【コラム】第6回:米国における違法な賭博と合法なスポーツベッティングの分かれ目(その3)

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【© スポーツエコシステム推進協議会】

米国における違法な賭博と合法なスポーツベッティングの分かれ目(その3)

スポーツエコシステム推進協議会(C-SEP)が、アスリートとアスリートを取り巻く全てのステークホルダーに知ってほしい情報を発信していく本連載、第6回は、アメリカにおける違法な賭博と合法なスポーツベッティングのどこに分かれ目があるのかの第3弾として、インターネットで賭ける場合の後編を取り上げます。

前回の第5回は、普段違法州に住んでいる人の場合を取り上げましたが、今回は普段合法州に住んでいる人の場合です。
合法州内に住んでいる人が、自宅など同州内からスマホやPCで、違法州の事業者のオンラインサービスを利用して賭けた場合は当然アウトです。違法業者の利用はそれだけでアウトであり、違法州の業者はもれなく違法業者だからです。

次に合法州内に住んでいる人が、自宅など同州内から同じ州内の正規のライセンスを持った事業者のオンラインサービスを利用した場合。これはもちろんセーフですし、ノーライセンスの事業者のサービスを利用したらアウトです。

さて、問題は別の合法州の、正規のライセンスを持った事業者のサービスを利用した場合はどうなのかです。これが実はアウトなのです。インターネットで州をまたぐ賭けは「ご法度」だからです。
例えば合法州であるニューヨーク州の自宅から、インターネットで合法州のネバダ州の正規ライセンスを持った事業者のサイトにアクセスして賭けた場合、違法になってしまうのです。

これまで3回にわたって海外の制度、中でも米国の制度について詳しく取り上げてきましたが、日本国内ではそもそも「賭け」をすること自体が、刑法上の賭博罪にあたります。日本からインターネットでアクセスしてスポーツを対象とした賭けを行う場合も、オンラインカジノと同様に、アウトです。使った事業者がアメリカの合法州で正規のライセンスを持っていたとしても、です。
大手の正規ライセンスを持つ事業者の中には、日本からのアクセスを遮断する仕様にしているところもありますが、違法業者ほど日本からのアクセスが容易という面もあります。この辺りの違法業者の法的整理等に関しては、次回以降のコラムで取り上げます。

スポーツビジネスに従事している事業者は、従業員や関係者が、米国への出張や遠征、旅行などの際に、スポーツベッティングに触れる機会は当然にあるものという前提に立つべきです。関係者が違法とは知らずに違法行為に手を染めてしまうことがないよう、注意喚起を行っていただきたいと思います。
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