気を持って、自分たちのプレーを出してくれた」と彼女たちの奮闘を称えた。

須永監督体制での初勝利は引き分けが3試合続いた後の第21節アウェーC大阪戦。開始3分でクロスから失点を喫したが、前半の内に高平選手の今季2点目で追いついた。後半終了間際のCK、高平選手の折り返しを、ゴール前で太田萌咲選手が頭で決めて鮮やかな逆転勝利を飾った。攻守にハードワークし、相手のハイプレスの裏のスペースを上手く使うこともできた。丁寧な分析と狙いを持ったトレーニングに選手の積極性がかみ合った大きな勝利だった。

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最終節はホームでの新潟L戦。シーズンを通して応援し続けてくれたサポーターへ勝利を届けたい一戦だったが、新潟Lの巧みなパスワークに手を焼き、なかなか好機を見いだせない。1点ビハインドの前半29分に、クロスから太田選手がヘディングでネットを揺らして追いつく。しかし、終始ボールを握られて更に2点を献上してしまった。1-3の敗戦にうなだれた選手たちを、サポーターは「マイナビ仙台コール」で励まし続けた。

来季へと見えた兆し。「苦しかったシーズン」で終わらせないために。

体制が整い、戦術が整理されたのはシーズンの最終盤だった。これからという「兆し」が見え始めた時に、2023-24シーズンは幕を下ろしてしまった。自分たちでボールを動かし、攻撃の時間を増やすことができた。その中から良い形も見え始めたことは、新シーズンへ向けた「積み上げ」とも言えるだろう。
 廣澤選手は7得点を上げ得点ランキング6位タイとなった。高平選手は左サイドから得意のクロスでチャンスを生み出し、リーグ3位のクロス数を誇った。得点は22。失点はリーグワースト2位の40。立ち上がりの失点で追う展開が多かった。新シーズンは今季最終盤の戦いをブラッシュアップし、より上位を臨む戦いを見せて欲しい。
 
 初めてキャプテンを務めた國武選手は「10位という結果をしっかり受け止めている。それでもどんな時も声をかけてくれて、スタジアムに駆け付け、応援してくれたファン・サポーターの方々には本当に感謝しかない。背中を押していただいたことで自分たちが戦い抜くことができ、ありがたかった。その方々のためにもこのチームはもっと強くなっていかなければいけない」と涙を流した。重圧と戦い、敗れた後も気丈に仲間やサポーターと向き合ってきた。

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2024-25シーズン、須永監督の続投と頼もしい仲間の復帰。

5月30日、須永純監督の2024-25シーズンの続投が発表された。「新シーズンも変わらず、チームワークを強固とし、弱みを補完するだけでなく、強みをより強化して参りたいと思います。また、選手たちが躍動しプレーで魅了する姿をスタジアムでお見せできるよう全身全霊で努力いたします」とコメントを発表している。

また、今季優勝した三菱重工浦和レッズレディースから、DF長船加奈選手、MF佐々木繭選手の加入が発表された。長船選手は約10年ぶり、佐々木選手は約8年ぶりの仙台復帰となる。強豪チームで数々のタイトルを手にしてきた彼女たち。当時とメンバーは大きく変わっているが、仙台にどのような風を吹かせてくれるのか期待が膨らむ。新シーズンの戦いは8月31日のWEリーグカップから始まる。新しいマイナビ仙台レディースの戦いへ思いをはせながら、開幕の時をじっくりと待ちたい。
(マイナビ仙台レディースオフィシャルライター・村林いづみ)

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著者プロフィール

東日本大震災により休部した東京電力女子サッカー部マリーゼが移管し、2012年ベガルタ仙台レディースが発足。2017年に株式会社マイナビとタイトルパートナー契約を締結しマイナビベガルタ仙台レディースとなりました。 2020年10月にWEリーグへの参入が正式決定。2021年2月より「マイナビ仙台レディース」とクラブ名を改め、活動をスタート。選手達の熱いプレーが多くの方に届くような盛り上がりをともに作っていきます。仙台、東北から日本全国、全世界に向けて、感動や勇気を与え、WEリーグ優勝を目指し活動しています。

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