【週刊グランドスラム252】3年間で都市対抗8勝のセガサミーが姿を消す

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西田真二監督(背番号88)の指示を聞くセガサミーの選手たち。今年の予選では、なかなか流れを引き寄せることができなかった。 【写真=佐々木 亨】

 第95回都市対抗野球大会の二次予選が各地区で進む中、5月24日に大田スタジアムで行なわれた東京二次予選の第三代表決定トーナメント一回戦、Hondaとセガサミーの大一番は多くの視線を集めた。
 セガサミーは、昨年まで激戦区・東京を4年連続で勝ち抜き、今年は15回目の本大会出場を目指していた。対するHondaは、昨年まで南関東で7年連続の本大会出場を果たし、今季から東京へ引越しした。ともに昨年の東京ドームでは一回戦敗退だったが、全国でも実績は十分である。
 都市対抗では、セガサミーが2020年からベスト4、ベスト4、ベスト8。Hondaは、2020年に3回目の黒獅子旗を手にしている。そんな強豪同士の激突は、負ければ“予選敗退”となってしまうことで、より注目度を高めていた。
 この両チームの顔合わせで思い出されるのは、2020年の都市対抗準決勝だろう。タイブレークに突入した延長10回表、Hondaが佐藤竜彦の満塁本塁打で劇勝。初優勝に向けて快進撃を見せていたセガサミーにとっては、あと一歩で決勝進出を逃した悔しい記憶だ。一昨年の日本選手権関東最終予選の代表決定戦では、セガサミーが4対3で借りを返したものの、今季は東京スポニチ大会準決勝、東京都企業春季大会ともHondaが勝利している。セガサミーにとってのHondaは、まさに大きな壁と言わざるを得ない。
 そうした因縁めいた対戦は、セガサミーが試合を動かす。2回裏、先頭の高島大輝が左中間へ二塁打を放つと、一死後に宮川和人もレフト線に弾き返す二塁打で1点を先制。Hondaの先発を担った片山皓心を早々に攻略したところまでは、セガサミーのペースだ。ところが、片山の連続四球で一死満塁とチャンスが広がるも、後続が凡退して追加点はならず。続く3回裏も四死球で無死一、二塁としたが、犠打失敗に三ゴロ併殺と攻め切れない。リードは奪ったものの、序盤は1点にとどまった。

大一番で先発を任されたのは、ルーキー左腕の尾﨑完太(右)。たとえようのない悔しさを成長の糧にしたい。 【写真=佐々木 亨】

 その流れが、Hondaの逆転劇を生んだと言っても過言ではないだろう。4回表に山本兼三の2ラン本塁打で主導権を奪い返し、5回表には辻野雄大、鈴木 薫の連打で1点を追加。6回表からの3イニングスは、セガサミーの三番手として登板した荘司宏太の前に7者連続を含む8三振を喫したが、9回表にも2点を加えて試合を優位に運ぶ。

荘司の快投でも勢いをつけられず

 一方のセガサミーは、荘司の快投でも勢いをつけることができず、4回以降は1安打。走者を得点圏にさえ進めることができなかった。9回裏、代打・高本康平の力のない飛球が、Hondaの左翼手・金城飛龍のグラブに収まってゲームセット。その瞬間、セガサミーの5年連続15回目の本大会出場の可能性が完全に消滅した。
 THINKフィットネス GOLD’S GYMベースボールクラブとの一回戦、そして、この試合にも敗れ、二次予選を未勝利のまま終えた西田真二監督は言う。
「やはり、本大会に出場しなければ意味がない。応援団を都市対抗の舞台(東京ドーム)に連れて行きたかった」
 10年目を迎え、主将としてチームを支える宮川は「正直言って情けない。結果がすべてなので……。社員の方々、応援してくださる方々、さらに、チームの歴史と伝統を作ってきてくれた方々に対して、本当に申し訳ない」と悔しさを滲ませながら、こう言葉をつないだ。
「この負けの重み、重圧を選手それぞれが受け止め、ここからどう踏ん張ってやっていくか。一人ひとりが180度変わって、チームとして成長していかなければいけない」
 あまりにも早過ぎた予選敗退。悔しい……その言葉だけでは表現し切れない表情を浮かべて大田スタジアムをあとにするセガサミーの選手たちを見て、あらためて都市対抗の二次予選を勝ち抜く難しさと厳しさを痛感した。
【取材・文=佐々木 亨】

【左=紙版表紙・右=電子版表紙】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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