2020→2024で観客数は2倍強。バファローズの春季キャンプに全国のファンが集う理由は?

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 沖縄・宮崎の風物詩でもある春季キャンプ。そんなキャンプもコロナ禍を明けて様相が変わってきた。特筆すべきは、オリックス・バファローズのキャンプ地、宮崎市清武総合運動公園(SOKKENスタジアム)の人入りだ。飲食エリアの混雑、ブルペンエリアの長蛇の列、練習試合の声援の大きさは、驚きをもって拡散された。

2015〜2024年までの春季キャンプ観客数推移 【(数字は球団提供)】

 清武運動公園にキャンプ本拠地を移した2015年からの入場者数の推移を見てみると、過去最高だった昨年の動員数207,000人を2月中旬の時点で超え、最終的な入場者数はコロナ前の2020年と比べて約2.1倍増となった。

2月5、9、13、19、26日は休養日 【(数字は球団提供)】

 最も観客が集まったのは3連休中日の2月11日(日・祝)で、29,196人を記録。またバレンタインデー当日である2月14日(水)は平日にも関わらず11,500人を動員し、女性人気がうかがえる。

 2022年までバファローズに在籍し、このキャンプでは飲食店スタッフとして出店側に立っていた榊原翼さんは、「僕の現役時代は、ブルペンを見に来るお客さんは1列だった。今では見学待ちの列ができているなんて」と驚きの様子。キャンプ期間中イカ焼きやホタテ焼きを店頭販売しているが、用意していたイカ60食分、ホタテ60食分がすぐに完売になる盛況ぶりだという。

ブルペンゾーンの見学待ちの列 【(C)PLM】

10名の投手が一斉に投げることができる大ブルペンは清武の名物 【(C)PLM】

 なぜこんなにもバファローズのキャンプ地は賑わっているのか。もちろんパ・リーグ3連覇という実力から知名度がうなぎのぼりであることは間違いなく、オリメン投票をはじめとする、イケメン選手の露出がSNSを通じて一気に広がったという前提はある。だが、今年の宮崎は雨が多く、コンディションが悪い日も少なくなかった。また、キャンプ地の清武総合運動公園は、宮崎市のビジネスホテルが密集する中心地・橘通から車で20分、バスだと30分程度かかり、交通の便が特段いいとは言い難い。それでも、ファンがキャンプに行きたいと思うのには理由があると筆者は考える。

 一つ目に地元・宮崎でのバファローズ人気の高まりだ。宮崎市観光協会でホークスのキャンプを担当している岡﨑弘輔さんの話によると、ホークスでは「コロナ以前の入場者数に戻っていない」とのこと。バファローズの集客増を考えると、ホークスのキャンプに行っていた人が、同じ市内のバファローズのキャンプに行くようになったと考えられるのだ。都城高校出身の山本由伸投手の活躍や、2023年に宮崎市内で行われた日本一祝賀パレードなどでも認知度を上げ、バファローズ人気は宮崎県内にも轟くことになったと考えられよう。

 二つ目は、学生旅行の復活だ。コロナの影響で長らく学生同士の旅行に行けなかった期間を経て、今年はどこか足を伸ばそうかと考えていても、昨今は円安の影響で気軽に海外に行くのも難しい。しかも2月は卒業旅行シーズンでもある。ならば国内旅行をキャンプ地宮崎でと考えて、平日の旅程を組む若年層が多かったのではないだろうか。市内にはリゾートホテルや観光ホテルよりも安価でシンプルなサービスを売りとするビジネスホテルが多く、宿よりもグッズやグルメに投資したい層ともマッチする。それが沖縄との大きな違いか。

 最後に、バファローズのキャンプは雨でもハズレがないという期待もある。室内練習やブルペンは雨でも見学できるため、わざわざキャンプ地まで行ったのに選手を見ることができなかったという最悪の事態は防げる。また、2月23日に韓国・斗山ベアーズとの練習試合が雨天中止になると、選手たちは足元の悪い中集まってくれたファンへの即席サイン会を実施した。中嶋監督自らが提案して飛び入り参加したということも話題となり、「雨でもいいことがありそう」というイメージは来年以降もいい方向に作用しそうだ。

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 キャンプの一日は午前10時から遅くても午後15時頃までと非常に効率的。残りの時間を観光やグルメ巡りに費やすことができるため、スケジュールを組み立てやすいというのもメリットとして挙げられる。宮崎市は街なかの機能がコンパクトで移動がしやすく、飲食店も名物も数多くて飽きることがないというのも、この遠征の楽しみではないか。

 宮崎交通はバファローズ人気に備え、昨年3便だった清武総合運動公園から宮崎駅行きの臨時バス(平日)を今年は5便に、土・日・祝日は5便から8便に増やして対応した。今後は、宮崎市内の他のキャンプ地、福岡ソフトバンク本拠地の生目の杜運動公園(アイビースタジアム)と、読売ジャイアンツ本拠地のひなた宮崎県総合運動公園(ひなたサンマリンスタジアム宮崎)をつなぐ臨時シャトルバスの便数増加で、キャンプ地のはしごをより気軽にできるようになることに期待がかかる。

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 バファローズが清武総合運動公園にキャンプ地を移して10周年となった今年も、チームは厳しくも笑顔あふれる充実した時間を過ごしていた。21世紀初の4連覇に向けて視界良好、清武町の熱心なファンからの熱い声援と宮崎市民の支援を糧に、常勝軍団が3.29のフィールドに舞い戻ってくる。
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