【#スタジアムを繋ぐ】#003 後藤吾郎さん(鎌倉インテル・シティ在籍)ー 「鎌倉インテル」は生きがいを続けられる居場所

鎌倉インターナショナルFC
チーム・協会

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 684の個人と企業の支援を通して完成した「みんなの鳩サブレースタジアム(鳩スタ)@湘南深沢」は3年間の歴史に幕を閉じ、2024年9月(予定)に終わりを迎える。そして今、「みんなのスタジアム構想プロジェクト」の第二歩目となる新しいスタジアム建設に向けてクラブは動き出した。未来への夢を繋ぎ、場所を繋ぎ、文化を繋ぐ。みんなでスタジアムを繋ぐため、プロジェクトの第二章へ向けてみんなの思いを綴っていく。
今回は、鎌倉市議会議員でエンジョイ志向の4thチームである鎌倉インテル・シティでもプレーする後藤吾郎さんの思いを聞いた。

(文・本多辰成/スポーツライター)

生配信の実況・解説役、鳩スタの魅力は距離感の近さ

【鎌倉インターナショナルFC】

 「鳩スタ」で開催される鎌倉インテルのホームゲームは、クラブの公式YouTubeチャンネル等で生配信されてきた。クラブ内で4thチームに当たる鎌倉インテル・シティでプレーする後藤吾郎さんは、その中継の実況・解説を担当するひとりだ。

 2021年10月に「鳩スタ」が完成し、ホームゲームのライブ配信が始まるタイミングで試合の実況・解説役に自ら立候補した。

「もし差し支えがなければ実況・解説をやらせてもらいたいと、僕からオーナーの四方さんに伝えたと思います。小さい頃からサッカーをやってきて、それなりに国内外のサッカーを見てきていますし、サッカーの試合を見て言語化するというのはずっとやってみたかったことのひとつでしたので」

 後藤さんが試合の実況・解説をしているのはメインスタンドの中央に位置するやぐらの2階部分。「一番いい席で、毎回お金を払わなければいけないんじゃないかと思っている」という特等席で「鳩スタ」の熱狂を体感してきた。

「鳩スタの魅力のひとつはやっぱり距離感が近いことだと思います。スタンドにボールが飛んでくることも多いですし、それこそやぐらの2階で実況・解説をしていたら3階のところにボールがドーンと当たって配信にすごい音が流れてしまったり。グラウンドを出たらすぐにキッチンカーで食べ物やお酒が買えるのも個人的には好きですし、Jリーグのスタジアムにはないコンパクトさが魅力だと思います」

クラブのビジョンに共感、毎試合現地で観戦

【鎌倉インターナショナルFC】

 鎌倉市の市議会議員としての顔も持つ後藤さんは、2020年2月に鎌倉市へ引っ越してきた。以前から政治家を志しており、2018年には地元である茨城県の選挙に出馬。その際に応援に駆けつけてくれた参議院議員の浅尾慶一郎氏の秘書を務めることになったことで、同氏の活動拠点である鎌倉市にやってきた。

 小学2年生でサッカーを始めると、茨城県立竹園高等学校3年時にはサイドバックとして茨城大会でベスト4入り。社会人になってからもつくば市社会人リーグでプレーを続けており、鎌倉でもサッカーをできる環境を探していたという。当初は秘書の業務が忙しくボールを蹴る時間をつくることも難しかったが、2021年4月の市議選終了後、秘書を卒業。そのタイミングで出会ったのが鎌倉インテルだった。

「鎌倉インテルのスポンサーでもある『アカラクリニック』さんを訪問したのがきっかけでした。そこでサッカーをしたいという話をすると、『今ちょうどグラウンドをつくろうとして頑張っているクラブがあるから、つなごうか?』とインテルを紹介していただいて。『鎌倉インテル・シティ』というおじさんのチームがあるということで、そこでプレーさせてもらうことになりました」

【鎌倉インターナショナルFC】

 最初は単純にサッカーをする場を求めて始まったクラブとの関係だったが、次第に鎌倉インテルの存在は後藤さんの生活に欠かせないものとなっていった。議員の仕事は基本的に平日であるため、週末に行われるトップチームの試合はアウェイも含めてほぼ全試合を現地で観戦。今では勝った時には必ず、自身のSNS上で独自のMVPを発表するほどの熱の入れようだ。

「『CLUB WITHOUT BORDERS』というクラブビジョンが自分の心の中にすっと入ってきたというか。今45歳なんですが、この年になるとサッカーとどうやって付き合っていくかということを考えるようになって。サッカーを通じていろんな人たちとのつながりを得たり、いろんな境界線や垣根を越えてみんなでひとつの方向に向かって頑張るというのが何かいいなと思って、どっぷりと浸かってしまいました」

「鎌倉インテル」は生きがいを続けられる居場所

【鎌倉インターナショナルFC】

 後藤さんにとってクラブの掲げるビジョンは、鎌倉市議会議員としての仕事と重なる部分もあるという。生まれ育った場所で誰もが気軽にスポーツをしたり観戦したりすることができる環境のある街づくり。後藤さんは「CLUB WITHOUT BORDERS」というクラブビジョンと同じく「いろんな人たちと垣根を越えていっしょに街づくりをしませんか、というスタンスで動いている」と話す。

 クラブが目指すものを体現する場である「鳩スタ」は、後藤さんにとっても「生きがいを続けられる大切な居場所のひとつ」となってきた。そんな鎌倉インテルのホームグラウンドは新たな場所へ移転することとなったが、「鎌倉インテルはもう鎌倉市を代表するスポーツクラブになりかけているし、完全にその地位を確立してほしい」と後藤さんはクラブの今後にさらなる期待を寄せる。

「ビジョンがしっかりしているので、いろんなところから噂を聞きつけてクラブに貢献したいという人たちは必ず増えてくると思います。そういった人たちを包含しながら垣根を越えた街づくりやサッカーを通じた国際交流を続けて、チームは淡々とカテゴリーを上げていく。10年、20年というスパンになるかもしれませんけど、その創生期に関わらせてもらっているのは自分にとってすごくいい人生経験になるはずですし、鎌倉インテルに関わっている人たちはたぶんみんなそれを感じているんじゃないかと思います」

 一市民としても地元の市議会議員としても「鎌倉インテルにプラスになることは惜しみなく助けたい」と言う後藤さん。新たな場所に移っても鎌倉インテルのホームはこれからも後藤さんにとってかけがえのない居場所だ。

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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