早大野球部【連載】春季リーグ戦直前特集『HERO』 第12回 小宮山悟監督

チーム・協会
【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 近藤翔太

昨秋はあと1勝で東京六大学リーグ戦(リーグ戦)優勝を逃した早大。ライバル・慶大の優勝を目の前で見るという屈辱を味わった。「とにかく目の前の試合を勝ってあと1勝でなんていう悔しい思いをしないように、とにかくしっかりとした野球をしたい」。2020年秋以来の優勝、そしてその後の日本一を目指す指揮官が7季ぶりの雪辱を晴らすべく、この春に懸ける思いとはーー。

浦添キャンプ、春季オープン戦での投手陣の振り返り

【早稲田スポーツ新聞会】

ーーまずは浦添キャンプのことについてお伺いします。前半は雨でなかなか練習ができないとおっしゃっていましたが、後半は実践的な練習やオープン戦を積めたと思います。キャンプ全体を振り返っていかがですか

 当初予定していたメニューの消化で言うと、 雨で思うようにできなかったというのが正直なところです。天気は仕方ないことなので、後半(天気が)回復してからは外でしっかりとした練習ができました。トータルで見るともう少しちょっと追い込みたいなというのはありましたけど、序盤の雨を考えると、後半で盛り返してよくできたという風に思います。

ーーここまでの春季オープン戦は大学生相手に負けなし、最終戦のHonda戦もリーグ戦への弾みとなる勝利を収めました。オープン戦全体を振り返っていかがですか

 浦添でやっていたオープン戦に関しては、オープン戦というよりは練習試合なので、ピッチャーに登板予定を伝えて、リードしてる展開だろうとビハインドの展開だろうと、その予定に沿ってバッター相手に投げるということをマストとしてやってましたので、実際の勝敗のかかった試合というのとは違った感じの試合でした。あまりの勝ち負けというところにはこだわりはなかったです。東京に戻ってきてから、(早同)定期戦からですかね。そこからはピッチャーにも「勝つ」ということで、どうすればいいのかというような感じで投げさせました。社会人はやっぱり強いので力負けしましたけど、それなりの内容のあるゲームができたと思ってます。今週末から始まるリーグ戦に向けて、それぞれがある程度の準備はできたのかなと思ってます。

ーー春季オープン戦ではリーグ戦第一先発候補である伊藤樹選手(スポ3=宮城・仙台育英)が好投を続けていますが、そこに関していかがですか

 本来なら4年生がしっかりしてもらわないと困るんですが、4年生よりも3年生の樹の方が柱にふさわしいと判断したので、11番を背負わせて自覚を持たせてというつもりでいます。ただ、能力からするともっとできるはずだという風に思っています。登板を重ねるごとにある程度のピッチングができるようになって、 最終週の早慶戦では早稲田のエースとして素晴らしいピッチングをしてくれるだろうと考えています。

ーー第ニ先発には宮城誇南選手(スポ2=埼玉・浦和学院)が有力だと見ているのですが、ここまでの宮城選手の投球を振り返っていかがですか

 本当だったら昨年、神宮のマウンドをあげてもよかったのですが、じっくりとということで。いろいろな面、課題を克服させる1年でした。この春から先発として使うつもりで登板させています。本人も 6回、7回ぐらいまではなんとか投げれるというようなレベルになってきましたので、春どれだけやれるのかはわからないですけど、かなり期待はしてます。

ーーリリーフでは7回に安田虎汰郎選手(スポ1=東京・日大三)、8回に香西一希選手(スポ2=福岡・九州国際大付)、9回に髙橋煌希選手が登板することが多いと思います。3選手のここまでの投球はどのように感じていますか

 可もなく不可もなくじゃないですか。一応その順番で7、8、9回を投げさせていますが、状況としたら前後することもあるので。とにかく終盤、ブルペンでチームを支える役回りをしてもらうということで、オープン戦でそれを彼らにメッセージとしてね。彼らはどう受け止めてるかわからないですけど、1イニングのアウト3つをしっかり取るんだというつもりになってくれれば、おそらく7、8、9回は盤石だと思ってます。6回まででなんとか勝負つけられればなという風には思っています。

ーーオープン戦では中森光希選手(文構4=大阪・明星)の好投が続いていますが、リーグ戦では3回戦での登板、もしくはロングリリーフでの登板というところも含めて、中森選手の投球はどのように見ていますか

 ジョーカーですね。もし彼が急な登板があった時に、このオープン戦での登板のようなピッチングをしてもらえれば、おそらくチームが危うい状況になることはないだろうと思っています。昨年までの3年間、なんとか成長してもらいたいと思ってましたので。最上級生になって、ようやく自分自身、いろんな思いもあるんだろうでしょうけど、最終学年での大活躍を期待しています。

ーー越井颯一郎選手(スポ2=千葉・木更津総合)や梶田笙選手(スポ3=大阪・早稲田摂陵)、矢後和也選手(スポ2=東京・日大三)など投手陣に厚みが出てきたと感じているのですが、監督はどのように捉えていますか

 厚みというのかどうかは分からないですが、とりあえずピッチャー誰となった時に指が折れてくるので、そこに関しては他の大学にも負けないぐらいの感じになったかなという気はしてます。

打撃陣の振り返り

【早稲田スポーツ新聞会】

ーー続いて、打撃陣のことについてお聞きします。オープン戦では中村敢晴選手(スポ4=福岡・筑陽学園)が好調ですが、その点に関していかがですか

 彼もやってもらわなきゃ困る選手の1人だったので、3年までの間、なかなか思うようになりませんでしたけど、最終学年になってね、一番尻を叩いたんじゃないかな。いろんなところで甘さがあるので、そこをなんとか取り除いてあげて、最終学年で勝負をかけられるぐらいのところまで成長してくれたので、頼もしい存在にはなりましたね。

ーー前田健伸選手(商3=大阪桐蔭)も3、4番に番に続くポイントゲッターとしてオープン戦で活躍されていますが、前田健選手の活躍についてはどのように見ていますか

 能力の高い選手ではあるので。今までは代打などでチャンスを与えることしかできませんでしたが、スタメンで3打席、4打席与えることによって多少余裕を持ったバッティングができるようになるはずなので、そういう点で言うと、彼の能力を存分に発揮してもらえるような、そんな状況にしてあげることができたらなという風には思っています。

ーーやはり打線の中では吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)や印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)がキーマンになってくると思いますが、ここまでのオープン戦での打撃などを含めて、2選手にはどのように感じていますか

 欲を言えばきりがないので、もっともっと打ってもらいたいとは思ってますけど。ただポイントポイントで、しっかりとした打撃ができているようには見えますので、こんな感じでリーグ戦でも頑張ってもらいたいなとは思ってます。ただやはり本当に大事なのはどれだけ塁に出られるかという話なので。 それで言うと、1番、2番の出塁率が高くなればなるほど、3番・吉納、4番・印出のバットで点が取れる状況になりますので、つながりみたいなものがもう少し出るようになってくれればと思っています。

ーー1、2番を打つ尾瀬雄大選手(スポ3=東京・帝京)と山縣秀選手(商4=東京・早大学院)もオープン戦ではほぼ毎試合で安打が出ていますが、お二人の活躍はどのように見ていますか

 尾瀬に関しては昨年の春に抜てきして期待に応えてくれて、そこから彼も自分のリズムみたいなものはつかめたと思います。3年生になって上級生ですから、チームを引っ張っていく、そういう選手になってもらいたいです。昨年の春のようなバッティングをもう一度期待してます。山縣に関しては、基本的には守備の選手なので。尾瀬が塁にいるのであれば、なんとか先の塁へ進めてもらうバッティングをしてもらいたいところです。あとは守りで失点を1点でも2点でも防いでくれという選手です。

ーー内野手のスタメン争い、左翼手のスタメン争いが激戦していますが、リーグ戦での起用なども含めて、そこに関してはどのように感じていますか

 本来であれば固定というのが一番いいはずなんですけれども、ただ固定することのリスクを考えると、右ピッチャー、左ピッチャーによって右バッター、左バッターの使い方を考えてラインナップを組むことも視野に入れてオープン戦を戦いました。あとは今週いろいろ考えてですね。相手方にとって嫌なラインナップを組めればなという風に思ってます。

来るリーグ戦に向けて

ーーリーグ戦に向けて、現在のチームの仕上がりはいかがですか

 滑り出しはどうしても緊張も伴って、選手それぞれが思うような動きができないという可能性が高いので、状態が良かったとしても、最初の対戦カードでつまずくとどうにもならないという可能性が出てきます。 そういうことのないように、とにかく落ち着いてゲームに入りたいと思います。状態で言うと、フラットな状態で行きたいので、調子がいいとか悪いとかなんていうのは、最初の試合で考えることではないので、2カード、3カード終わったぐらいで、 折り返しの時にどれだけ弾みをつけられるかというところですね。基本的にやっぱり後半勝負だと思っていて、 最初のカードをなんとか無難にこなしたいという風に思っています。

ーーリーグ戦まで残り1週間を切った中で、初戦の立大までに詰めていかなければならない課題などはございますか

 やらなきゃいけない課題は山ほどあるので。ただ、そうは言っても我々の思惑で言うと、最終週の早慶戦に勝って優勝をという、そういう思いでいますので、 そこにたどり着くまでの間にいろんなことを試しながらというところです。安全策とるのが一番簡単なことなので、挑戦する、トライする、できるかどうかわからないところを挑むというところを目指して戦わせたいなという風に思っています。

ーー今季の他大学に関してはどのように分析されていますか

 例年同じ考え方ではいます。 おそらく東大には申し訳ないけれど、多少東大の力が落ちると。残りの大学に関してはほぼほぼ互角という感じで考えています。大きな故障者が出ないように注意すれば、まあまあいい戦いができるだろうと。ただ、そういう中でも選手層の厚さで言うと、やっぱり明治、法政が相当な戦力ですから、そこに対して戦えるような準備をして臨みたいと。それで最終週の早慶戦にお互い勝って優勝というようなシチュエーションになれば、願ったり叶ったりというところではあります。ただ、そこにたどり着くまでの間に取りこぼしのないようにと、そういう思いでいます。

ーー最後にリーグ戦への意気込みをお願いします

 久しく優勝から遠のいてるということはもちろんなのですが、やはり3年続けて秋のシーズンのあと1勝で優勝を逃しているというところで。選手たちがどう捉えてるかというところだと思うので、とにかく目の前の試合を勝ってあと1勝でなんていう悔しい思いをしないように、とにかくしっかりとした野球をしたいと思っています。

ーーありがとうございました!

【早稲田スポーツ新聞会】

◆小宮山悟(こみやま・さとる)
1965(昭40)年9月15日生まれ。千葉・芝浦工大柏高出身。1990(平成2)年教育学部卒業。現早大野球部監督。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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