【記録と数字で楽しむセイコーGGP2024】女子やり投:ブダペスト世界選手権の「メダリスト全員集合」の投げ合いに世界が注目!!

日本陸上競技連盟
チーム・協会

【フォート・キシモト】

5月19日(日)に国立競技場で行われる「セイコーゴールデングランプリ陸上 2024 東京」。
現地観戦やTV観戦のお供に特に注目される種目について「記録と数字で楽しむGGP2024」をお届けする。
なお、原稿の締め切りの関係で、2024年シーズンの試合結果や情報は4月15日までに判明したものしか盛り込めていないことをお断りしておく。

・記録や情報は、4月15日判明分。
・年齢は、2024年5月19日現在のもの。
・文中、敬称略。

※リンク先は外部サイトの場合があります

【女子やり投】ブダペスト世界選手権の「メダリスト全員集合」の投げ合いに世界が注目!!

表題の通り、超豪華なメンバーが揃った。
2023年ブダペスト世界選手権、金メダリストの北口榛花(JAL/自己ベスト67m38=2023年)、銀のF・D・ルイス(コロンビア/65m47=2023年)、銅のM・リトル(オーストラリア/65m70=2023年)だ。さらには、22年オレゴン世界選手権を制したK・L・バーバー(オーストラリア/67m70=2019年)も参戦する。

このメンバーの2015年からの至近7回の世界選手権と五輪の成績をまとめた。

【JAAF】

19年から4大会連続入賞で3回連続表彰台(うち優勝2回)のバーバー。21年から3大会入賞のリトル。そして至近2大会でメダルを手にした北口。入賞こそ23年の銀メダルのみだが、上の表にはない12年ロンドン五輪と13年世界選手権にも出場(ともに予選落)だった33歳になったルイスも三十路を迎えてから南アメリカ大陸レベルの試合でコンスタントな結果を残している。

直近のブダペスト世界選手権では、1投目に65m47をマークしたルイスがリード。3投目終了時点でもそのままで、1・2・3投目と少しずつ記録を伸ばした北口が63m00で2位に。4投目にA・コツィナ(ラトビア)が63m18で7位から2位に。6投目に第4投てき者のリトルが63m38で2位に進出し北口は4位に転落。2人あとに投げた北口のやりは大きなアーチを描いて66m73でトップに。そのあとのコツィナとルイスは北口を上回ることはできず、日本の女子フィールド種目で史上初の世界チャンピオンとなった。

北口と上述の4人の対戦成績は以下の通り。

<北口榛花 vs F・D・ルイスの対戦成績>

【JAAF】

・北口の3勝0敗


<北口榛花 vs M・リトルの対戦成績(決勝のみ)>

【JAAF】

・北口の8勝3敗(予選を含めると9勝3敗)


<北口榛花 vs K・L・バーバーの対戦成績>

【JAAF】

・北口の7勝5敗(予選を含めると9勝7敗)

2023年に限れば3人に対しては北口の10勝3敗。7月以降は7勝0敗の負けなしである。

下表は、北口がやり投を始めた高校1年生の時からの各年の上位5試合の記録を比較したものだ。


<北口の年別の上位5位記録の比較>

【JAAF】

年によって出場した試合数に違いはあるが、60m以上や63m以上の回数(率)のデータが示すように、22年から23年の2年間で北口の力が一段とアップしたことがわかる。そして、世界選手権での2大会連続メダル獲得という偉業を成し遂げた。

北口の2024年初戦は、4月27日の中国・蘇州でのダイヤモンドリーグ。次は、5月5日の水戸招待の予定。
過去の初戦とシーズンベストは、以下の通りだ。


<北口榛花のシーズン初戦とその年の最高記録>

【JAAF】

やり投デビュー戦は、旭川東高校1年生の2013年5月5日の北海道道北地区記録会で「34m13」が初の公認記録。
それから、5カ月半後には49m31にまで伸ばし、その年の高校リスト12位、当時の高校1年生歴代2位タイだった。
デビュー戦から10年で、最初の公認記録の2倍近い33m25cmも遠くへ投げられるようになった。
シーズン初戦から15m以上も記録を伸ばした1年目のデータはここでは計算から除外したが、2年目以降の初戦とシーズンベストの「記録の伸び」は、最小で「7cm」、最大で「8m13cm」。
23年までの10年間の平均値は、「4m191」だ。

世界チャンピオンとしてパリ五輪に挑む24年シーズン。北口は、どんな大きなアーチを描くのだろうか。

「世界一の北口」の話がメインになったが、斉藤真理菜(スズキ/62m37=2017年)、上田百寧(ゼンリン/61m75=2021年)の投げも楽しみだ。4月15日現在のパリ五輪に向けたワールドランキング(Road To Paris)では、北口1位、斉藤13位、佐藤友佳(ニコニコのり)18位、上田23位に位置している。「ターゲットナンバー32人」の圏内に4人の日本人選手が入っているのだ。他の国では、2人がラトビア、コロンビア、オーストラリア、チェコ、アメリカの5国。現時点での「層の厚さ」ということでは、日本が「世界一」というのは、何とも誇らしい限りだ。

今回出場予定の海外選手と日本人選手(不出場も含む)の4月15日時点の「Road To Paris」のランキングと日本人の上位の順位は、以下の通り。
・日本人4番目以下は、相当順位

【JAAF】

斉藤、上田は、今回のゴールデングランプリで海外選手よりも上の順位で少しでもランキングのポイントを稼ぎたいところだ。
バーバーは、五輪に関わるポイントが有効となる2023年7月1日以降の試合が5試合に達していないため、ランキングには入っていないが、24年にあと1試合出場して60m前後を投げられれば30位以内には入ってくる。

野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

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