【ラグビー/NTTリーグワン】敗戦の中に見えた光明。天井知らずの若手たちの成長がチームを頂点に導く<東京SG vs S東京ベイ>

東京サントリーサンゴリアス 高本選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

マッチエピソード&記者会見レポート
東京SG 26-45 S東京ベイ


ジャパンラグビー リーグワンディビジョン1のリーグ戦最終節、東京サントリーサンゴリアスとしては勝って勢いに乗り、プレーオフトーナメントに挑みたかったはずだ。だが、前年度王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイに26対45で敗戦。4位の横浜キヤノンイーグルスも敗れたため、3位はキープできたものの、課題が多く残る形となった。

結果的に今季レギュラーシーズンは10勝1分5敗。優勝を狙うチームとしては物足りない数字と言える。そんな中でも光明を見出すならば、若い新たな力が何人も実力を伸ばし、不可欠な戦力に成長したことだ。

その一人は、この試合でハットトリックを決めた尾﨑泰雅。昨季はほとんどが控えからの出場で通算2トライだったが、今季は15試合に出場して通算8トライ。得点源としても、ボールキャリーの部分でもチームに欠かせない存在になっている。

東京サントリーサンゴリアス 尾崎泰雅選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

プレーオフトーナメントに向けて、「アタックの部分は自信を持っているので、あとは細かなコミュニケーションの部分と個人のスキルアップ。自分自身はタックルスキルを伸ばしたい。まだまだディフェンスではチームに迷惑をかけていますから」とさらなる向上を目指す。

そしてもう一人は、ルーキーながらレギュラーシーズン全16試合でスタメン出場を果たした髙本幹也だ。

「チームに対してどれだけ貢献できているか、という部分ではまだまだ。もっともっと試合に影響を与える選手になりたいです」と謙遜するが、得点ランキングではリーグ3位。新人賞最有力の活躍ぶりだ。プレーオフトーナメントに向けても、「楽しみですね。まだあと2週間あるのでしっかり準備したいです」と風格すら感じる言葉を発してくれた。実際、チームミーティングでは髙本が積極的に攻撃のアイデアを出す場面も増えているという。

「10番は練習でも試合でもチームに対して発信する立場です。試合中も、いまは何が良くて何が悪いのか考えるようにしているので、確かに発言は増えてきました」

この試合では、“アルゼンチン代表の10番”ニコラス・サンチェスが15番で初先発。ダブル司令塔という新システムと見ることもできるが、裏を返せば“世界的司令塔を起用したくても、髙本は外せない”という意味でもあるだろう。

ここからの2週間、天井知らずの若手たちの成長に期待したい。

(オグマナオト)

【©ジャパンラグビーリーグワン】

東京サントリーサンゴリアス
田中澄憲監督

「リーグ最終節で天候にも恵まれ、たくさんのお客様の下、素晴らしい環境でプレーできたことを感謝します。ただ、ゲームはファンの皆さまの期待に応えられるような内容ではありませんでした。その部分はとても残念です。

特に後半の30分間、S東京ベイさんが強いフィジカルで、われわれの前に立ちはだかったことが敗因の一つだと思います。ただ、今日でシーズンが終わるわけではなく、幸いにしてプレーオフトーナメントがあります。ファンの皆さまに喜んでもらえるような結果を出せるよう、一日一日成長させていくしかないと思っています」

――今日の敗戦の中でプレーオフトーナメントに生かせそうな部分はありますか?
「後半になってフィジカルの部分で食い込まれるシーンがこの3試合続いています。疲れてくるとどうしても、ファーストアタックのサポートができない場面が出てきますが、(プレーオフトーナメントでは)フィジカルの強いチームとやらなければいけないので、そこの部分を徹底して詰めていくしかないと思います」

――プレーオフトーナメントに向けて、今日欠場した主力選手たちの状況が心配です。
「チェスリン・コルビは今週走り始めているので、来週しっかり詰めて、再来週にどれだけラグビー的な動きがフィットしてくるのかが一つのキーだと思います。マツ(松島幸太朗)は慢性的な痛みを抱えていることもあり、今週はコンディションのいい選手を出すことにしました。ホリ(堀越康介)は週明けに発熱したこともあり、ベンチスタートにしました。(代わって先発した)宮﨑達也が安定感のあるプレーを見せてくれたので、(堀越も)しっかりとリカバリーできたのではないかと思います。流大は時間との勝負だと思います。昨日少し走り出したので、来週の状況でどうなるかというところです」

東京サントリーサンゴリアス
尾﨑晟也選手

「結果としては非常に悔しい内容でした。前半は自分たちが用意したゲームプラン、キッキングからトランジションを起こしてプレッシャーを掛けるという部分は良かったと思っています。ただ、後半はフィジカルで食い込まれる部分が多く、じわじわとプレッシャーを掛けられてスコアを持っていかれた印象です。

ここ最近はそういうシーンがすごく多くて、自分たちもこれを機に変わらないといけないと思いますし、それを修正する期間は(プレーオフトーナメント準決勝まで)2週間あるので、そこに向けてもう一回チームで前を向いてやっていきたいと思います」

【©ジャパンラグビーリーグワン】

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「今日の試合に関しては自分たちのやりたかったこと、“ストロングフィニッシュ”という形でシーズンを終えることができました。しっかりとハードワークができて、特に後半はどんどんチャレンジを重ねていい結果につなげられたと思います。ベンチスタートのインパクトプレーヤーたちもしっかりと仕事をしてくれました。その活躍を得点に変えることができたことが勝因だと思っています」

――結果的に見ると、勝ち点5差でプレーオフトーナメント進出圏内の4位に届きませんでした。今季は僅差で負けた試合も多かった印象ですが、どのあたりを反省材料にして来季につなげていきたいですか?
「実際に(開幕節の)東京サントリーサンゴリアス戦と埼玉パナソニックワイルドナイツ戦以外では(敗れた試合でも)接戦が多く、それらの試合では大事なラストプレーでペナルティがもらえなかったり、ベーシックなプランが遂行できなかったりという部分で、試合結果につながることが多かったです。そのベーシックなプランをどれだけきっちりできるかがチームに必要な部分だと思います」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
立川理道キャプテン

「試合をとおして自分たちでコントロールできるところをコントロールすることが今日のテーマでした。暑くてタフな状況の中で一人ひとりが力を出し切って、(交代で入った)インパクトプレーヤーが本当にいい仕事をして後半突き放すことができました。

こういう試合ができたことは自信につながりましたし、『今季がこれで終わってしまうのは寂しい』と思えるような手ごたえでした。こういったプレーをシーズン最初からできるようなチームになっていければと思います。今季はいい学びがたくさんありました。この結果を受け止めて次につなげていきたいです」

――今季、接戦の試合が多かった要因はなんでしょうか?
「接戦は確かにすごく多くて、その中で勝ち切れた接戦は少なかったと思います。そういった試合のプレッシャーの掛かる時間帯でチームの軸となる部分をしっかり前面に出せるチームが勝てるチームです。トップ4に行けるチームと行けないチームの差はそういうところにあると思います。プレッシャーの掛かる場面でチームとして戦うのではなく、選手個々で戦ってしまった部分もありました。そういう部分をしっかりと修正して来季に生かしていきたいです」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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