【プレビュー】vsサガン鳥栖 因縁深き似たもの同士の初対戦【FC町田ゼルビア2024年第5節 挑戦J1】

note
チーム・協会
【これはnoteに投稿されたHidari Kanakuraさんによる記事です。】
こんにちわこんばんわひだりです。写真は2019年平塚へ見に行ったベルマーレvs鳥栖戦の試合前練習風景です。
娘(当時3歳)が買ってもらったかき氷のシロップが混ざり真っ茶になったことにショック受けて座席でギャン泣きしたのを良く覚えています。

代表ウィーク明け、3月末ここから4月にかけて、今季の町田を占う非常に重要な連戦が続きます。
時には厳しい時間も出てくるかもしれません。ともあれ、強い気持ちで戦い抜いていきましょう。

さて、今週末のサガン鳥栖戦、プレビューです。初対戦。
どうぞよろしくお願いします。

サガン鳥栖のチーム現状

ベースシステム442/ポゼッション&ハイプレス両軸のハードワーカー

保持433(4123・4231) 、撤退守備442ブロック。
自陣からのボールポゼッションと、積極プレスでのボール奪取、2つの色を併せ持つハードワーカーのチーム。

ポゼッション能力を持ちつつも、守備ブロックに対して無理矢理パス連携で侵入するようなタイプのチームではない。
如何に敵陣のスペースを突くか、カウンターのような数的・位置的優位を持った局面を作れるかを重視したチャレンジを仕掛け、隙を突くための最適な方法として、ショートパスやロングパスを選択する。

「ロンボばかりの町田とどこが似てんの?」と、町田の試合を見慣れていない一部他サポには笑われる気もしますが、、ビルドアップと敵陣ダイレクトの前進方法が異なるだけで、相手保持時に前向きにアグレッシブに仕掛ける守備の仕組み、奪ったらスピーディーに攻め切る志向はだいぶ近い。明輝さん経由・ゼルビアが鳥栖的な守備哲学を輸入してきた感じ。

ハイプレス・ミドルプレス併用の前向き守備システム

相手ビルドアップ時は最終ラインとほぼ枚数あわせる形で1-1.5列目のアタッカーがハイプレスをかけ、ロングボール阻害+奪ってショートカウンターを狙う。

1-1.5列目ハイプレスと連動して、2列目も前向きにアグレッシブな守備を仕掛ける。相手最終ラインがハイプレスを回避して送り込んでくる縦クサビのボールを狙い、ボールの受け手が後ろ向きでボールを受ける局面では思い切り身体を寄せる。相手に寄せていくマンツーマン守備での奪取を基本にしながらハードワーク性能フル活用してボランチやSBでの囲い込んでの奪取も速い。
奪い取ると近い距離感の小気味良いパスワークでスピーディーな前進とともに攻撃に転換する。

ハイプレスでの誘導・刈り取りとミドルプレスでの奪取の二重網を掛ける中盤からの前向きな守備システムは、明輝さん経由でゼルビアが行なうものとほぼ同様の仕組み。

GK朴一圭を活かした後方ビルドアップ

GK朴一圭の足元技術、キック精度が高く、相手がブロック守備を組む状況ではペナルティエリア外まで出てビルドアップ隊の一員をこなし、相手の裏狙いロンボに対してスイーパー的役割も果たす。

自陣深めビルドアップからショートパスでの前進に加えて、相手アタッカーを引き付けて裏へのロングボールを打ち込むのも攻撃の狙いのひとつ。
朴一圭のフィード能力と判断が的確で、空いたスペースをしっかりと見つけ、次のプレイをイメージできるメッセージのあるロングパスを送ることができる。

朴と河原のダブル司令塔

また、ボランチ河原がピッチ上を前後左右勢力的に動き、2CB間に落ちて3バックを構成したり、第2レーン・第4レーンに入ってサイドからの組み立てや、前線へフィードを送るなど攻撃の組み立て・展開する時間をコントロールする。

相手の出方に応じて、司令塔のような役割をGK朴とボランチ河原の両者が担えるのが鳥栖の独特さに感じる。2人のボールタッチ・判断の的確さがビルドアップの安定感を上げ、攻撃の糸口を見つける方法になっている。

攻撃の先鋒マルセロヒアンと強烈な2列目アタック

マルセロヒアンの判断、強度・スピード兼ね備えた力強い前進は個人戦術になる武器。相手DFに身体を当てられながらも力強く突破することも、周りをうなく使うこともできる。
マルセロヒアンがアイソレーションの形で高めに張ってのカウンターはチームが常に狙っている形。

FWのもう一翼を担う(俺たちの)ヴィニシウス・アラウージョも迷いなく献身的なプレイができている。
マルセロヒアンを攻撃主戦に、(俺たちの)富樫敬真・ヴィニが前線守備・裏抜け・ボール収め・潰れ役となり、アタッキングサードには1-2列目の選手がしっかり人数かけてゴール前に入ってくる仕組みが作られている。
鳥栖の特徴的な2列目アタック、長沼洋一・堀米勇輝・樺山諒乃介・横山歩夢らを活かしたい狙いが見られる。浪漫溢れる良い顔ぶれ。

被カウンター・自陣ブロック守備に脆さあり

アグレッシブに奪いに行く分、鳥栖の被カウンター対応、最終ラインの締めはやや弱い。
前向きで守備奪取する前提のシステムのため、ボール奪取を回避される、あるいはアクシデント的にでも密集プレスの外で相手にボールが渡ると、守備体勢が整わないまま後手の対応になることが多い。

特に自陣ブロック守備時、左右の揺さぶりに対して脆さが見られる。
ゴール前でのゴールを塞ぐ身体の向きがあまり整っておらず、広島戦・セレッソ戦いずれも相手選手を塞ぎに行きつつもボールの進路を塞げず失点を許している。

(もちろん大事なことではあるが)個々のハードワークでどうにかする色が強く、積極プレスとビルドアップを織り込んだロジカルな攻撃ほどには守備は整理されていない。

CK:ファーの対応にやや難の気配

ゾーンよりはマンツーマン、選手への対応意識が強いチームあるあるで、CKのファー対応に難がありそう。札幌戦ではPKを与え、広島戦では大外からの揺さぶりで空いたポケットから塩谷のミドルを喰らっている。

ゼルビアとしてはニアでスラして真ん中で詰める形と合わせて、CK・セットプレー・ロングスローをいろんな形でアタックして揺さぶりたい。

去年からの傾向

以下はJ STAS REPORT 2023(https://www.jleague.jp/news/article/27140/)から。

燦然と光る走行距離1位。スプリント・アクチュアルプレーイングタイムからもチームスタイルはよく伺える。試合終盤での得点が多い点は最後まで止まらないハードワーク能力・パスサッカー能力の賜物。 【Hidari Kanakura】

攻撃プレーは成功率に課題が見られた。数値そのものは走ること・パス連携を重視し、必ずしもパスで崩すことばかり主眼に置いたチームでないと考えれば理解できるスタッツ。GKの影響クソデカな守備プレーのスタッツ。 【Hidari Kanakura】

GKのフィード成功数1位はエグい 【Hidari Kanakura】


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ゼルビア自体、自陣引いたブロック守備で良さが出るタイプのチームではない点も含め、見るほどにボール保持・前進以外のところの思想の類似を感じる相手です。まあそりゃそうだ。

町田と鳥栖のいろいろ因縁リスト

・元町田:ヴィニシウスアラウージョ、富樫敬真/ゼルビアJr.ユース出身 日野翔太
・元鳥栖:金明輝HC、荒木駿太、仙頭啓矢、松本大輔、藤本一輝(鳥栖U15)
・鳥栖サイゲームス(現アカデミーユニフォームスポンサー)撤退からの町田CAグループ入りの経緯
・県名でなくて市名を掲げたJリーグチーム同士


あと、今日上がった記事で知りましたが、佐賀県鹿島市出身の平河にとって鳥栖は地元チームにあたる相手ですね。

ほぼほぼゼルビアのサイバーエージェントグループ入り以降のものばかりですが、なんだか因縁項目の多い対戦相手で、大都市・福岡そばの交通の要所にある郊外都市など。変化していくゼルビアのあおりを受けた側面もあったものの、どこか他人の感じがしない相手なんですよね。なんか似てる。

※リンク先は外部サイトの場合があります

・大企業がバックに付いていない後発中小クラブ
・政令指定都市でないホームタウン
・アクセス抜群の専用スタジアムを抱える一方、成績が伴わず幾度もクラブ消滅の危機があり、長いあいだJ2で苦労に苦労を重ねていた(当時)
海外サッカー厨の頃からビッグクラブ天邪鬼になっていた私にとって、ハマるには理想のクラブでした。
(上記の条件を見た町田サポーターの人、ピンときたかもしれませんね。
そう、スタジアムの環境をのぞけばCA傘下になる前のウチのクラブ環境とも境遇似ていたんですよ)

http://tanteiminaraizelby.blog137.fc2.com/blog-entry-149.html より引用

前線のヴィニだってケイマンだって、ゼルビア在籍当時は前から全力の献身性を表現してくれたFWで、そういう前から全員で守って闘って全員で攻めるみたいな形は、相馬体制時代から続くレガシー。スモールクラブの時期に育まれた哲学からこそたどり着くやり方だとも思うので、

鳥栖さん側からすれば今となってそんなこと言われたくないかもしれないですが、シンパシー湧くところ多いんだよね。
ガンバや鹿島との戦いでは起こらなかった地方クラブ同士を感じるこのふわっとした感じが今節の気分です。試合には決してふわっと入らない。負けない!

ゼルビアの戦い方のポイント

以上ふまえてゼルビアの戦い方のポイントを整理しておきます。

敵陣内でのボール奪い合いの時間を増やす

ゼルビアとしては多くの時間を敵陣で過ごしたい。
まず前線にあててサイドか裏狙い〜セカンドボール争い+スローイン、CKに持ち込む基本プラン。
鳥栖の守備ラインを下げさせることが、鳥栖に対応の怪しさの見える自陣守備へと押し込む攻め手になり、被カウンター時の町田ゴールまでの距離を稼ぐことにもつながる。

セカンドボールは鳥栖にとっても狙う所なので、絶対に奪われてはいけない。タッチに逃げてプレイを切る、またはタクティカルファウルでプレーを止め、加速させないことが重要になる。

自陣守備ではハッキリ切る

アクチュアルプレーイングタイムを長くすれば鳥栖はパスとプレスのリズムを掴んでいくので、自陣守備はハッキリとプレイを切り、鳥栖のボール保持のリズムを断ち切りたい。

パスコース遮断とセカンドボールへのアプローチで上回り、気持ちよくサッカーさせない

町田もまた、鳥栖と同様、自陣に引いた形でのブロック守備の耐久力がそこまでハイレベルなわけではありません。前節札幌戦では失点として表れた通り、前のめり守備で相手を牽制するチームだからこそ、ガッツリ引いて牽制が効かない状態の守りで漏れが出やすくなるのは、少し宿命みたいなところもある気がします。

自陣での窮屈な対応に終始しないためにも、結局はミドルエリアからの守備牽制こそが今節も生命線です。

パスコースの遮断とセカンドボールへの素早いアプローチで、鳥栖に気持ちよくサッカーさせない、うまくパスがつながらない不完全燃焼な感覚を持たせることで生まれる一瞬の隙を一気に突いて突き放したい。

河原へのパス遮断と行動阻害

町田と鳥栖、両者の攻撃の差配に大きく影響するのが仙頭と河原のバトル。
互いにチームの戦況を見定めてポジショニングを取ってはピンチの目を摘み、相手の急所を突く。2人の読みが試合の展開を左右する丁々発止は相当に見応えある戦いになりそう。

町田にとっては、攻守をつなぐ河原へのパスコース遮断および本人に自由に走らせないアクションが鳥栖のビルドアップ型展開を阻害するひとつの方策になる。
鹿島戦で佐野海舟からのボール奪取が決勝点につながったのと同様、河原を瞬間的に試合の流れから除外し、鳥栖の組み立てバランスにズレが生まれたタイミングを一気に突きたい。

サイド攻撃からのポケット攻略

鳥栖の442ブロックを崩していくために、横の揺さぶり、ズレを作る作業は必須になる。

オセフンのポストプレイや藤尾の前線ボール保持から、平河・藤本or沼田を活かしたサイドアタックで相手を引きつけ、ニアのポケットを狙いたい。
(今回の中断期間でバイロンが復帰してくれると、SJと連携して右サイドの幅を持って打開しやすくなり、一番やりたい形はできそうですが、まあそこはわからない。)

サイドでの攻防を増やせばスローインへ持ち込める機会も増え、町田に流れが傾いていく点もメリット。

裏抜けに対するケア(特に後半オープン展開時の対応)

単純な裏狙いのロングボールだけなら、現スタメンCBのチャンミンギュ・ドレシェビッチによる跳ね返し、または攻撃前進時も最終ラインに2.5〜3枚程度残すいつもの守り方でおおよそ対応できるだろう。

鳥栖のスタイルを考えると、後半オープンな展開となった時間帯には、前節・札幌も見せたような町田の1列目と2列目の間のギャップを使ったショートパス連携での打開〜後ろから追い越す選手の裏抜けを狙うアタックは、高確率で仕掛けてくる。

2、3連続ダイレクトパスを絡めた前進は鳥栖の十八番でもあるので、自陣守備では人に直接行く守備者+ゴール方向を塞ぐ守備者とチャレンジ&カバーの役割原則を徹底し、失点を遠ざけ続けるプレーを心がけたい。

交代メンバー含めて全員で90分+αを塞ぎ切る

ハードワーク上等の相手なので、走り負けないことは基本になる。

昨年のラスト30分間の得点傾向をふまえても、試合終盤まで気を抜かず集中した対応が求められる。交代メンバーも含めて90分+αをしっかり守り切る試合運びが重要になる。

ラストの時間帯をどう使うか、攻撃か、状況継続か、守備固めか、考えうる状況の中で、どのようにも打って出れるサブ組の陣容・配置にも注目したい。

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2024年は、かなりシンプルな戦い方でシーズンに入った流れで継続していることもあり、ここまでの戦いと攻め手自体が大きく変わる部分はなさそうです。エリキやデューク(の本調子)、ナサンホあたりが戻ってくれば、人の変化とともに戦い方もまた自然と変わっていくでしょう。

逆に言えば、現状では、鳥栖の出方に大きく揺らがずゴールを塞ぐ、奪って素早く攻め切る、町田のやり方を貫き通すことが重要になりそうです。

まとめ

平河・藤尾も、出場そのものは行けそうですね。一安心ではありますが、2人とも怪我することのないよう、うまく管理してほしいところ。今週末はなんか変に暑くなる予報のようなので、観に行く方も着るものには注意して現地に向かいましょう。

今週も楽しみましょう。共闘!
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