8名が新たな門出 2023年度JOCエリートアカデミー修了式

日本オリンピック委員会
チーム・協会

【2023年度JOCエリートアカデミー修了式が行われた(写真:アフロスポーツ)】

 日本オリンピック委員会(JOC)は3月3日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「2023年度JOCエリートアカデミー修了式」を開催しました。JOCエリートアカデミーは、将来オリンピックをはじめとする国際競技大会で活躍できる選手の育成を目標に開校し、今年度で16年目。各競技団体から推薦された有望なジュニア選手が集まり、味の素トレセンを拠点にして集中的な指導の下で育成・強化が行われており、2023年度は6競技30名の選手が所属しています。

【修了式には家族や関係者、エリートアカデミー在校生らが参列しました(写真:アフロスポーツ)】

 今年度は5競技8名が修了を迎えました。式には修了生をはじめ、その家族や関係者、エリートアカデミー在校生らが参列しました。JOCエリートアカデミー事業の小口貴久ディレクターより修了生が紹介されると、世界での活躍を目指して4月から次のステップへ向かう修了生たちが温かな拍手で迎えられながら会場に入場しました。

【主催者を代表して⽔⿃寿思JOC理事が祝辞の挨拶(写真:アフロスポーツ)】

 国歌斉唱の後、ナショナルトレーニングセンター専門部会副部会長でもある⽔⿃寿思JOC理事が主催者を代表して祝辞の挨拶に立ち、「このエリートアカデミーでは様々な経験をされてきたかと思います。それは特別な経験であると同時に、非常に困難を伴ったものだったかもしれませんが、多くの支えを受けながら一回りも二回りも大きく成長されたと思います」と修了生を祝福。そして、エリートアカデミー修了生の東京2020大会での活躍やパリ2024大会への期待にも触れ、「皆さんにはJOCが目指す『憧れられるアスリート』の見本となっていただきたいと感じておりますが、それだけではなく、ぜひ『自分自身のなりたい姿』を今一度イメージしていただき、そこに向かって努力をしていただきたいと思っております。」と激励の言葉を送りました。

【来賓代表としてスポーツ庁の⽇⽐謙⼀郎競技スポーツ課長が挨拶(写真:アフロスポーツ)】

 続いて、来賓代表としてスポーツ庁の⽇⽐謙⼀郎競技スポーツ課長が挨拶。「ここに至るまでには予想を上回る厳しいトレーニングや、親元を離れた集団生活への不安、時には壁にぶつかることもあり、苦しく辛いことも少なからずあったと思います。しかしながら、仲間と切磋琢磨し、時には助け合い励ましあいながらそれを乗り越えてこられました。また練習だけでなく、食事や生活など環境面でのサポートも受けながら、トップアスリートとして必要な競技力、知的能力、生活力の向上を図り、考える力を身に付けた立派なアスリートとなられました。どんな時もここでの経験を糧として、これまで温かく見守ってくださった保護者をはじめ、多くの方々に支えられてきたということを忘れずに、今後も更に研鑽を積まれ、世界の舞台へと羽ばたいていかれることを期待しています」と祝辞を述べ、エールを送りました。

【JOCエリートアカデミー在校生を代表して古庄⽇和⼦さんが送別の言葉(写真:アフロスポーツ)】

 水鳥JOC理事が修了生に修了証を授与したのち、JOCエリートアカデミー在校生を代表して古庄⽇和⼦さん(アーチェリー)が登壇。卒業生一人ひとりに向けて、一緒に過ごした日々の思い出や感謝の言葉を語ると、「皆さんは私たちにとって最高の先輩であり、厳しい練習を乗り越えてきた仲間です。共に生活ができなくなることは寂しいですが、先輩方から学んだことを役立てて、これからの競技生活をより良いものにしていきます。これからの活躍を応援しています」と送別の言葉を述べました。

 次に修了生が1人ずつ決意表明を行い、JOCエリートアカデミーで過ごした日々を振り返りながら、お世話になった方への感謝と新たな道へと進む意気込みを語りました。

【ガレダギ敬一選手(写真:アフロスポーツ)】

■ガレダギ 敬一(がれだぎ・けいわん)
競技:レスリング
学校:帝京高等学校
進路:早稲田大学 スポーツ科学部
主な競技成績:2023 年 JOC ジュニアオリンピックカップ大会 65 ㎏級優勝など

「6年前の春、私はロサンゼルス2028大会で優勝するという目標を掲げ、JOCエリートアカデミーに入校しました。世界で活躍する偉大な先輩方と同じ環境で競技ができることへの喜び、そしてプレッシャーを感じたことを今でも覚えています。肉体的にも精神的にも幼かった私は、最初のうちは練習に付いていくのが精いっぱいで、なかなか結果を出せずに苦しんでいました。しかし、仲間たちに支えられ切磋琢磨し合い、結果が出たときの喜びは、この上ない達成感となりました。高校生の時には大きな怪我をし、大きな挫折を味わいました。しかし、それでも這い上がってこられたのは、アカデミーの仲間たちがいたからこそです。私はJOCエリートアカデミーで、楽しい体験、辛い経験、他にも様々な経験をして、立派に成長することができました。今まで競技面でお世話になった監督、コーチ。生活面でお世話になった方々。どんなときでも支えてくれたアカデミーの仲間たち。そしてお父さん、お母さん。今まで本当にありがとうございました。私は4月から早稲田大学に進学します。新しい環境でもロサンゼルス2028大会で優勝することを目標に努力し続けます。そして今までお世話になった方々に恩返しをしたいです。改めて6年間本当にありがとうございました」

【菅野煌大選手(写真:アフロスポーツ)】

■菅野 煌大(かんの・こうだい)
競技:レスリング
学校:帝京高等学校
進路:育英大学 教育学部
主な競技成績:2022 年 JOC ジュニアオリンピックカップ大会 65 ㎏級優勝など

「私は6年前、夢と希望を胸にJOCエリートアカデミーに入校しました。しかし、その夢と希望は一緒にして打ち砕かれていきました。毎日、練習についていくだけで必死で、その中で先輩たちの凄さに絶望し、何もできない自分に嫌気が差す毎日でした。しかし、その中でも、毎日仲良く話してくれた同期、こんな自分にも付いてきてくれた後輩、たくさんのことを教えてくれた先輩。決して一人ではここまで来られませんでした。そして何もできない私を見捨てずにここまで指導してくれた監督、コーチには感謝してもしきれません。私たちエリートアカデミー生が何不自由なく過ごしていられるのは多くの方々の支えがあったからこそです。本当にありがとうございます。これから先どんな困難があったとしても、ここでの経験を生かし、自分らしく前に進んでいきます。そしてオリンピックで優勝できるよう努力します。6年間ありがとうございました」

【小塩遥菜選手のビデオメッセージ(写真:アフロスポーツ)】

■小塩 遥菜(おじお・はるな)
競技:卓球
学校:星槎国際高等学校
進路:
主な競技成績:2023 年アジアユース選手権大会 U19 ダブルス優勝など
※小塩遥菜は試合のため修了式を欠席。ビデオメッセージで挨拶。

「私は中学1年生からJOCエリートアカデミーに入校し、多くの人に支えてもらい、今日修了することができました。この6年間で世界選手権でメダルを獲得するという目標は達成できませんでしたが、非常に充実した生活を送ることができました。4月からは社会人として自分の行動に責任を持ち、結果を出せるように頑張っていきたいです。この6年間私を支えてくださった競技関係者の皆さん、RAさん、サクラダイニングの皆さん、その他様々な場面でサポートしてくださった皆さん、本当にありがとうございました」

【西田葵選手(写真:アフロスポーツ)】

■西田 葵(にしだ・あおい)
競技:ライフル射撃
学校:成立学園高等学校
進路:聖徳大学 人間栄養学部
主な競技成績:2022年全日本選手権大会オリパラ共生大会 BP2位など

「今日、中学1年生で入校したJOCエリートアカデミーを修了します。この6年間で、冷静に自分自身と向き合うこと、周りの状況を見て行動すること、言葉や言い方を考えて伝えることなど、多くの力を身につけることができました。また、今日ここに立つことができているのは、今まで私を応援し、サポートし続けてくれた多くの方々のおかげです。後悔することがないように提案してくれた両親、どんなに我儘な私でも受け入れてくださったコーチ、土台となる生活においてアドバイスをくださったり助けてくださったRAさん、他にも多くの方々のおかげでこれまで過ごしてこられました。本当にありがとうございました。大学では管理栄養士を目指して勉強し続けていきます。そして私がこれまで受けてきたようなサポートができるよう、ここでの経験を糧として成長していきます。これからも応援よろしくお願いします」

【山田咲来選手(写真:アフロスポーツ)】

■山田 咲来(やまだ・さら)
競技:ライフル射撃
学校:成立学園高等学校
進路:立命館大学 産業社会学部
主な競技成績:2023年全国高等学校選手権大会 BR2位など

「私は高校1年生の春、憧れられるような選手になるという目標を持ち、このJOCエリートアカデミーに入校しました。慣れない寮生活や競技生活の中で悩みを持つこともありましたが、そんなときは同期やコーチ、家族、先生といった多くの方々に支えられ、乗り越えてきました。この生活を通して競技力や人間力を向上させることができたと感じると同時に、改めて周りの人が支えてくれたことを感じました。支えてくださった皆さん、本当にありがとうございます。まだ目標とするような選手にはなれていないので、これからも競技力や人間力を向上させることができるように、日々精進していくので、応援よろしくお願いします」

【若林はる帆選手(写真:アフロスポーツ)】

■若林 はる帆(わかばやし・はるほ)
競技:ローイング
学校:成立学園高等学校
進路:早稲田大学 スポーツ科学部
主な競技成績:2021年東日本新人選手権大会 女子ダブルスカル2位など

「私は今日までのここでの活動において、全ての場面で多くの方々に支えられてきました。私がここで生活や競技活動をする上で関わってくださった全ての皆さん、本当にありがとうございました。私は怪我の影響で思うように競技活動に取り組むことができませんでしたが、スポーツをすることによって得られる様々な感情を濃密に学びました。また、自分の心や身体と今までで一番向き合いました。今後はこれらの経験に加え、大学でローイング競技について科学的な側面から研究を重ね、それを正しいトレーニングに繋げ、継続し、世界一強い選手になります」

【野田慶一郎選手(写真:アフロスポーツ)】

■野田 慶一郎(のだ・けいいちろう)
競技:アーチェリー
学校:成立学園高等学校
進路:早稲田大学 スポーツ科学部
主な競技成績:2023年全国高等学校選抜大会 男子個人3位など

「本日は私たちのためにこのような式典を開いてくださり、ありがとうございます。この6年間で、生活面、食事面など様々な場面において、多くの方々に計り知れないサポートを受けて生活することができたと実感しています。特に競技面においてご指導くださった監督とコーチには感謝の気持ちしかありません。ありがとうございました。中学1年生のときにレスリングの同期と3人で、誰が最初に国際大会に出場できるかという話をしていましたが、私たちは世界というものはそんなに甘いものではないということを痛感しました。それぞれの競技の悩みに苦しみながら生活する日々は、その当時は苦しかったですが、今となっては良い思い出です。こうして3人で修了できることが本当に嬉しいです。4月から私は早稲田大学に進学します。恵まれた環境で新しい技術を教えていただくことができた経験は、これからの競技人生において揺らぐことのない財産となりました。進学後、ロサンゼルス2028大会を目指して競技を続けるとともに、スポーツ界に貢献できる人材を目指して。努力を続けていきます。6年間ありがとうございました」

【大田楓子選手(写真:アフロスポーツ)】

■大田 楓子(おおた・ふうこ)
競技:アーチェリー
学校:成立学園高等学校
進路:近畿大学 経営学部
主な競技成績:2022年国民体育・スポーツ大会 少年女子個人優勝など

「私は中学3年生の春、JOCエリートアカデミーに入校し、4年の月日を過ごしました。振り返ってみると、本当に多くの方々に支えられて今の私があるのだと強く感じます。特に両親には感謝してもしきれません。アーチェリーの成績に伸び悩み、心身ともに辛かったとき、私の弱音や八つ当たりにとことん付き合ってくれ、忙しい中でも何時間も相談に乗ってくれて、たくさんの勇気とエールをもらいました。本当にありがとうございました。また、JOCエリートアカデミーでは、競技、生活、勉強、人間力など、多くの貴重な学びと経験を得ることができました。練習と生活に慣れるのに必死で、緊張してばかりだった中学3年生の私から、大きく成長できたと感じています。春から新しい生活になり、悲しいことや困難なことがたくさん待ち構えていると思います。しかし、ここで培ってきた力と成長に自信と誇りを持って、胸を張って目指す目標へと歩みを進めていきます。最後に、ここまで支えて育ててくださった方々、個性豊かでいつも笑わせてくれたチームの皆、ぶつかったり笑い合ったり楽しい時間を過ごした同期の皆、4年間本当にありがとうございました」

 最後に修了生にむけた応援メッセージ動画を流し、修了式は締めくくられました。
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著者プロフィール

日本オリンピック委員会(JOC)は、「スポーツの価値を守り、創り、伝える」を長期ビジョンとして掲げ、オリンピックの理念に則り、スポーツ等を通じ世界の平和の維持と国際的友好親善、調和のとれた人間性の育成に寄与することを目的に活動しております。 JOC公式ウェブサイトでは、各種事業の活動内容をはじめ、オリンピック日本代表選手団や、世界で日本の代表として戦う選手やそのチームで構成されるTEAM JAPANに関する最新ニュースや話題をお届けします。

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