【週刊グランドスラム248】社会人野球OBがBaseball5アジア王者になる
岡山県出身の本池さんは、関西高のエースとして3年春の岡山県大会に優勝。だが、甲子園出場を目指した夏は決勝で橋本拓也(元・JFE西日本)や石谷 潔(元・JR東日本)ら強力打線の岡山理大附高に敗れた。専修大へ進学し、高い身体能力を生かして2年時に内野手へ転向。卒業後は、JFE西日本で2009年から3年間プレーした。引退後に東京勤務となり、軟式で全国制覇を目指す東京バンバータへ入団すると、チームは強豪に成熟する一方でジュニアの育成にも取り組む。その後、Baseball5のチームも結成し、本池さんもメンバーとなる。そうして、3月2日に実施された選考会で、本池さんは日本代表に選出された。37歳はチーム最年長だ。
Baseball5は、2018年に世界野球・ソフトボール連盟によって考案された。ゴム製のボールを使用し、日本人にとっては懐かしい手打ち野球のような競技。18m四方のフィールドで5名がプレーし、男女とも2名以上が守備に入らなければいけない。年齢や性別による競技レベルの差が表れにくく、屋内でもできるため、世界のあらゆる地域で急速に普及しており、2022年にワールドカップ、アジアカップともに第1回大会が開催され、日本はともに準優勝だった。ちなみに、最新の世界ランキングは1位がフランス、2位がチャイニーズ・タイペイ、3位がキューバ。以下、10位までがチュニジア、リトアニア、日本、南アフリカ、メキシコ、韓国、ガーナと、野球やソフトボールとはやや異なる顔ぶれとなっている。
第1回日本選手権も今年2月4日に横浜で行なわれ、ジャンク5が優勝。若松健太監督が日本代表も率いており、三上 駿、島 拓也、唐木恵惟子の3名が日本代表入りしている。本池さんの東京ヴェルディ・バンバータは日本選手権4強。選考会をパスしたあとは、強化合宿も実施されたという。
野球のさらなる普及にもつながるエキサイティングな競技
スピードと戦略に長けたチャイニーズ・タイペイには苦戦し、第1セットを2対3で落とす。だが、劣勢でも声をかけ合い、常に積極性を失わずにプレーを続け、第2セットを5対1で取り返すと、勝負の第3セットに4対0で快勝。初めてアジア王座を手にした。
そう語る本池さんは、相手選手の特長や次に起こりうるプレーを伝えたり、唯一落とした決勝の第1セットでは途中出場して流れを変えるなど、コーチやスーパーサブの役割を果たしていた。
「野球で培った経験が生きることもありますし、Baseball5での経験が現在の監督やアカデミーでの指導に役立つこともある。どちらもやりがいがあって、充実していますね」
10月7日~15日には、香港で第2回ワールドカップが開催される。日本代表は再選考されるのか未定だというが、アジアに続いて世界でも、前回の準優勝を上回りたい。本池さんらは、プレーヤーとしての技術を磨きながら、伝道師としてBaseball5の普及・発展にも努めている。
【取材・文=横尾弘一】
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