マイナビ仙台レディース 2023-24シーズンレビュー【後編】
7位からの浮上を目指す。須永監督体制のスタート
須永監督の初陣、第14節は東京で開催されたホームS広島R戦だった。立ち上がりに相手の猛攻を受けて失点する。しかし、前半の終了間際に高平選手のヘディングゴールで同点とした。「高い位置を取ろうと意識した」という高平選手の積極性がシーズン初ゴールと言う結果につながった。良い流れの中、勝利を目指した後半だったが、GKとDFが交錯し、2失点目を喫した。この期間は8日間で3試合という過密日程。ベストコンディションを作ることも難しかった。それでも須永監督は「選手たちは勇気を持って、自分たちのプレーを出してくれた」と彼女たちの奮闘を称えた。
須永監督体制での初勝利は引き分けが3試合続いた後の第21節アウェーC大阪戦。開始3分でクロスから失点を喫したが、前半の内に高平選手の今季2点目で追いついた。後半終了間際のCK、高平選手の折り返しを、ゴール前で太田萌咲選手が頭で決めて鮮やかな逆転勝利を飾った。攻守にハードワークし、相手のハイプレスの裏のスペースを上手く使うこともできた。丁寧な分析と狙いを持ったトレーニングに選手の積極性がかみ合った大きな勝利だった。
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来季へと見えた兆し。「苦しかったシーズン」で終わらせないために。
廣澤選手は7得点を上げ得点ランキング6位タイとなった。高平選手は左サイドから得意のクロスでチャンスを生み出し、リーグ3位のクロス数を誇った。得点は22。失点はリーグワースト2位の40。立ち上がりの失点で追う展開が多かった。新シーズンは今季最終盤の戦いをブラッシュアップし、より上位を臨む戦いを見せて欲しい。
初めてキャプテンを務めた國武選手は「10位という結果をしっかり受け止めている。それでもどんな時も声をかけてくれて、スタジアムに駆け付け、応援してくれたファン・サポーターの方々には本当に感謝しかない。背中を押していただいたことで自分たちが戦い抜くことができ、ありがたかった。その方々のためにもこのチームはもっと強くなっていかなければいけない」と涙を流した。重圧と戦い、敗れた後も気丈に仲間やサポーターと向き合ってきた。
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2024-25シーズン、須永監督の続投と頼もしい仲間の復帰。
また、今季優勝した三菱重工浦和レッズレディースから、DF長船加奈選手、MF佐々木繭選手の加入が発表された。長船選手は約10年ぶり、佐々木選手は約8年ぶりの仙台復帰となる。強豪チームで数々のタイトルを手にしてきた彼女たち。当時とメンバーは大きく変わっているが、仙台にどのような風を吹かせてくれるのか期待が膨らむ。新シーズンの戦いは8月31日のWEリーグカップから始まる。新しいマイナビ仙台レディースの戦いへ思いをはせながら、開幕の時をじっくりと待ちたい。
(マイナビ仙台レディースオフィシャルライター・村林いづみ)
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