【ラグビー/NTTリーグワン】すべての悔しさを味わってきた男が 途中出場でもたらすエナジー<花園近鉄ライナーズ>

花園近鉄ライナーズ パトリック・タファ選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

前節、トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)に敗れたことで今季のディビジョン1で10位以下が決定。2年連続での入替戦を戦うことが決まった花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)の中で唯一、全12試合に出場している男がいる。

パトリック・タファ。彼は今季、出場した全試合で負けの味を味わってきた。

「悔しい部分はあります」と本音を漏らしたパトリック・タファだが、トヨタV戦でも二つのトライを決めて先手を取るなど、昨季とは異なる戦いぶりを見せているチームには手ごたえも覚えている。

「負けからの学びもありますし、チームは成長しています。もちろん、結果はついてきていませんが、リーダーの一人(バイスキャプテン)としてはポジティブな雰囲気をもたらすことも大事だと思っています」

U20オーストラリア代表の一員として5年前のワールドラグビーU20チャンピオンシップ2019に出場し、決勝戦でもプレーした経験も持つパトリック・タファのポテンシャルの高さについては「神戸のナンバーエイト(サウマキ アマナキ)のような選手になれば、日本代表に入る目も出てきますよ」と向井昭吾ヘッドコーチも評価する。

今季は強豪相手にも競り合った試合展開を見せ、リードする時間帯もある花園L。課題は、後半に崩れる時間帯が目立つことである。

トヨタV戦でも敗色濃厚だった後半37分に一矢報いる執念のトライを決めているパトリック・タファは、横浜キヤノンイーグルス戦では途中出場からチームにエナジーを与える役割となった。

「相手はフォワードが大きいし、フィジカルが強いことも分かっています。ディフェンスの必死さが前半は出せていますけど、後半になるとなぜかそれがなくなってしまうのが現状。ラグビーの試合は80分間で完結するので、最後までしっかりとプレーしたいです」(パトリック・タファ)

チーム通訳の前田啓子さんが「(パトリック・)タファに『最近調子はどう』と聞いても、自分のことじゃなくてまず『みんな、いい感じだよ』とチームのことを話すんです」と絶賛するほどの自己犠牲に満ちた人柄と、穏やかな性格を持っているパトリック・タファ。

気は優しくて力持ち――。オーストラリア生まれの逸材は「自分の行動でチームを引っ張っていけるのがうれしいですね」とバイスキャプテンの肩書きに誇りと責任を感じながら、ピッチを疾走する。

(下薗昌記)
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ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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