【ラグビー/NTTリーグワン】ワイルドナイツ通算200キャップの偉業を達成。 尽きない成長欲が、堀江翔太が堀江翔太たる所以<埼玉WK vs 花園L>
埼玉パナソニックワイルドナイツ 堀江選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】
埼玉WK 33-24 花園L
ディビジョン1 第15節、首位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)がD1/D2入替戦に臨むことが決まっている花園近鉄ライナーズに、33対24で勝利した。
「数えただけでもしんどなりますね(笑)。ようここまでできたなって」
試合後、今季限りでの引退を発表している堀江翔太は笑みを浮かべてこのように語った。埼玉WKにとっては、今節が今季最後の本拠地でのホストゲーム。今節でワイルドナイツ通算200キャップを記録した堀江と、同じく今季限りでの引退を表明した内田啓介にとっては、熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に集まった10,700人のファンに見せる最後の雄姿となった。
埼玉パナソニックワイルドナイツ 堀江選手(左)と内田啓介選手(右) 【©ジャパンラグビーリーグワン】
「昔よりもいまのほうが動けていると思いますね」
“いまが全盛期”発言も飛び出したが、その言葉に異論を唱える者はいないと思わされるほどの今節のパフォーマンスだった。
埼玉WKのロビー・ディーンズ監督が「個人の成長だけでなくて、チームも成長させていってくれる選手だと思っている」と手放しで称賛するほど、堀江がチームに与える影響は絶大。特に今節はこれまでとメンバーを入れ替えたこともあり、堀江に懸かる期待も大きかった。それでも、本人がいつもどおりのプレーを遂行したことで、チームは連勝を維持できた。
自身が引退するシーズンとあって、今節も個人にフォーカスが当たる質問が多く飛んだが、最後には必ずチームの目線に立ってコメントをする堀江。「あと3試合。何が起きるか分からないし、メンタル一つで大きく変わるスポーツ。チームが(優勝まで)走り抜けられるようにサポートしていきたい」。まだまだ成長を追い求める。それがきっとワイルドナイツ通算200キャップを達成した一番の秘訣だろう。
(齋藤弦)
【©ジャパンラグビーリーグワン】
ロビー・ディーンズ監督
「本日はいろいろな理由から特別な日でした。もちろんですね、内田(啓介)選手、堀江(翔太)選手のラストホストゲームとなりましたが、堀江選手については(ワイルドナイツ通算)200キャップ目という偉大な記録を達成しました。それと同時に、木原(優作)選手、そしてゼイビア・スタワーズ選手がファーストキャップを勝ち取りました。
本日の試合については、みなさんがご覧になられたように、すごくタフな試合でした。それは、新しいコンビネーションを試したというところが大きくかかわっておりますが、その中でも、花園近鉄ライナーズさんの成長はすさまじいものがありまして、D1/D2入替戦のときにはもっといいパフォーマンスをすると感じています。これは、ディビジョン1がどれだけ激しい競争の中で行われているのかということが示されていると思います。
最後に、本当に堀江選手と一緒に仕事ができて光栄ですし、あと3つ大事な試合がありますので、いい形で終われるように、そしていい贈り物が堀江選手にできるよう努めていきたいと思います」
――ロビー・ディーンズ監督から見て、あらためて堀江選手の素晴らしさを聞かせてください。
「選手としては、みなさんがご存じのとおり、すごく幅の広いスキルを持っていますし、彼が経験を積んでいく内に、プレー精度も高くなって、賢いプレーをしていくようになりました。特に、ほかの選手にも影響を与えられるような選手に育っていきました。それはこのチームだけではなくて、日本代表でもそうだったと思いますし、堀江選手と一緒に練習して、そこで学んでいく。ほかの選手からもリスペクトをされているというところが素晴らしい点だなと感じます。
彼は本当に活発的で、そしてクリエイティブなマインドを持っている選手ですし、個人の成長だけでなくて、チームを成長させていってくれる選手だと思っております。コーチとして、このような自発的な選手というのはすごくありがたい存在です」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
堀江翔太ゲームキャプテン
「お疲れ様です。新しいコンビネーションで、かみ合わなかったところもあり、前半は苦しみながらでも、『どこかでチャンスは絶対に来る』と狙いながらできたことがチームとしては成長した部分だと思います。このような感じで昨季は静岡ブルーレヴズさんに負けてしまったこともあったので、そのあたりもそのときよりは少しは成長して、新しいメンバーで、新しいオーダーでも、しっかりと1週間準備をして、ゲームの中で修正しながらできたことに、ちょっと成長を感じました」
【©ジャパンラグビーリーグワン】
向井昭吾ヘッドコーチ
「今日はありがとうございました。素晴らしいグラウンドでゲームができて、非常にいい環境でやれたところについては満足しています。試合の流れについては、私たちの今日のテーマは“チャレンジ”ということで、若い選手が多く出ていました。『自分たちのやってきたことをグラウンドで表現しましょう』という、その意味も込めてのチャレンジだったので、最後まで自分たちの気持ちを切らさないで、攻め続けられたところについては、やってきたことが間違っていなかったように見えた、また次につながるゲームだったと思います。
それと、最後にセレモニーもありましたが、堀江選手と内田選手に対しては、『本当におめでとう』とお伝えしたいと思います。ここまでのキャップと、けがをしないでここまできたというのはとても素晴らしいことだと思います」
――今節で得られた手ごたえはありますか?
「みなさんも見ていただいたとおり、ラグビーというのはセットピースとディフェンスが大事です。これまでは自分たちで自分たちの首を絞めるようなディフェンスをしてきたので、 そこは規律をしっかり守って、最初の時間帯を見ていただければ、(前半の)ペナルティは埼玉パナソニックワイルドナイツさんのほうが多くて、私たちはペナルティしなかった。そういう部分が前半のスコアに表れたので、そのあたりは私たちの積み重ねてきたことが出たところかなと思います」
――前節の勝利で自信が付いた面はありましたか?
「自信というよりは、開幕戦の1点差(負け)とか、そういう試合では自分たちで自分たちの首を絞めてしまうところがあったので、そこがだんだん修正されてきて、チームがまとまってきた、やることが決まってきたというようなところについては、非常に習熟度が高まったと思っています」
花園近鉄ライナーズ
ジェド・ブラウン ゲームキャプテン
「いい試合になりました。若い選手もたくさん起用されて、今週の練習は本当にエナジーが高い状態で練習ができていました。みんなのパフォーマンスを本当に誇りに思います。われわれが勢いをもっていた時間帯も実際に試合の中でありましたし、このようなパフォーマンスがいまのメンバーから出たのであれば、おそらく1番手で使われている選手と、2番手の選手のギャップがなくなってきているのではないかなと思います。(入替戦を含めて)3試合残っていますが、ここからコーチはきっとセレクションに悩むのではないでしょうか(笑)」
――前半の7対5というスコアをどのように捉えていますか?
「ディフェンスに関しては、前半はベーシックなプランで臨もうとしていました。前半はディフェンスも頑張れていたし、スクラムでも圧倒することができました。40分とおしてプレッシャーを掛け続けることができたと思うので、ハーフタイムになった時点ではすごく自信がある状態でした。何よりもうれしかったのは、これまで後半から崩れる試合が今季は多かったのですが、それがなかった。80分とおしてやり切ろうということをテーマにずっとやってきて、それが初めて実現できたと思います」
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